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平成十年一月二十日提出
質問第三号

旧国鉄債務のJR強制負担問題に関する質問主意書

提出者  坂上富男




旧国鉄債務のJR強制負担問題に関する質問主意書


 平成九年十二月十二日提出、質問第二五号旧国鉄債務のJR強制負担問題に関する質問主意書に対し、平成十年一月十六日、内閣衆質一四一第二五号をもって内閣総理大臣橋本(注)太郎氏は「強制負担は、憲法第二十九条第一項の財産権の侵害の憲法違反に当たるのではないか」との点について「日本国憲法第二十九条第二項は、同条第一項の財産権について、『財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。』と規定しており、法律により財産権に対して制約を加えることがあっても、それが公共の福祉に適合するものである限り許されるものと解される。
 公共の福祉に適合するものとして合理的な範囲で旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社(以下「JR」という。)に法律により負担を課すことは、日本国憲法第二十九条第一項の財産権の侵害に当たらないものと考える。」との答弁をした。これは、「公共の福祉の適合」と「合理的な範囲」であれば憲法第二十九条第一項に違反しないとの見解である。かかることは判例、解説によって明らかなことである。質問は具体的な理由を問うているのであって憲法の条文の回答を求めたものではない。甚だ不誠意の無責任な答弁と言わざるを得ない。よって再度次の点について質問する。

一 「憲法第二十九条第三項(正当補償)の憲法違反について」
 憲法第二十九条第三項は、私有財産を正当な補償の下に公共のために用いることができる旨規定するが、この規定からすると、およそ補償の概念の入る余地のない一方的金銭債務の負担を特定の者に命じる立法をすることは、たとえ公共のためといえども認められないのではないか。憲法第二十九条第三項にも違反する憲法違反ではないか。
二 「合理的理由の不存在」
 補償を必要としない場合は、それを妥当とする合理的な理由のある時に限られ「補償を必要としないのは、当該の財産的利益の喪失がとり立てるほどのものでないか、決定的なものでないか、財産的利益を喪失する反面においてこれを償うに足りる利益が得られることになるか、または当該の財産的利益の喪失が、私人の日常生活を中心に形成される社会で日常の生活をいとなむ人々一般の生活条件上の利益をもたらす施設の組成物件として予定された私有の土地につき、組成物件としての用途に供する時期に接着した時期において、それに支障をおよぼすおそれのある行為を相応の限度で事前に抑制することによりもたらされるものであって、その土地を公共の用に供するについての権原が設定された後にこうむることになる程度にいたらないものであると同時に、その権原の設定については相当の補償がなされることにかんがみ、社会的責務の遂行として当面甘受するにふさわしい程度をこえないと認められるものであるか、などの特別の場合にかぎられる。」(ジュリスト法学教室六号「財産権と公共の福祉」高辻正己元内閣法制次長)
 本件の強制負担は合理的な理由は不存在である。理由ありとせば、詳細に明示されたい。
三 「憲法第二十九条第二項公共の福祉に該当しない憲法違反について」
 (一) 本件の場合の「公共の福祉」の内容を明示されたい。本件立法の目的と目的達成のための本件立法措置との間に合理的関連性が認められるのか。
 (二) 本件においては、いったん法律でJR側の財産権の内容が確定したにもかかわらず、事後の法律でその内容をJR各社に不利益に変更しようとするものであるから、その合憲性の存在も疑わしい。この点について、最高裁は農地法の改正に関して、変更の合憲性の判断基準として、aいったん定められた法律に基づく財産の性質、bその内容を変更する程度、cこれを変更することによって保護される公益の性質などを総合的に勘案すべきものとしていることから(最大判昭和五三年七月十二日)、本件においてもこの基準に基づいて判断すれば憲法第二十九条第二項に反する憲法違反ではないか。
四 「憲法第十四条第一項(法の下の平等)の憲法違反について」
 特定の者(JR各社)にのみ負担を負わせるものであって憲法第十四条第一項の平等原則に反する憲法違反ではないか。

 右質問する。





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