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答弁本文情報

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平成十年七月二十八日受領
答弁第五七号

  内閣衆質一四二第五七号
    平成十年七月二十八日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員坂口力君提出石油流通問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員坂口力君提出石油流通問題に関する質問に対する答弁書



一について

 揮発油等の品質の確保等に関する法律(昭和五十一年法律第八十八号。以下「品確法」という。)に基づく揮発油販売業者の登録によれば、平成六年度から平成九年度までの各年度末における給油所数の推移は次のとおりである。
  平成六年度末 六〇、四二一
  平成七年度末 五九、九九〇
  平成八年度末 五九、六一五
  平成九年度末 五八、二六三
 なお、揮発油等の品質の確保等に関する法律施行規則(昭和五十二年通商産業省令第二十四号)では、揮発油販売業者の登録の際に必要な申請書の記載事項の一つとして、「給油所ごとの揮発油の購入先」を挙げているが、揮発油の購入先が単一でなく複数にわたる場合、登録後揮発油の購入先を変更する場合等があるため、実際に各給油所がどのような商標のサインポールを掲げているかを把握する仕組みとはなっておらず、給油所数の系列ごとの内訳については、正確な数値を把握していない。

二について

 石油審議会石油部会石油流通問題小委員会の取りまとめ(以下「流通問題小委員会取りまとめ」という。)に記載された規制緩和等にかかわる施策に関して、その根拠法律及び政省令とその進ちょく状況については、別表記載のとおりである。

三について

 流通問題小委員会取りまとめにおいては、今後の行政の対応として、規制緩和の趣旨が徹底され、市場メカニズムが健全に機能することを確保すべく、供給元証明や輸出承認手続という制度の見直しや、不当廉売の解消等の公正競争ルールの徹底等による競争環境の整備を図っていくべきであると指摘された。あわせて、累次の規制緩和の定着を図るため、エネルギー安全保障の観点から必要となる場合を除き、行政は市場への関与を極力抑制していくことが求められているとも指摘された。
 こうした指摘を踏まえ、通商産業省においては、事業者の経営の自由度を広げ、多様な選択肢を意識した事業者の創意工夫の発揮を促すために、平時における行政の関与を抑制し、供給元証明の廃止、石油製品輸出の実質自由化といった規制緩和措置を実施するとともに、公正競争ルールの徹底については、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)において問題とされる不当廉売等の解消に向け、公正取引委員会とより密接な連携をとっているところである。
 なお、緊急時対応の在り方については、今秋以降、石油審議会において、検討することとしている。

四の1から3までについて

 商標権は、その権利者の業務上の信用を維持するため、商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)によって保護されており、同法による権利の行使と認められる行為については、独占禁止法の適用が除外されている。商標法上の権利行使として、商標権者は登録商標の使用を許諾する権利を有し、許諾された者は、当該通常使用権の設定行為で定められた範囲内で、指定商品等について登録商標を使用することができる。
 揮発油等の場合は、商品それ自体に商標を付することが困難であり、サインポール等給油所の設備に付された商標が消費者にとって事実上唯一の情報となること等の理由から、揮発油等供給業者が販売業者に登録商標の使用を許諾する際に、これを使用する給油所が他の供給元の揮発油等を取り扱うことを制限する場合が多い。
 この場合、揮発油等供給業者と販売業者との間の契約において、揮発油等供給業者の登録商標を使用して販売する揮発油等はすべて当該揮発油等供給業者が供給したものでなければならない旨の義務を課したとしても、直ちに独占禁止法上違法となるわけではないが、例えば、有力な事業者が、登録商標の使用の許諾に際して、他の供給元の揮発油等の取扱いを禁止することによって、新規参入者や既存の競争者にとって代替的な流通経路を容易に確保することができなくなるおそれがある等の場合には、不公正な取引方法に該当して、同法上違法となる可能性があり得る。なお、この判断については、個別具体的事例に即してなされることとなる。
 流通問題小委員会取りまとめでは、「ライセンサーが商標保護のためにライセンシーの取引先選択の自由を制限する場合には、他の取引条件等も総合的に勘案し、双方にとって魅力的、合理的な取引条件の設定がなされることが、このような取引が選択される当然の前提である」と指摘している。

