答弁本文情報
平成十年六月二十三日受領答弁第三八号
内閣衆質一四二第三八号
平成十年六月二十三日
衆議院議長 伊※(注)宗一郎 殿
衆議院議員中川智子君外一名提出清掃工場建設と運営の情報公開に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員中川智子君外一名提出清掃工場建設と運営の情報公開に関する質問に対する答弁書
一の(1)について
我が国において研究者による一般廃棄物の焼却施設のばいじんからダイオキシン類(ポリ塩化ジベンゾフラン及びポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシンの混合物をいう。以下同じ。)の一種である四塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(以下「TCDDs」という。)が検出されたとの報告がなされた昭和五十八年(千九百八十三年)時点においては、欧米の研究者によるダイオキシン類の人体への影響に関する研究報告があったことは承知していたが、当時においてはダイオキシン類の人体に係る毒性評価の手法は確立しておらず、御指摘のドイツ等の欧州諸国においても、我が国と同様に、法律に基づく規制措置等のダイオキシン類の削減対策は実施されていなかったと承知している。
昭和五十八年に、厚生省が廃棄物処理に係るダイオキシン類についての問題を検討するために設置した「廃棄物処理に係るダイオキシン等専門家会議」(以下「専門家会議」という。)においては、市町村(一部事務組合を含む。以下同じ。)の設置するごみ焼却施設(以下「ごみ焼却施設」という。)の排出ガス中のTCDDsの人体への摂取量について、排出ガス中のダイオキシン類濃度の測定手法が確立していなかったため、排出ガスに含まれるばいじん中のTCDDsの含有率、ばいじん中のTCDDs濃度、排出ガスの拡散計算における拡散の条件、吸入したTCDDsの人体への摂取率等に関し人体への摂取量が最も多くなるよう一定の仮定をおいて、体重一キログラム当たり一日につき〇・〇〇一五八ナノグラムと推計した。また、ダイオキシン類のうち最も強い毒性を示すとされる二、三、七、八 ― 四塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(以下「二、三、七、八−TCDD」という。)の人体への影響について、前述の欧米の研究報告を基に、廃棄物処理に係るダイオキシン問題を評価考察するための評価指針として許容摂取量の値を暫定的に体重一キログラム当たり一日につき〇・一ナノグラムとした。専門家会議においては、以上の内容を踏まえ、排出ガスからのTCDDsの人体への摂取量と、これより毒性の強い二、三、七、八 ― TCDDの評価指針の値を比較した結果、当該摂取量は評価指針の値以下とされたものである。
厚生省としては、当時、専門家会議の報告を踏まえ、ダイオキシン類の削減対策に関し特段の措置を講じなかったが、その後、ダイオキシン類の人体に係る毒性評価や廃棄物の焼却施設におけるダイオキシン類の削減対策等に係る知見の集積が進んだことから、平成九年八月、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和四十六年厚生省令第三十五号)を改正し、廃棄物の焼却施設から排出されるダイオキシン類の濃度の基準値を定める等の規制措置を行うこととしたところである。
平成二年の「ダイオキシン類発生防止等ガイドライン」(以下「旧ガイドライン」という。)の策定に当たり、厚生省においては、専門家による「ダイオキシン類発生防止等ガイドライン検討会」(以下「旧ガイドライン検討会」という。)を設置してごみ焼却施設等におけるダイオキシン対策について検討し、その成果に基づいて旧ガイドラインを策定したところである。
旧ガイドラインにおいては、ごみ焼却施設からのダイオキシン類の排出を極力抑制することが望ましいことから、当時において技術的に実施可能な限り効率的にダイオキシン類の発生の防止を図るため、集じん効率の高い集じん器の設置、燃焼室における摂氏八百度以上での燃焼等の対策を推進することとしたところである。
