答弁本文情報
昭和二十八年七月七日受領答弁第二一号
(質問の 二一)
内閣衆質第一九号
昭和二十八年七月七日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 堤 康次※(注) 殿
衆議院議員長谷川四※(注)君提出事業税の撤廃に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長谷川四※(注)君提出事業税の撤廃に関する質問に対する答弁書
現行事業税の存廃については、地方制度及び租税体系両面から検討を加える必要があるので、政府としても、地方制度調査会を設置して、鋭意研究している。なお、小額所得者の事業税負担の状況にかんがみ、個人の事業税については、既に基礎控除制度(三万八千円)を設け、個人事業者の負担の軽減と合理化を図つたのであるが、更にその基礎控除額を五万円に引き上げ、中小企業者の税負担を緩和いたしたいと考えて、地方税法の一部を改正する法律案を今国会に提出中である。
なお、中小企業の振興策としては、その産業上社会上に占める重要性からみて、各般の施策を一段と推進して、その地位の安定と強化を図り、景気変動に対する長期的な抵抗力を培養してゆく方針であるが、当面の具体策とすれば、次の点を推進してゆく方針である。
1 金融対策
市中金融機関の融資促進を図るとともに、商工組合中央金庫、国民金融公庫等の専門的金融機関を強化拡充する。
また、中小企業者が特に困難を感じている長期資金の融通を円滑化するため、中小企業金融公庫を設立すべく、今国会にその予算および法案を提出中である。
なお、中小企業信用保険制度についても、なお一層の利用促進を図るため、所要の改正を行うべく準備中であり、また信用保証協会の法制化等、各方面にわたつて中小企業の金融難の緩和を図つてゆく方針である。
協同組合の共同施設の利用による共同活動を中心として組織化を推進するため、共同施設補助金を増額するとともに、組合診断制度の実施等を通じて組合指導を徹底し協同組合の質的向上を図つてゆく方針である。
中小企業の合理化については、一面において企業診断制度を中心とする診断および指導対策を推進するとともに、他面合理化に必要な設備については、金融対策のほか、国有機械との機械交換制度の推進を図るとともに、都道府県における機械貸与制度の積極的な勧奨を図つてゆく方針である。