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平成十年七月二十一日受領
答弁第六二号

  内閣衆質一四二第六二号
    平成十年七月二十一日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員枝野幸男君提出二〇〇五年日本国際博覧会(愛知万博)に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員枝野幸男君提出二〇〇五年日本国際博覧会(愛知万博)に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 愛知県における県債の発行額及び現在高並びに歳出総額に占める公債費の割合を平成四年度から平成八年度までの各年度について示すと、別表第一のとおりである。
 愛知県の財政状況は、都道府県全体における傾向と同様に、税収の伸び悩み、公債費等の義務的経費の増加等により厳しくなっているものと認識している。

一の(2)について

 愛知県における起債制限比率及び税収に占める公債費の割合を平成四年度から平成八年度までの各年度について示すと、別表第二のとおりである。愛知県においては今後公債費の増大が見込まれるところであるが、同県における将来の起債制限比率等については、今後の税収の動向とも関連することから、現段階で推測することは困難である。

一の(3)について

 起債制限比率が二十パーセント以上三十パーセント未満である地方公共団体については原則として厚生福祉施設整備事業債及び一般単独事業債を、また起債制限比率が三十パーセント以上である地方公共団体については原則として一般事業債を許可しないこととしている。

一の(4)について

 愛知県の財政については、愛知県の自主的な健全化の努力を見守りつつ、必要な指導及び助言を適時かつ適切に行ってまいりたい。

二の(1)について

 中部国際空港は、増大する中部圏の航空需要が平成十七年頃に名古屋空港の滑走路等の処理能力を上回ることが予測されることから、昨年閣議決定された空港整備七箇年計画において、最優先課題として整備を推進する大都市圏における拠点空港の一つとして位置付けられたものであり、空港建設に要する期間を勘案して、平成十年度から建設事業に着手することとしたものである。
 中部国際空港の建設の工程としては、環境アセスメント、漁業補償等の諸手続に一年半程度、その後の現地での工事等に五年半程度をそれぞれ見込んでいる。
 空港への交通については、主要な道路となる知多横断道路について、空港開港時までに整備を図る方向で、現在関係者間において都市計画決定に向けた調整が進められていると聞いている。また、空港対岸部から空港島へ至る連絡道路については、空港建設と整合性を持って整備が図られるよう、愛知県が中心となって検討が進められていると聞いている。さらに、名古屋鉄道株式会社常滑線から空港へ至る連絡鉄道施設について、地元地方公共団体、鉄道事業者、経済界等で構成される中部国際空港連絡鉄道施設整備協議会において、その整備主体となる第三セクターの設立に向けた準備が進められていると聞いており、必要な道路及び鉄道のいずれについても、空港開港時までに整備が行われるよう関係者間の調整が進められているものと承知している。

二の(2)及び(3)について

 我が国における航空ネットワーク形成の拠点となる国際ハブ空港については、空港後背圏の経済力が大きく、航空需要が大きい大都市圏に設置することが適切であるとの考え方の下にその整備を推進しているところであり、新東京国際空港の平行滑走路等の整備、関西国際空港の二期事業及び中部国際空港の整備は、我が国全体の国際航空需要に対応すると同時に、それぞれ首都圏、近畿圏及び中部圏における航空需要に対応することを目的として行われるものである。中部国際空港の整備は、平成十七年頃には名古屋空港の処理能力を上回ることが予測される中部圏の航空需要の増大に対応するために不可欠であることから、新東京国際空港及び関西国際空港の整備が行われても必要とされるものである。

二の(4)及び(5)について

 中部国際空港に係る総事業費は、七千六百八十億円と見込まれており、中部国際空港の設置及び管理に関する法律(平成十年法律第三十六号)に基づき同空港の設置及び管理を行う者として指定を受けた中部国際空港株式会社(以下「会社」という。)は、同空港の建設期間中に、総事業費の四割を国、地方公共団体及び民間からの出資及び無利子借入れにより調達するとともに、残る六割を政府保証債、日本開発銀行からの融資、民間金融機関からの融資等により調達し、開港後に、着陸料等の収入により空港の維持管理及び負債の償還に要する費用を賄うこととなる。
 また、会社の設立に至る過程における検討によれば、会社は、空港開港後おおむね五年強程度で単年度の損益計算上の利益を生じ、空港開港後十年から十五年程度で累積損失を解消することを目指すとされているところであり、会社の採算性は確保されるものと考えられる。
 なお、中部国際空港の維持管理に要する費用、負債の償還計画及び会社の採算性に関する詳細については、具体的な経営に係る事項として、今後会社において検討がされるものと考えている。