また、御指摘のダイオキシン類の排出濃度の規制に関しては、旧ガイドライン検討会において、市町村に対する指導のための排出濃度の目標値を定めることについての議論はあったが、旧ガイドラインに示した対策を講じた場合にどの程度まで濃度を低下させることができるのかに関する定量的な知見に乏しかったため、旧ガイドラインにおいては、目標値を定めるに至らず、新設の全連続式ごみ焼却施設について、旧ガイドラインに示した対策を講じた場合には、排出ガス中のダイオキシン類の濃度が一立法メートル当たり〇・五ナノグラム程度以下になることが期待される旨を記載することとし、法令に基づく規制措置についても、当時においては、これを導入しなかったものである。
旧ガイドラインについては、その策定時に「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止対策の推進について」(平成二年十二月二十六日衛環第二百六十号厚生省生活衛生局水道環境部長通知)により、都道府県を通じて市町村に、旧ガイドラインを示してごみ処理に伴うダイオキシン類の発生防止対策の推進を指導したほか、平成三年及び平成四年に、都道府県の担当部局長を対象とした会議等において、都道府県に対して市町村において旧ガイドラインに示すダイオキシン類の削減対策が計画的に実施されるよう指導することを求め、その周知を図ったところである。
旧ガイドライン策定後における市町村のごみ焼却施設の運転管理の状況については、旧ガイドラインは廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)に基づく基準ではないことから、これの実施状況に関して、廃棄物処理法第十八条第一項の報告の徴収及び第十九条第一項の立入検査の措置は行っていないが、「ごみ焼却施設からのダイオキシン類排出実態等総点検調査の実施について」(平成八年七月十二日衛環第二百十四号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)により、すべてのごみ焼却施設の排出ガス中のダイオキシン類濃度等について調査を行ったところである。また、御指摘の既設のごみ焼却施設の改善措置については、市町村がごみ焼却施設の改造を行う場合に、その費用の一部を国庫補助の対象とすることにより、その推進を図ってきたところである。
御指摘の健康調査の実施については、地域住民等の健康の保持の観点から、関係する地方公共団体において必要性も含めて判断されるものであるが、現時点においてはダイオキシン類の健康影響の調査の前提となる必要な指標、評価方法等が確立されていない状況にあるため、直ちに実施することは困難であると考える。
厚生省においては、現在、ダイオキシン類による人体の汚染状況の把握及びその健康影響の評価に関する調査研究を推進しているところであり、平成九年度には、厚生科学研究費補助金の対象となる厚生科学研究において、母乳中のダイオキシン類に関する調査研究の調査対象人数を増やす等調査内容を拡充するとともに、血液等の人体の汚染状況に関する調査研究にも着手したところである。これらの調査研究を実施するためには、調査対象者の協力を得る必要があることから、御指摘の地域住民並びに高校教職員及び生徒を調査対象とすることについて、関係する地方公共団体の意向も踏まえながら、適切に配慮してまいりたい。
旧ガイドライン策定当時においては、ダイオキシン類の排出削減対策に関して、炉頂型ガス冷却設備に特有の状況についての知見がなかったため、旧ガイドラインにはそれに関する内容は含まれていない。その後、厚生省が平成九年一月に策定した「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」(以下「新ガイドライン」という。)の検討に当たり、厚生省が設置した「ごみ処理に係るダイオキシン類排出削減対策検討会」において、ダイオキシン類の発生機序についての当時の新しい知見に基づき、当該ガス冷却設備については、ダイオキシン類の排出濃度が高い場合には、水噴射ノズルを上方へ移設すること等の改造がダイオキシン類の発生を抑制する観点から有効であるとの指摘がなされたため、厚生省においては、新ガイドラインに当該内容を盛り込んだものである。厚生省においては、新ガイドラインの策定の時点で初めてこうした知見を得たことから、新ガイドライン策定以降は、これに基づいて都道府県を通じて市町村を指導しているものである。
