平成16年5月12日(水)(第1回憲法調査会公聴会)

日本国憲法に関する件について、公聴会を開き、公述人から意見を聴取した後、質疑を行った。

◎午前

(公述人)

 上智大学法学部教授        猪口 邦子君

 早稲田大学大学院教授       川本 裕子君

 元群馬県林業改良普及協会事務局長 井ノ川 金三君


(質疑者)

 保岡 興治君(自民)

 大出 彰君(民主)

 太田 昭宏君(公明)

 塩川 鉄也君(共産)

 照屋 寛徳君(社民)

◎午後

(公述人)

 慶應義塾大学総合政策学部助教授  小熊 英二君

 東京大学大学院教授・文化人類学者 船曳 建夫君

 東亜大学学長           山崎 正和君

(質疑者)

 森山 眞弓君(自民)

 辻 惠君(民主)

 赤松 正雄君(公明)

 石井 郁子君(共産)

 土井 たか子君(社民)


◎公述人の意見の概要 (午前)

猪口 邦子君

  • 日本は、国際安全保障分野の多国間外交の場において、頼りになる大国として認識され、また各種の問題の解決において高い能力を発揮する国家として評価されている。
  • 憲法の検討に当たっては、戦後日本の国家や社会の努力への評価と、そうした努力がもたらした世界における貴重な存在感についての深い認識を出発点とすべきである。そうすることにより、軸足が浮遊して過度な修正に流れることなく、必要最小限の簡潔な修正により連続性を保ち、日本国として国際社会において築いた地位や評価を混乱させずに発展させることができる。
  • 憲法の調査、検討のプロセスは、憲法についての国民の深い所有感や慈しむ気持ちをさらに強化する有意義な政治プロセスである。国民が、憲法を半世紀をこえて守り抜いてきたという歴史的時間の重さを考えれば、占領下に作られた憲法であることのみをもって改正すべきとする議論は適切ではない。
  • 9条1項、2項に掲げられた考え方は国際社会で広く知られ、特別の評価を獲得している。世界は、我が国が軍事面での国際貢献において制約を有することを了解し、その範囲内で国際貢献について著しい工夫を行っていることを評価している。我が国は、自国の在り方を過小評価するのではなく、むしろ国際社会への啓発力を信じて積極的に発信し、また日本の姿勢を肯定的に受け止める各国の多様性の受容を、より積極的に外交を通じて評価していくべきである。
  • 戦後復興への貢献は重要な予防的・修復的な国際貢献であり、自負をもって支援に取り組み、併せて各勢力の和解に向け外交力を発揮すべきである。
  • 軍縮、不拡散、人道支援を日本の国際貢献の特質とすることを、軍事的リスク等を回避する臆病なやり方であるとする批判には、断固として反論すべきである。我が国の自衛隊も、職域に殉ずる潜在的な危険性の中にあり、尊い協力をしていることを世界に認識してもらうことが必要である。
  • 世論が憲法修正を求めることとなった場合には、9条の基本を維持しつつ、簡潔に自衛のための実力組織につき言及する可能性は研究するに値する。しかし、個別の法律で扱うべき事柄を憲法に織り込むことや、今後の国際情勢や国連の活動を予断して複雑な修正をすることには慎重であるべきである。

川本 裕子君

  • 経済的自由に関する制限は、「二重の基準」により、精神的自由への制限の許容基準よりも緩く、合理性の原則に従って判断されており、これまでのところ大過なく運用されてきている。このような現在の憲法の運用を「念押し」する意味で、憲法の見直しの検討は価値あることだが、経済政策について憲法で事細かに規定すべきではない。
  • 憲法に財政均衡義務を規定することには反対である。「財政赤字を出さない」ことではなく、「財政赤字を隠さない」ということを規定すべきである。
  • 経済的自由を保障するという観点のほか、政府活動が経済に歪みや過大な負担をもたらさないように担保し、そのために国民が監視し是正し得る仕組みを作るという視点からも憲法の見直しが必要である。
  • まず、財政投融資や特殊法人に関する問題が巨大化、深刻化したのは、国民に対する情報開示が不十分だったためであることにかんがみ、最終的に国民負担となるような政府活動について、政府の前広・積極的な情報公開義務を憲法上明記すべきである。
  • 次に、議員定数の不均衡の見直しを図るべきである。大きな一票の格差があることにより、国会が公共政策決定の責任主体となる前提条件が満たされておらず、また、最高裁判所の憲法判断にも大きな疑問があると考える。国会は早急に是正措置をとるべきであり、憲法が格差を認める解釈の余地を与えているのであれば、規定の見直しを図るべきである。さらに、違憲判断をするに当たっては、期間を限って是正のための立法措置を国会が講ずることを判決で義務付け、選挙をやり直すべきである。