二の(6)について

 現在、名古屋空港では、ターミナル地域の整備事業を実施しており、その事業費は、国が直接実施するエプロン、駐車場等の施設の整備事業分が約三百四十億円、名古屋空港ビルディング株式会社が実施する国際線ターミナルビルの整備事業分が約二百二十億円、合計約五百六十億円と見込まれている。その財源は、国が実施する事業については国の空港整備特別会計の資金であり、名古屋空港ビルディング株式会社が実施する事業については同社が調達した民間の資金である。
 エプロン、駐車場等の施設については、平成五年度に工事に着手して以降、施設の完成の都度、順次供用を開始しており、平成十年度末にはすべての工事が完成する予定である。また、国際線ターミナルビルについても、平成十年度末に工事が完成する予定であると聞いている。

二の(7)について

 中部国際空港は、増大する中部圏の航空需要が平成十七年頃に名古屋空港の滑走路等の処理能力を上回ることが予測されることから、中部圏における新たな拠点空港としてその整備を推進するものである。一方、名古屋空港については、近年の特に国際線における航空旅客数の急増に伴うターミナル面積等の不足によって利用者の利便が著しく阻害されていることから、ターミナルビル等の混雑の緩和を目的としてターミナル地域の整備事業を実施しているところである。
 このように、将来における航空需要の増大に対応するために行われる中部国際空港の整備と、現在における利用者の利便の阻害を緊急に解消するために行われる名古屋空港ターミナル地域の整備とは、その目的を異にするものであり、いずれも実施する必要があると考えている。

三について

 二千五年日本国際博覧会(以下「本博覧会」という。)については、「愛知県における国際博覧会の開催申請について」(平成七年十二月十九日閣議了解)において環境影響評価を適切に行うこととされており、その具体的な実施方法については、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)の趣旨も踏まえ、専門家の助言も得て、通商産業省が「二千五年日本国際博覧会環境影響評価要領」(以下「評価要領」という。)として定め、平成十年三月二十七日付け通商産業大臣官房商務流通審議官通達により、財団法人二千五年日本国際博覧会協会(以下「博覧会協会」という。)に通知している。
 御指摘の「環境影響評価実施計画書」は、評価要領に基づき、事業者である博覧会協会が自らの判断で作成し、環境影響評価の項目、調査の手法等について意見の募集を行ったものであり、政府としては、今後環境影響評価の手続が進む中で、博覧会協会に対して必要に応じ助言をし、又は意見を述べるとともに、環境の保全につき適正な配慮がなされるよう審査、指導等を行っていく所存である。

四について

 環境影響評価法第十三条に基づいて環境庁長官が定める基本的事項(平成九年環境庁告示第八十七号)においては、環境保全措置の検討に当たっての留意事項の一つとして、環境保全措置の検討に当たっては、環境への影響を回避し、又は低減することを優先するものとし、必要に応じ環境影響評価の対象事業の実施により損なわれる環境要素と同種の環境要素を創出すること等により当該損なわれる環境要素の持つ環境の保全の観点からの価値を代償するための措置(以下「代償措置」という。)を検討すべき旨が定められており、この趣旨を踏まえ、評価要領においても、環境保全措置の一つとして必要に応じて代償措置を検討すべきことを定めている。これを受け、本博覧会に係る環境影響評価実施計画書においても、必要に応じて代償措置の検討を行う旨が盛り込まれており、当該検討については、評価要領に基づき、必要な調査を十分実施する等により適切に行われるものと考えている。

五について

 愛知県からは、名古屋瀬戸道路及び瀬戸市南東部地区新住宅市街地開発事業に係る環境影響評価の実施に際しては、本博覧会に係る環境影響評価との連携を図る旨が表明されている。これは、愛知県及び博覧会協会において、環境影響評価に関する統一的な資料を作成して地元に分かりやすく提示すること、情報を共有しつつ環境の保全のための措置等を適切に講じること等により全体として適切な環境影響評価が行われることを目指すという趣旨であると理解している。

六について

 瀬戸市南東部地区新住宅市街地開発事業については、現在愛知県において都市計画決定に向けた手続を進めているところであると聞いているが、当該事業に係る住宅地の処分価格等については承知していない。

七について

 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第三条各号の一に該当する事業については、同法の定めるところにより、土地を収用し、又は使用することができる。
 新住宅市街地開発事業については、健全な住宅市街地の開発及び居住環境の良好な住宅地の供給という高い公共性を有する事業であることから、地方公共団体等が施行者となる場合には、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第六十九条の規定により、土地収用法第三条各号の一に規定する事業に該当するものとみなし、同法の規定を適用することとされているところである。
 なお、これらの制度の適用については、それぞれの事業主体において判断されるものである。

八について

 第二東海自動車道、東海環状自動車道及び名古屋瀬戸道路が本博覧会の開催に必要な道路と位置付けられるかは未定である。本博覧会の開催に必要な道路については、現在博覧会協会が実施している観客輸送計画調査の結果を考慮に入れて、今後検討されるものである。