ごみ処理の広域化について、厚生省においては、「ごみ処理に係るダイオキシン類の削減対策について」(平成九年一月二十八日衛環第二十一号厚生省生活衛生局水道環境部長通知)により、都道府県に対し、ごみ処理の広域化計画(以下「広域化計画」という。)を策定し、広域化計画に基づいて市町村を指導するよう通知するとともに、同年五月には「ごみ処理の広域化計画について」(平成九年五月二十八日衛環第百七十三号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)により、広域化計画の具体的内容について通知したところである。都道府県においては、これらを踏まえて、広域化の円滑な推進を図るため、市町村と調整しつつ、広域化計画を策定しているところである。
厚生省においては、都道府県の広域化計画の策定に要する費用の一部について、国庫補助の対象とすること等広域化計画の策定の支援に努めているところである。
御指摘の豊能郡美化センター周辺の土壌等から高濃度のダイオキシン類が検出された問題については、厚生省において、本年四月二十二日に当該施設の設置者である豊能郡環境施設組合及び大阪府から事実関係を聴取したところ、厚生省が依頼した調査における当該施設のダイオキシン類排出濃度の測定に当たり、当該施設では測定当日において、ごみの収集袋を破り中身を取り出して焼却する、排ガスが集じん器に流入する入口の温度を通常より下げる等通常の運転とは異なる運転の下で試料の採取を行ったこと、ばいじんの野積みがなされたとの報道についてはそのような事実はないこと等の説明があった。
ごみ焼却施設については、廃棄物処理法においては、第九条の三第一項の規定により、市町村がその設置を都道府県知事に届け出なければならないこと、第九条の三第三項の規定により、都道府県知事は第八条の二第一項第一号に規定する技術上の基準に適合していないと認める場合には市町村に対し当該届出に係る計画の変更又は廃止を命ずることができること及び第九条の三第五項の規定により、当該ごみ焼却施設を設置した市町村が第八条の三に規定する技術上の基準等に従い維持管理をしなければならないこととされており、御指摘のメーカーが企業として廃棄物処理法上の責任を問われることはないものと考えている。
東久留米市、田無市、保谷市及び清瀬市により構成される一部事務組合である柳泉園組合(以下「柳泉園組合」という。)は、ごみ焼却施設の建設を計画し、平成七年度において施設整備を行うため、平成六年十一月、東京都を通じて厚生省に平成七年度のごみ焼却施設整備計画書を提出したが、他方、柳泉園組合が平成七年度において当該ごみ焼却施設の建設予定地の隣接地にし尿処理施設の建設を行うこととなり、当該し尿処理施設の建設工事が完了するまでごみ焼却施設の工事現場の確保等が困難となったため、柳泉園組合は、平成七年度の当該ごみ焼却施設の整備計画書を平成七年三月に取り下げたものである。
その後、柳泉園組合は、平成八年度において当該ごみ焼却施設の整備を行うため、平成七年十月、東京都を通じて厚生省に平成八年度の整備計画書を提出したが、その後において、当該ごみ焼却施設の建設予定地の周辺の住民からの要望により煙突の高さを変更することに伴い、環境影響評価を再度実施することとなったため、施設整備を一年間延期することとなった。このため、厚生省としては、平成八年度における国庫補助の内示を行わなかったものである。
さらに、柳泉園組合は、平成九年度において当該施設整備を行うため、平成九年一月、東京都を通じて厚生省に平成九年度の整備計画書を提出したが、当時柳泉園組合においては、廃棄物処理法第六条第一項に定める一般廃棄物処理計画(以下「処理計画」という。)の見直しを行っており、これに伴って当該施設におけるごみ処理量の変更が見込まれたことから、提出された整備計画書と見直し後の処理計画の整合性を確認する必要があるため、厚生省においては、平成九年四月一日に行った平成九年度の当初の国庫補助の内示においては、当該施設について内示を保留したところであるが、柳泉園組合が同年五月二十三日に東京都を通じて厚生省に提出した見直し後の処理計画と整備計画との整合性が確認できたので、同月二十七日付けで国庫補助の内示を行ったところである。