井ノ川 金三君

  • 「二院制の見直し」に当たっては、短絡的に「一院制にせよ」という議論をするのではなく、国会の機能を効率的に発揮させるためにどのようにすべきかを出発点にする必要があり、特に参議院の在り方が問題となる。
  • まず、国会運営を合理的にするために、予算審議は衆議院の、また、決算審査は参議院の専権とし、権能を分けるべきである。決算審査は、内閣の政治責任を問うものであり、会計検査院の検査とは別に重要な意味を持つ。
  • 次に、(a)内閣の指名に基づく天皇による最高裁判所長官の任命を、参議院の指名に基づくものとすること、(b)内閣の助言と承認に基づく天皇の大赦、特赦等の認証を、参議院の助言と承認に基づくものとすることにより、司法にかかわる権限を参議院に移すべきである。
  • 先進国は二院制を採用する国が多いが、フランスの元老院型やドイツの連邦型など、それぞれ存在理由がある。我が国の参議院には、慎重な審議や抑制機能といった明確な存在理由を見出すことができず、参議院の独自性を出す方向での見直しができないのであれば、一院制とすることもやむを得ないと考える。
  • 経済の規模や構造の変化等を踏まえ、規模が小さく時代に合わない都道府県制から道州制へ移行するような場合には、参議院を道州の代表で構成される新しい第二院とすることも考えられる。
  • 衆議院も参議院も共に二院制の見直しには消極的であるが、その見直しは直接、政治に関わることだけに、国民にとって重要であり、是非実行してもらいたい。

◎公述人に対する主な質疑事項 (午前)

保岡 興治君(自民)

<猪口公述人に対して>

  • 人間の安全保障の考え方は、日本の外交の基本であり、ODAの基本理念である。その根拠は憲法前文の「平和的生存権」に係る部分に求められるが、それは、二度と戦争をしないという消極的平和的生存権であって、積極的な平和的生存権ではないと考える。憲法を見直すに当たって、人間の安全保障や積極的平和的生存権についてどのように位置付けるべきと考えるか。
  • 紛争予防や紛争後の治安回復に際して実力行使が必要な場合が想定される。イラクにおける自衛隊の活動は高い評価を受けているが、共同任務への参加や邦人救出のための実力行使などにおいて憲法上の制約がある。リスク管理の観点から憲法を見直すべきと考えるが、いかがか。

<川本公述人に対して>

  • 営業の自由や経済活動の自由を憲法上明記すべきと考えるが、いかがか。
  • 先日発表された読売新聞の憲法試案では、国民の福祉を増進させることで、自由で活力のある公正な社会の実現が図られるとされているが、「国民の福祉」と「自由で活力のある公正な社会の実現」との関係を公述人はどのように捉えるか。
  • 公述人は、憲法で財政を明解に規制し過ぎるべきではないとの見解を持つようだが、健全財政の維持・運営の努力規定を憲法上明記することについてはどのように考えるか。
  • 知る権利を憲法上明記すべきと考えるが、財政情報の開示制度を設けることについてどのように考えるか。
  • 我が国の国際競争力を高めるために、知的財産権の保護・管理が重要であり、憲法上の権利として保障すべきと考えるが、この点についてどのように考えるか。

<井ノ川公述人に対して>

  • 二院制については、現在のようにスピードが求められる時代においては非効率的であり、見直しが必要であるなどさまざまな意見があるが、例えば、参議院を推薦等によって選出された行政・司法の有識者や長老議員により構成することなども考えられる。二院制について、公述内容に加えてさらに意見があれば伺いたい。