九の(1)について

 幡山連合自治会が平成四年に発行した「幡山村誌」によれば、海上の森の存する瀬戸市において、宝暦七年の「宝暦の大水」等の河川の氾濫等による災害が発生したとされている。

九の(2)について

 現時点においては、瀬戸市南東部地区新住宅市街地開発事業に係る保安林解除申請書が提示されていないため、御質問に対する回答は困難である。

九の(3)について

 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二十六条第二項は、農林水産大臣は、公益上の理由により必要が生じたときは、その部分につき保安林の指定を解除できると規定しており、指定の解除については、当該保安林の指定の目的の達成に支障のないよう代替施設の設置等の措置が講じられるか等も慎重に審査し、適切に行っているところである。

十の(1)、(3)及び(4)について

 本博覧会の会場候補地については、本博覧会の開催申請に係る平成七年十二月の閣議了解を行う際に、環境保全に配慮する観点から主要施設を整備する区域を縮小する等の見直しを行ったところであり、また同閣議了解においても、本博覧会に係る計画の具体化に当たって自然環境の保全に十分配慮すること、環境影響評価を適切に行うこと等を確認しているところである。平成八年四月の博覧会国際事務局(以下「BIE」という。)への開催申請はこれらを踏まえて行われ、平成九年六月の第百二十一回BIE総会において支持が得られたものであることから、現在の会場候補地を基本として、環境影響評価が適切に実施されるよう必要に応じ博覧会協会を指導してまいりたい。
 また、本博覧会の開催申請に係る閣議了解においては、「会場建設事業については、長期的地域整備との整合性を十分図ること」とされており、これを踏まえた会場計画の策定が行われるものと考えている。

十の(2)について

 環境庁が実施している「自然環境保全基礎調査」においては、植生を、その土地に加えられた人為の影響の度合いに応じて「植生自然度」として区分している。植生自然度の区分では、「コナラ群落」及び「アベマキ群落」は「二次林」に、「スギ・ヒノキ植林地」は「二次林」より人為による影響の度合いの高い「植林地」に分類されている。

十一の(1)及び(2)について

 瀬戸市南東部地区新住宅市街地開発事業については、現在愛知県において都市計画決定に向けた手続を進めているところであると聞いているが、当該事業に係る土地利用その他の具体的内容は承知していない。

十一の(3)について

 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二十条は「建築物は、自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造でなければならない」と規定しており、建築物の地震に対する安全性を含めた建築物の構造強度の基準については、建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第三章に定められている。同令の規定に適合する建築物については、おおむね震度六強から七程度に相当する大規模な地震に対して、建築物の倒壊等による人命に危害を及ぼすような被害を生じることはないものと考えている。
 なお、阪神・淡路大震災後に建設省に設置された建築震災調査委員会の最終報告(平成七年十二月二十七日)においては、兵庫県南部地震の被害調査によれば、建築基準法施行令第三章に規定する現行の構造強度の基準によって設計された建築物は大きな被害を受けておらず、当該基準はおおむね妥当なものであったと考えられるとされているところである。

十二について

 御指摘の「環境への配慮」については、愛知県及び地元市が独自に作成した資料であり、国としてはその調査方法等について承知していない。
 なお、瀬戸市南東部地区新住宅市街地開発事業及び名古屋瀬戸道路については、愛知県が環境影響評価を実施することとしていると聞いている。

十三の(1)について

 本博覧会の会場候補地内には、古窯跡、古墳等の埋蔵文化財が存するものと承知している。
 会場候補地内の埋蔵文化財の取扱いについては、適切な措置が講じられるよう、愛知県教育委員会及び瀬戸市教育委員会と事業者との間において本博覧会に係る計画策定の段階から調整が行われているものと承知しているが、今後とも、必要に応じ関係教育委員会及び事業者を指導してまいりたい。

十三の(2)について

 埋蔵文化財は、我が国の歴史、文化等の正しい理解のために欠くことのできないものであり、かつ、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることから、その適切な保存及び活用に努めることが必要と考えている。

十三の(3)及び(4)について

 現在愛知県が都市計画決定に向けた手続を進めている瀬戸環状東部線が、塚原古墳群の存する地域を通過することとなると聞いている。

十三の(5)及び(6)について

 本博覧会の会場候補地内に江戸時代の石切り場の遺跡が存在することについては承知していないが、古窯が存在すること並びに神社及び民間信仰の跡があることについては承知している。
 いずれにしても、本博覧会の会場計画については、「新しい地球創造 ― 自然の叡智」というテーマに即して適切な形で具体化されていくものと考えている。



別表第一

別表第一
(注)都道府県平均は、加重平均である。



別表第二

別表第二
(注)都道府県平均は、加重平均である。





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