柳泉園組合が平成九年五月に東京都を通じて厚生省に提出した処理計画においては、ごみ排出量の予測の見直しにより、当該施設におけるごみの処理量が減少したが、同時に、設備の点検等に要する期間を考慮した通常考えられる稼働率に比べて高く設定されていた当該施設の稼働率を通常の稼働率に設定し直した結果として施設整備規模が変わらなかったものであると承知している。
柳泉園組合が平成九年一月に提出した施設の整備計画においては、平成九年度から平成十三年度までの五年間において焼却炉三炉及び灰溶融炉一炉を建設することとし、このうち平成九年度から平成十一年度までの間に焼却炉二炉及び灰溶融炉を建設し、平成十二年度及び平成十三年度に残りの焼却炉一炉を建設することとしていたが、平成十年一月に提出された当該計画の一部変更においては、平成九年度から平成十一年度までの間に焼却炉三炉を建設し、灰溶融炉については平成十二年度及び平成十三年度に建設することとしたところである。厚生省としては、当該変更は、施設の建設順序の変更及び焼却炉と灰溶融炉の配置場所の交換であって、施設の建設期間や施設整備規模の変更ではないことから、施設整備計画全体を対象に実施する国庫補助として当該整備計画変更前に行った内示は有効と考えている。
御指摘の施設整備規模が変化しない理由は、二の(3)についてで述べたとおりである。
また、御指摘の建設費の圧縮については、柳泉園組合における施設整備計画の変更は、設備の建設順序の変更及び焼却炉と灰溶融炉の配置場所の交換であって、施設の建設期間や施設整備規模の変更ではないことから、当該施設整備計画全体に要する費用の変更はないものと判断したところである。
ごみ焼却施設の整備費に係る国庫補助の額については、従来、当該施設の整備に関し国庫補助の対象となる部分の事業に実際に要した費用(以下「対象事業費」という。)に一定の補助率を乗じて算定してきたところであるが、平成五年度から、「廃棄物処理施設整備費の国庫補助について」(平成五年六月十八日厚生省生衛第六百二十二号厚生事務次官通知)により、施設整備規模に応じて厚生大臣が基準となる事業費(以下「基準事業費」という。)を定め、当該整備事業の対象事業費と基準事業費を比較して、いずれか少ない方の額に補助率を乗じて算定することとしたところである。したがって、施設整備計画に変更があり、工費が削減された場合においても、施設整備規模に変更がなく、対象事業費が基準事業費を上回っている場合には、当該変更に伴って国庫補助額を変更することはないものである。
平成九年度に着工したごみ焼却施設整備においては、対象事業費が基準事業費を上回った事例として、一日当たりの処理能力が百トンの施設の場合、基準事業費が二十億六千二百三十五万円であったのに対し、対象事業費が三十五億六千五百八十七万六千円であったものがある。
御指摘の点については、市町村が提出する整備計画書を都道府県において審査する場合の基準として、建設着工年度における着工の確実性を判定する必要があることから、「平成八年度廃棄物処理施設整備計画書の提出について」(平成七年九月二十日衛環第百九十八号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)及びそれ以前の通知においては「補助事業の円滑な遂行を図るため、必要に応じ、施設整備に対する関係住民の了解が得られていること。」としていたが、当該記述では整備計画書の提出の段階では関係住民等との調整が終了していなくとも国庫補助の内示までには説明会の実施等により調整が終了することが見込まれる場合には整備計画書を提出できることが不明であったことから、当該趣旨を明らかにするため、「平成九年度廃棄物処理施設整備計画書の提出について」(平成八年九月十一日衛環第二百四十九号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知。以下「変更後通知」という。)においては「必要に応じ都市計画決定の諸手続や地域住民との調整が図られる等、平成九年度着工の見込みがあること。」としたところである。
実際の取扱いは、従来から変更後通知のとおりであり、平成九年度分からこれを変更したものではないので、改めて通知し直す必要はないと考えている。
