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平成十年四月十四日提出
質問第二五号

特許権侵害係争物件に対する公的補助金支出に関する質問主意書

提出者  西村眞悟




特許権侵害係争物件に対する公的補助金支出に関する質問主意書


 特許権つまり知的財産権については、世界的に保護強化の趨勢にあり、我が国も「経済構造の変革と創造のための行動計画(平成九年五月閣議決定)」においてその保護強化を打ち出し知的創造活動を奨励することにより新規産業の創出と企業の技術力向上を図ろうとし、現国会には、政府から知的財産権保護強化のための「特許法等の一部を改正する法律案」が提出されているところである。さらに、近時、司法の場においても、最高裁判所は、発明の本質が同じなら均等なものとするとの判旨を示し、特許権保護強化の解釈を打ち出している。
 当職は、この保護強化の進展を支持し、この度の提出法案に強い関心を有しているものであるが、最近、左記のとおり、特許権侵害係争物件に対し、それを何ら考慮せずに政府がその購入者に多額の補助金を支出している事例に接し、政府の打ち出している知的財産権保護強化の姿勢との整合性に疑問を懐くにいたった。なぜなら、当該係争を政府が無視し、もしくは何ら関心を示さずして、当該係争物件に補助金を出し続けるとするならば、補助金支出がその物件購入の動機づけになっていることは明らかであるところ、仮にその物件が特許権を侵害していた場合、政府は結果として補助金支出により特許権侵害を奨励したことになるからである。
 (当職が接した係争物件に対する補助金支出の例)
1 物件 品名スーパージフライス(佐竹製作所)、型番SJR−2A
2 価格 三七〇〇万円から一六九〇万円
3 補助金額 価格の約三分の一
4 係争状況 平成九年九月八日に原告株式会社東洋精米製作所が特許権(登録番号2615314号にかかる発明)侵害を理由に岡山地方裁判所に提訴、現在係属中、平成九年一一月二五日に第三者たる弁理士が特許権侵害との見解書を作成し原告に提出
5 補助金支出状況右提訴後においても、平成一〇年三月一日まで一四件一五台に対し補助金合計一億四七〇〇万円支出済
6 担当官庁食糧庁米穀販売業者活性化推進事業
 そこで、当職は、前記の近時の判例に鑑み、さらに本件が弁理士の鑑定を経ているところから特許権侵害の蓋然性がきわめて高いと判断し、担当官庁の係官から補助金支出に際して、対象物件が特許権侵害を理由に係争中であれば、国が結果として侵害物件に対して補助金を支出したことにならぬように如何なる審査基準を設けているかに関し、説明をうけた。しかし、明確な回答は得られなかった。
 しかしながら、この間、平成一〇年三月にはいっても当該物件に対する補助金支出は六件九七二九万二〇〇〇円におよびさらに現在補助金申請中のもの一件におよぶことが判明した。
 したがって、このまま放置すれば、結果として特許権侵害物件に対し国が多額の補助金を支出したことになりかねず、そうなれば、国が知的財産権侵害を推進したことになり、これは知的財産権の保護強化の方向に反し、行政の整合性が失われると思料される。
 以上のような補助金支出状況を前提にすれば、補助金支出における知的財産権保護のための対策は、緊急を要すると考える。よって、次の事項について質問する次第である。

一 特許権侵害物件の購入に対しても、国は補助金を支出するのか、回答されたい。
二 本件のような特許権侵害係争物件に対し、国が補助金を出せば、仮に、特許権侵害と判明した場合、国は、結果として、違法物件に対し、補助金を支出したことになり、さらに補助金支出により特許権侵害を助長したことになると危惧されるが、回答されたい。
三 知的財産権保護強化の方針と、本件の如く係争中の物件に対し特許権侵害の有無を行政として何ら配慮および点検することなく補助金を出すことは、行政が、一方ではそれを保護する方向にありながら、他方では、その保護に全く関心を示さないという結果になり行政の整合性を破壊すると思料されるが、回答されたい。
四 本件のような係争中の物件に関しては、いやしくも国費である補助金を支出するのであれば、特に行政としての独自の調査をして、何らかの基準を設けて補助金支出の決定をすべきと思料するが、回答されたい。また、基準を設けるべきと考えられるのであれば、その基準を明らかにされたい。
五 将来、本件物件が、特許権を侵害していると確定した場合、国は違法物件に対して補助金を支出したことになる。その場合、国は、如何なる回復措置をとるのか。また、この物件の稼働が禁じられた場合、支出した国費は無駄になる。この事態に如何に対処してその無駄を回復するのか。それぞれ回答されたい。

 右質問する。





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