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平成十年六月四日提出
質問第四四号

特定家庭用機器再商品化法に関する質問主意書

提出者  河野太郎




特定家庭用機器再商品化法に関する質問主意書


 この「特定家庭用機器再商品化法」の制定は、わが国が「循環型社会」へ移行するために重要な意味を持つとともに、使用済み電気・電子機器に関する法律としては世界に先駆けるものである。
 世界市場において品質の良い工業製品を提供し、世界経済の発展と生活の向上に寄与しているわが国が、地球環境問題をも意識したシステムを構築することは誠に意義深いことである。わが国が「環境大国」として、地球環境のために率先して模範を示し、世界をリードしていくことで「国際貢献」を環境の視点から担っていくという姿勢を世界に示すことができると考える。
 この法律は、製造者に対し、使用済み製品に関する役割を持たせることで環境負荷の低い製品づくりに向かわせることに加え、排出者に対し、その費用を負担させることで、これまで意識されなかった廃棄物の処理コストに対する意識づけをさせるという点において極めて意義のある法律である。
 しかしながら、この法律が目的にそって運用されるためには、いくつかの条件が必要となろう。
 一 この問題にかかわる関係者の役割分担が適正に行われていること。その意味において、自治体の役割が適正であること。
 二 製造業者等や小売業者の責任が明確であるとともに、責任の履行が過度の負担にならないこと。
 三 全ての使用済み家電製品が適正に処理をする事業体に渡ること。例えば、輸出や処理能力のない自治体等に渡らないこと。
 四 社会トータルで考えた場合、環境負荷の削減になること。特に地球温暖化防止の観点から輸送の効率性が求められる。
 五 国民に対する情報公開が十分であり、国民の納得できる制度であること。
 以上の条件を満たすことでさらに実効性のある法律になると考える。よって、以下、質問する。

一 特定家庭用機器の指定について
 (1) 第2条第4項の「特定家庭用機器」の指定内容について、デスクトップ型のパソコンや電子レンジや衣類乾燥機が指定されないのは第2条第4項の何号に該当しないためか。
 (2) 現在の製品は例えばテレビとビデオの複合機や洗濯機と乾燥機の複合機のように複合的な機能を持った製品も多くあげられる。その様な製品の取り扱い、指定方法をどのように考えるのか。
二 引き渡し・回収・再商品化について
 (1) 第9条において、小売業者が引き取りをしなくても良い「正当な理由」とはどんな理由か、具体的な事例を想定して記されたい。また、小売業者が排出者に料金を請求したがもらえない場合は「正当な理由」に当たるのか。
 (2) 第17条において、製造業者が引き取りをしなくても良い「正当な理由」とはどんな理由か、具体的事例を想定して記されたい。
 (3) この法律の目的に照らした場合、自治体は自ら収集したものを製造業者等に引き渡す義務があると第8条は解釈されると考えるが、いかがであるか。
 (4) 政令で定められる第18条第2項の「生活環境の保全に資する事項」には冷蔵庫の断熱材、フロンの回収・処理は含まれるべきであると考えるが、いかがであるか。
 (5) 政令で定められる第22条第1項の「再商品化等を実施すべき量に関する基準」では、再商品化の量と熱回収の量は別々に定められるのか。また、熱回収より再商品化が優先されるべきであると考えるが、いかがであるか。
 (6) 製造業者等の再商品化等に関しては政令で規定されるが、自治体が自ら収集したのを、製造業者に引き渡す義務がない場合、自治体による再商品化等に関してはどのように規定されるのか。また、その場合製造業者等の再商品化等と自治体のそれとの整合性を図る必要があると考えるが、いかがであるか。
三 指定引取場所について
 (1) 指定引取場所の設置を各製造業者が個別に全国に設置することは現実的に困難であり、製造業者等にとって過度の負担となると考えられる。そのため、指定引取場所の設置に関しては第8条の自治体の責務に含まれるという解釈でよろしいか。
 (2) また同様の理由から、各製造業者等が個別に指定引取場所を設置するよりは、共同で設置する方が輸送効率等も優れ、地球温暖化防止の観点からも環境負荷をより削減できると考えるが、いかがであるか。
四 指定法人について
 (1) 指定法人は新しく設置するのか、それとも現在の財団法人家電製品協会がその任にあたるのか。
 (2) 指定法人を新たに設置する場合、その形態、時期はどうなるのか。その指定法人設立のための財源はどのようにするのか。
 (3) 指定法人の人事構成はどのようになるのか。また、指定法人の業務などに所管官庁がどの程度参画するのか。
 (4) 指定法人は中小の製造業者等からの再商品化の委託や、僻地からの収集など構造的に高コストの事業を強いられると考えられるため、赤字経営の懸念がされる。その場合、国は財政的な支援を行うのか。
五 コスト価格について
 (1) 本法により、製造業者等が特定家庭用機器の処理の役割を負い、排出者がその費用を負担することとなる。そのため自治体の負担が軽減され、その特定家庭用機器に関する収集・処理等の費用が削減できると考える。これに関する情報の開示が必要ではないか。新たな負担を強いられる国民の同意を得るためには必要なことと考えるが、いかがであるか。
 (2) 通産省が試算した本法施行での消費者の処理コスト負担が三千円から一万円となっているが、その算出の方法と根拠を記されたい。
六 短縮ルートと許可の問題について
  使用済み家電製品を小売店以外が引き取ったり、リサイクル業者が処理を行う場合には一般廃棄物の収集運搬業や処分(中間処理)業の許可が必要であり、この許可を市町村単位で取得しなければならない。
  しかし、宅配企業や適正なリサイクル業者が収集や再商品化等を行うことはその効率化や費用等の観点から、また規制緩和の観点からも促進されるべきものと言える。
  従って、特定家庭用機器の収集や処理に関しては、広域の許可制度にするべきであると考えるが、いかがであるか。
七 不法投棄対策について
  本法により排出者が特定家庭用機器の収集・処理費用を支払うこととなるが、そのため、排出者による不法投棄の増加が懸念される。前回の「廃棄物処理法」の改正によって不法投棄に対する罰則は強化されたが、特定家庭用機器の不法投棄防止の運用方法を記されたい。
八 廃棄物処理業者の問題
  本法により小売業者は特定家庭用機器に関しては、製造業者等に引き渡さなければならない。そのため、既存のリサイクル・処理業者等が特定家庭用機器の引き渡しを受けることが出来なくなる恐れがあるが、メーカーからの委託のない従来の処理業者が廃業に追い込まれる場合もありうると想定しているのか。

 右質問する。





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