大出 彰君(民主)

<井ノ川公述人に対して>

  • 二院制の見直しについて、公述人は、最高裁判所長官は、内閣の指名ではなく、参議院の指名に基づいて天皇が任命することとすべきであると主張するが、さらに詳しい説明を伺いたい。
  • 連邦型の分権国家を想定すると、連邦を代表する院を含む二院制に行き着くと思われるが、いかがか。
  • 連邦制及び道州制について、見解を伺いたい。

<猪口公述人に対して>

  • 我が国の軍縮への取組みにはどのような特徴があるか。また、軍備登録制度への日本の関わりはどのようなものか。
  • イラクにとってどのような復興支援活動が有益であると考えるか。
  • 将来の国連像について公述人の見解を伺いたい。
  • イラク関連の安保理決議においては、「国連の指揮の下で」ということが強調されているように感じるが、これは、米国の単独主義を正常な状態に戻そうとする努力であると考え得るか。

太田 昭宏君(公明)

<猪口公述人に対して>

  • 国連の集団安全保障は侵略戦争としての武力行使とは異なっており、憲法に明示するまでもなく質的に違うと考える。国連の集団安全保障の憲法上の位置付けについて見解を伺いたい。
  • 軍事力による国際貢献だけではなく、警察力による未然防止措置の分野における国際貢献や、システムづくりが大事であると考える。この分野における国際貢献を憲法上規定することについて、見解を伺いたい。
  • 現在、我が国は必要最小限度の実力行使と戦力とを区別している。自衛隊の憲法上の位置付けに関し、武力行使に抑制的な憲法の精神を貫徹して、自衛隊は戦力ではないと考えるのがよいのではないかと思うが、いかがか。

<川本公述人に対して>

  • 現行憲法上、経済活動についての論及が少ないことについて公述人はどのように考えているか。また、国の情報公開の義務を憲法上明記すべきと主張するが、義務ではなく責任として位置付ける方がよいのではないか。

塩川 鉄也君(共産)

<猪口公述人に対して>

  • 国際社会において9条が世界で特別の評価を獲得するに至ったと述べたが、そのように考える理由を伺いたい。
  • 9条についての評価を他国の政府から聞いた経験があれば、その点について伺いたい。
  • 多国間での軍縮条約が成功している例は少ないが、EUやASEANでは多国間主義が成功している。多国間主義と米国の単独行動主義について見解を伺いたい。

<川本公述人に対して>

  • 憲法においては21条で知る権利が保障されており、情報公開法の拡充により政府の情報公開は徹底されるべきであると考えるが、公述人は、どのような情報公開が求められていると考えるか。

照屋 寛徳君(社民)

<猪口公述人に対して>

  • 沖縄は復帰後も米軍基地の存在のため、憲法に反する状況が日常化している。沖縄復帰前後の憲法状況について見解を伺いたい。
  • 公述人は、軍縮、不拡散、人道支援を日本の国際貢献の特質とすることに対して、リスクを回避する臆病なやり方との批判があれば、断固として反論すべきと主張するが、社民党も、また、人道支援を通じた国際貢献をすべきとの立場である。公述人は、我が国が国際貢献を十分に果たしていると考えるか。また、日本が果たすべき国際貢献は具体的にどのようなものであると考えるか。
  • 社民党は、前文、13条、25条等を踏まえて「平和的生存権」を主張しているが、同権利についての公述人の見解を伺いたい。

◎公述人の意見の概要 (午後)

