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平成十年六月十二日受領
答弁第三六号

  内閣衆質一四二第三六号
    平成十年六月十二日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員中野寛成君提出環境ホルモン(ダイオキシン・ビスフェノールA等)の問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中野寛成君提出環境ホルモン(ダイオキシン・ビスフェノールA等)の問題に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の環境ホルモン(体外から生物の体内に取り込まれて正常な内分泌を阻害し、生殖や発育等に影響を及ぼす可能性があると指摘されている化学物質をいう。以下同じ。)の問題については、現在、政府として、これによる人の健康や生態系への影響を未然に防止する観点から、国際的な連携を図りつつ、関係省庁において環境ホルモンによる環境汚染の状況、人の健康影響等に係る実態把握、作用メカニズムの解明、試験法の開発等に取り組んでいるところであり、これらの調査研究の結果を踏まえ、国民に対する環境ホルモンに関連する情報の必要かつ適切な提供を行うとともに、必要に応じ、適切な措置を講ずることとしており、これらにより国民の不安の解消に努めてまいりたい。
 また、環境ホルモンが人体に及ぼす影響については、国際機関等においても調査研究や情報交換が進められているが、現時点では、人体に及ぼす影響の有無、種類、程度等が科学的に未解明であるものと認識している。

二について

 市町村(一部事務組合を含む。以下同じ。)の設置するごみ焼却施設排ガス中のダイオキシン類の濃度の測定については、「ごみ焼却施設からのダイオキシン類排出実態等総点検調査の実施について」(平成八年七月十二日衛環第二百四十四号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)において、年間の平均的な運転状況に近い条件の日を設定して試料を採取し、測定を行うよう依頼したところであるが、御指摘の豊能郡環境施設組合の設置する豊能郡美化センターにおいては測定日に限ってその濃度を低減するための操作がなされ、調査の実施要領において定めた条件と異なる条件で試料の採取が行われたことが確認されている。このような操作により調査結果の信頼性が損なわれたことは、誠に遺憾であると考えている。排ガス中のダイオキシン類の濃度測定については、平成九年十二月一日から廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和四十六年厚生省令第三十五号)第四条の五第一項第二号カに基づいて実施することとされており、当該測定にあたり、このような操作が今後行われることのないよう、厚生省において当該組合を始め市町村に対する指導を強化してまいりたい。
 なお、当該施設について設備の改善は行われておらず、御指摘の設備改善報告の遅滞があったことは、承知していない。

三について

 御指摘のいわゆる風評被害により、御指摘の地域の住民が精神的苦痛や不利益を被っていることは承知しており、このような風評被害の沈静化を図るため、政府において、ダイオキシン類による汚染状況等に関する正確な情報を国民に提供することが重要であると考えている。
 また、御指摘の報道の在り方については、個々の報道に対する見解を述べる立場にないが、政府としては、引き続き国民に正確な情報を提供し、混乱が生じないように努めてまいりたい。

四について

 御指摘の調査については、厚生省においては、平成八年度から厚生科学研究として内分泌かく乱化学物質の人への健康影響に関する調査研究を実施しており、当該調査研究の課題の一つとして平成九年度から我が国の健常男子の精子の数、運動能等についての基礎的調査等を実施しているところである。
 また、環境庁においては、平成九年度から死亡者の精巣を用いた精子形成と体内の化学物質量との関係等に関する調査を実施しているところである。

五について

 御指摘の歯科材料であるコンポジット・レジン及びフィッシャー・シーラントにビスフェノールAが存在するか否かについては、そのような分析を行った結果を承知していないが、当該歯科材料のいずれの品目にも成分としてビスフェノールAそのものは用いられておらず、多くの品目においてビスフェノールAを原料として合成されたビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリレート(Bis ― GMA)が用いられていると承知している。
 御指摘のビスフェノールAの溶出に関しては、千九百九十六年にスペイン及び米国の研究者によりフィッシャー・シーラントからビスフェノールAが溶出した旨の報告がなされたが、その後に実施された米国、ドイツ及び我が国における複数の研究においては、コンポジット・レジン及びフィッシャー・シーラントのいずれからもビスフェノールAの溶出は認められない旨の報告がなされていると承知している。

六について

 御指摘のような環境問題に関し必要かつ適切な情報公開を行うことは、国民にいたずらな不安を与えないためにも重要と認識している。
 政府としては、環境ホルモンの問題について、国際的な連携を図りつつ、環境ホルモンによる環境汚染の状況や人の健康影響等に係る実態把握、作用メカニズムの解明、試験法の開発等に積極的に取り組み、新たな科学的知見や調査結果等の情報については、これを国民に適切に提供していくとともに、調査研究の結果を踏まえ、必要に応じ、適切な措置を講じてまいりたい。





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