柳泉園組合の整備計画の変更に当たり、御指摘の事前評価は行われなかったと承知しているが、二の(4)についてで述べたとおり、当該計画の変更については、設備の建設順序の変更及び焼却炉と灰溶融炉の配置場所の交換であって、施設の建設期間や施設整備規模の変更ではないことから、当該変更に係る事前評価を行う必要はなかったものと考える。
厚生省においては、提出された整備計画書に係る整備計画が、整備計画書の提出に関し毎年度示す通知に定める要件を欠いていると認められる場合には、当該整備計画が要件に適合するまでの間国庫補助の内示を保留する取扱いとしている。このような事例としては、整備年度の国庫補助の内示までに用地を確保し、当該年度に着工する見込みであるとの判断の下に整備計画書を提出したが、国庫補助の内示までに用地が確保できなかったために、内示を保留した例がある。このような場合については、用地が確保され、要件に適合したことを厚生省において都道府県を通じて確認した上で改めて国庫補助の内示を行うこととなる。
柳泉園組合の事例については、二の(1)及び(2)についてで述べたとおり、厚生省においては、要件に適合するまでの間平成九年度の国庫補助の内示を保留したところであるが、その後、要件に適合したことについて東京都を通じ確認した上で国庫補助の内示及び国庫補助金の交付を行ったものである。
厚生省において東京都及び埼玉県に照会したところ、東京都内の二市及び二つの一部事務組合並びに埼玉県内の二市が、焼却灰の無害化及び再資源化技術の開発により、焼却灰の有効利用を推進するための実験を行うことを目的として、民間会社に当該焼却灰の処理の委託を行ったとの回答があったところであり、また、実験に用いた焼却灰の総量は平成七年十月から平成十年一月までの間で一万六千九百一トン、再生品の総量は同期間に九千三百五十六トンであるとの回答があったところである。
御指摘の再生品の有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(平成五年条約第七号)との関係については、政府としては、同条約の的確かつ円滑な実施を確保するために制定された特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(平成四年法律第百八号)第二条第一項に規定する特定有害廃棄物等に当該再生品が該当するか否かを、同項第一号に定める廃棄物の種類、性状、目的とする処分作業等に照らして判断することとしているが、これについては、更に事実関係を確認する必要があると考えている。
また、厚生省において御指摘の民間会社の実験施設が設置されている区域を管轄する茨城県に照会したところ、当該会社が焼却灰を用いて製造した当該再生品の保管量は、四千七百八十八トンであるとの回答があったところであり、さらに、厚生省において同県からの回答に基づき福井県に照会したところ、当該再生品の製造に伴って排出された残さ(以下「実験残さ」という。)は福井県内の最終処分場において処分されたとの回答があったところである。
厚生省において茨城県及び福井県に照会したところ、当該会社の施設においては搬入した焼却灰の全量を実験に使用したが、実験残さについては福井県内の最終処分場において処分されたとの回答があったところである。
お尋ねの調査協力要請については、厚生省において、実験残さの処分を行った最終処分場が設置されている区域を管轄する福井県にも報告を要請し、当該会社の施設からの実験残さの搬入状況について報告を受けたところである。
一般廃棄物の焼却灰の再生利用については、溶融固化による方法が有効であることから、厚生省において、平成十年三月、「一般廃棄物の溶融固化物の再生利用に関する指針」を策定し、「一般廃棄物の溶融固化物の再生利用の実施の促進について」(平成十年三月二十六日生衛発第五百八号厚生省生活衛生局水道環境部長通知)により、都道府県に対し、当該指針に基づく溶融固化物の適正な再生利用の実施の促進について市町村を指導するよう求めたところである。この指針においては、生活環境の保全の観点から溶融固化を行うに当たり満たすことが望まれる基準として一般廃棄物の溶融固化物からのカドミウム等六項目の物質の溶出基準を定めたところである。