 小熊 英二君

  • 憲法制定に際して占領軍のイニシアティブは強かったが、当時の保守陣営は (a)米国が非武装と天皇制残置を交換関係で提示したこと、(b)天皇制と資本主義の残置を共産党への対抗という文脈でとらえたこと、(c)公職追放による危機からの生き残り等の理由から、憲法をおおむね歓迎した。
  • 占領軍のイニシアティブは事実であるが、歓迎されたことを考えれば、「押しつけ」という評価をすべきではない。
  • 米国は、冷戦と朝鮮戦争をきっかけとして、1946年の日本非武装化の方針から、日本を反共同盟国として再軍備させる方針に転換した。
  • 米国からの再軍備要求は、旧軍人や保守政界の一部からは歓迎されたが、革新側のみならず保守政界の一部からも米国の「傭兵化」という反発を招いた。
  • 当時首相であった吉田茂は、9条と国内の反対世論を理由に米国の再軍備要求を値切り、経済成長に専心するという戦後路線を確立させた。
  • 9条の改正は、(a)米国政府の対日軍事要求をエスカレートさせる可能性、(b)日本の軍事大国化を警戒する米国の世論及び周辺諸国の反発を招く可能性、(c)アジア諸国を刺激する可能性がある。
  • 「自主憲法制定」という感情的な議論ではなく、国際社会の動向等を踏まえた慎重な憲法論議が望まれる。

船曳 建夫君

  • 9条改正論議において、憲法の「改正」自体をすべきではないとの意見があるが、96条の規定の存在からも明らかなように、それは憲法に反している。また、当該意見は、9条に限定して反対する趣旨であったとしても、憲法全体の議論を封殺しようとするものであり、言葉の脅迫に等しく容認できるものではない。
  • 9条は、米国の利益と人類の理想主義とが合わさった産物というべきものである。その結果として、独立国家ならば当然有する権利である「交戦権」が認められないという、国家として異常な状況を生じさせてしまった。
  • 9条は、日本を防衛する米軍の存在とセットで意味をなすように作られており、平和憲法たる日本国憲法が戦争の抑止力になっていると考えるのは正しくはない。
  • 冷戦の終結により、米国による日本の防衛が疑うべくもない前提であった状況はなくなり、ここに至って、9条の議論は実質を帯びてきている。
  • 一方、世界では、戦争技術の飛躍的向上等により戦争はなくなりつつある。戦争をせざるを得ない状況にある米国においても、その戦争の内容は国家的正当性から言って、次第に劣化しつつある。
  • 私は、自衛隊も自衛権も認める立場であり、国連軍といった形での武力行使が国際平和をもたらすこともあり得るとさえ考えている。しかし、9条改正は、現状と論理的整合性があるだけで、将来的な展望とは合わないものである。
  • これまで、苦しくも積み重ねてきた9条の議論は大きな財産である。将来、仮に戦争をせざるを得ない状況になったとしても、いかなる戦争をするかを決める際に、これらの議論は大いに役に立つはずである。

山崎 正和君

  • 私は、憲法改正の議論を、例えば、戦後の民主主義か戦前の愛国心か、占領軍による憲法か自主憲法かなど、イデオロギー的対立と重ね合わせてはならないと考える。
  • 当面の緊急課題は、(a)日本が自衛権を持つことを明示するかどうか、(b)世界の平和維持に貢献する用意のあることを宣明するかどうかの2点である。論議はこれに集中して実務的、具体的に行われるべきである。
  • そのために憲法改正の包括的な議論は避けるべきである。仮に国民投票に問うとしても、9条問題と二院制の問題や内閣制度の問題を一括して問われた場合、国民は答えられないはずである。
  • それよりも憲法改正を容易にする法改正を行い、米国のように個別的な憲法修正条項の制定を可能にする道を開くべきと考える。

◎公述人に対する主な質疑事項 (午後)

 森山 眞弓君(自民)

<全公述人に対して>

  • 私が参議院議員在職の当時、衆議院議員の選挙制度改革の結果、両院議員の選出方法が類似することとなり、参議院の存在意義が問われるようになったことから、参議院議員については職能代表や学識経験者を政党推薦によって選出してはどうか等の改革案が提起されたことがあったが、43条の「選挙された議員で組織する」という規定に抵触するということで実現に至らなかった。国会の在り方や議員の選出の在り方については、柔軟な規定にすべきではないかと考えるが、これに対する見解を伺いたい。
  • 青少年犯罪の増加にどう対処すべきかの議論では、必ず教育の重要性が指摘されるが、その教育の改革論議では教育基本法の改正を求める意見が多く、これを受けて文部科学省や与党協議での検討が行われており、その議論の中では「愛国心の涵養」を明記すべきとの意見が出されている。私は、これは教育基本法ではなく憲法の前文に明記すべきではないかと考えるが、これに対する見解を伺いたい。