四の4から6までについて

 商標は、一般に、自他商品識別機能のほか、品質保証機能、広告宣伝機能を有するとされている。こうした商標の機能にかんがみ、商標権は、その権利者の業務上の信用を維持するため、商標法によって保護されており、同法による権利の行使と認められる行為については、独占禁止法の適用が除外されている。商標権の行使が適正に行われている限りにおいては、商標の厳格な保護は、消費者利益との関係からも、積極的に評価されるものである。
 揮発油等の場合は、商品それ自体に商標を付することが困難であり、サインポール等給油所の設備に付された商標が消費者にとって事実上唯一の情報となること等の理由から、揮発油等供給業者が販売業者に登録商標の使用を許諾する際に、これを使用する給油所が他の供給元の揮発油等を取り扱うことを制限する場合が多いが、この場合、揮発油等供給業者と販売業者との間の契約において、揮発油等供給業者の登録商標を使用して販売する揮発油等はすべて当該揮発油等供給業者が供給したものでなければならない旨の義務を課したとしても、直ちに独占禁止法上違法となるわけではない。
 一方、揮発油等供給業者が販売業者に登録商標の使用を許諾する際に、指定商品である揮発油等以外についても他の揮発油等供給業者とは一切取引してはならない旨を義務として課した場合には、商標権者が有しているのは指定商品等について登録商標の使用を独占的に行う権利であることにかんがみれば、商標法による権利の行使と認められる行為を逸脱しているため、独占禁止法による不公正な取引に該当するか否かの判断が必要となる。なお、この判断については、個別具体的事例に即してなされることとなる。

四の7について

 御質問にあるような元売業者間において広く行われている石油製品の融通制度(バーター取引)においては、実際の製造者と商標権者が異なることになるが、他の製造者の製品であっても、自社の製品の品質規格に合致するものとして自社製品として保証する場合には、他の製造者の製品について自社の登録商標を使用することは、商標権者の責任と判断において認められる。

五の1について

 商標権の行使が適正に行われている限りにおいては、揮発油等供給業者が販売業者に登録商標の使用を許諾する際に、当該商標を使用して販売する揮発油等はすべて商標権者たる揮発油等供給業者が供給したものでなければならない旨の義務を課したとしても、直ちに独占禁止法上違法となるわけではない。
 販売業者の取引先の選択肢としては、これまで取引してきた供給元にかかわらず他の供給元との取引条件を比較、選択することや、販売業者自身のプライベート・ブランドの活用によりノンブランド製品を購入すること等がある。

五の2について

 揮発油は流体であってバルク状で取引されることが一般的であるため、途中の流通段階において他の油種との混和の可能性があること、消費者が見ても品質や混和について判断できないこと等から、揮発油販売業者に対して、原則として、十日に一回揮発油の分析を行わせることにより、規格不適合の揮発油を消費者に販売することを防止しているが、十日に一回の分析義務については、流通経路に変更がないことが継続的に保たれ、揮発油生産業者等の製品の品質に変更が加えられないことを条件に、揮発油生産業者等から供給を受ける販売業者の分析義務を一年に一回とする軽減措置が認められている。
 ノンブランド製品についても、ノンブランド製品の供給業者が、国が指定する分析機関による品質確認を受けた場合には、当該供給業者から供給を受ける販売業者も、分析義務の軽減措置を活用することが可能となる。
 販売業者が仕入先を頻繁に変更する場合は、ブランド製品、ノンブランド製品のいかんにかかわらず、前述のような揮発油の特性にかんがみ、流通段階で混和が行われる可能性を否定し得ない現状においては、消費者保護等の観点から、十日に一回の分析義務を課す必要があるものと考えている。

六について

 石油製品の共同購入は、製品の調達コストを削減し、また、販売業者の価格交渉力の向上に資する場合があることから、通商産業省においては、本年四月に策定した中小企業近代化促進法(昭和三十八年法律第六十四号)に基づく石油製品の販売業の中小企業近代化計画において、共同購入によるコスト競争力の強化を経営効率化の選択肢の一つとして位置付けたところである。



別表

別表


別表
(注)「根拠法令」とは、当該規制の根拠となっている法令をいう。





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