   惠君(民主)

<小熊公述人に対して>

  • 国民国家を超えて地域的共同体が発生しつつある現代において、フランス革命等の流れを汲む近代憲法として成立した日本国憲法をどのように考えていくべきか。
  • 私は、9条問題について論ずるときに、東アジア地域共同体の形成というものが一つの手がかりになると考えるが、当該共同体を形成するに当たって、検討すべき課題について伺いたい。

<船曳公述人に対して>

  • 船曳公述人は、安全保障論議は国の将来の方向性にも通じる問題であると述べたが、そのような観点から、日本の今後の対外政策の在り方について、見解を伺いたい。
  • 船曳公述人は、米国は戦争をせざるを得ない状況にある一方、その正当性は劣化しつつあると述べたが、米国が戦争をせざるを得ない状況にあるのは、その経済構造が軍事産業に依存していることが原因の一つであると考える。米国は戦争をしないという選択肢をとることはできないのか。
  • 日本の外交戦略は米国追随一辺倒であるが、このような状況から脱却する手段はないのか。

<山崎公述人に対して>

  • 憲法を改正するに当たっては、包括的な形ではなく、個別・具体的に行うべきとの山崎公述人の意見に賛成であるが、公述人が想定する具体的な改正内容について伺いたい。
  • 山崎公述人は、憲法改正の議論をイデオロギー的対立にしてはならないと述べたが、憲法改正論議が不十分な現状において、公述人が主張する「憲法改正を容易にする法改正」を行えば、むしろイデオロギー的対立を増幅させるのではないかと考えるが、いかがか。

松 正雄君(公明)

<山崎公述人に対して>

  • 山崎公述人は、現代の国際テロの在り様は、経済や貧困が原因ではなく、「20世紀型社会病理現象」と捉えるべきであると主張しているが、(a)現在もその考えに変わりはないか、(b)「20世紀型社会病理現象」たるテロはいつまで続くのか、について伺いたい。
  • 山崎公述人は、テロに対する国際的な防衛同盟を設けるべきであるとし、これによって9条問題は乗り越えられるとするが、当該同盟を設置した場合の日本の果たすべき役割について伺いたい。

<小熊公述人及び船曳公述人に対して>

  • 前文については、9条と同様に現行規定のままでよいと考えるか。

井 郁子君(共産)

<小熊公述人に対して>

  • 小熊公述人は、戦後、日本の再軍備と改憲の要請が米国の方針としてなされてきたと述べたが、具体的にはどのような事実があるのか。また、その背景には何があるのか。

<船曳公述人に対して>

  • 船曳公述人は、戦争もなくならないが世界の動きは9条に近づきつつあると述べた。その意味は、現実の世界では武力紛争はなくなっていないが、9条の規定する「戦争放棄」「戦力放棄」「交戦権否認」の価値が失われるものではないと理解してよいか。

<山崎公述人に対して>

  • 山崎公述人は、米国一極体制は長く続くと思われると雑誌で述べているが、現実には多国間主義という立場からの平和と安全保障の構築がヨーロッパ・アジアで模索されている。この点について、どのように考えるか。

<小熊公述人に対して>

  • 小熊公述人は、感情的な「自主憲法制定」議論とは別に、慎重さを要する9条論議が必要であると述べたが、「感情的」とはどのような意味か。

土井 たか子君(社民)

<全公述人に対して>

  • 5月3日の憲法記念日に際して行われた世論調査の結果をみると、憲法改正については賛成であるが、9条の改正については反対であるという意見が多い。この世論調査の結果について、どのように受け止めていくことが大切か。

<山崎公述人に対して>

  • 山崎公述人は、憲法改正を容易にする法改正を行うべきと述べたが、これは憲法改正によって憲法改正条項を改正するという意味か、それとも法律によって憲法改正条項を改正するという意味か。
  • 憲法改正によって憲法改正条項の要件を緩和することは、いわば憲法制定権力の自己否定になるため、このような憲法改正は認められないとする憲法改正限界論もあるが、これに対する意見を伺いたい。