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平成十二年十月二十七日提出
質問第二二号

徳山ダムの水源開発に関する質問主意書

提出者  石井紘基




徳山ダムの水源開発に関する質問主意書


第一 木曽川水系の工業用水道水源開発と需給予測について

 当然のことながら「ウォータープラン21」は、「ウォータープラン2000」よりも水道水の需要見通しを下方修正している。かつては、工業用水需要は必ず増えるものであり、ある目標年次には供給過剰であっても目標年次を繰り延べることで供給に対応する需要は発生するという前提に立っていた。木曽川水系水資源開発基本計画において、目標年次1985年を2000年に繰り延べたのもまさにその思考法による。しかし1985年以降開発された工業用水は、当初予測の需要は発生していない。水資源開発公団から工業用水を「買った」工業用水事業者は、その水を企業に売ることができないために、償還費用を一般会計から補填するという異常な会計操作を行ってしのいでいる。木曽川水系水資源開発基本計画にのっとった水源開発が工業用水道事業会計を圧迫し、ひいては住民に重い負担を強いる状態になっている。そしてこの状態が解消されるだけの工業用水需要の伸びは到底見込めない。にもかかわらず、徳山ダム建設という形で、まだ新たな工業用水道水源開発が行われている。
 工業水道事業の適正な経営と住民の負担軽減の見地から以下質問する。
 なお、項目をまとめられることなく、項目の番号ごとに答弁されることを求めたい。

一 これまで木曽川水系水資源開発基本計画によって開発された工業用水について、各水源施設別・事業者別の開発水量・水利権水量・実供給量を明らかにされたい。

 1 岐阜県では近年まで工業用水道事業特別会計が設置されていなかった。工業用水道事業特別会計の存在しない状況で、工業用水道事業者は存在するといえるか。いえるとすれば、その要件等、法的根拠を明らかにされたい。
 2 現在、岐阜県の工業用水道事業特別会計は暫定的なものであり、岩屋ダム工業用水道水源費・徳山ダム工業用水道水源費は、この会計からは支出されていない。
 (一) 国が岐阜県に対して岩屋ダム及び徳山ダム工業用水道水源費負担金として交付した金額を年度別に示されたい。
 (二) 実際には工業用水が使われず、こうした補助が、地域の産業振興に結びついていない現状について、どのように認識されているか。
 (三) 岐阜県の岩屋ダムに関する償還は間もなく終わるが、工業用水の水源費の償還が初めから終わりまで一般会計から直接償還するという例は他にもあるか、お示し頂きたい。
 (四) こうしたことは法の予定しないところであると考えるが、こうした支出(一般会計からの償還)を可能とする法的根拠を示されたい。
 (五) 岐阜県の徳山ダム工業用水道水源費負担金は、一般会計から直接水資源開発公団に支出されているが、こうしたことを可能とする法的根拠を示されたい。

三 長良川河口堰で開発された工業用水には需要がなく、供給を受けた愛知県・三重県はその償還の財源に窮し一般会計からの繰り入れによって償還している。これも法の予定する健全な工業用水道経営とはいえない。
 国としては、この状況についてどのような認識を有し、これを正常ならしめるためにどのような方策を検討しているか、お示し願いたい。
四 工業用水需要予測について

 1(一) フルプランの需要予測と、各工業用水事業者(工業用水事業者が存在しない場合は当該県)の工業用水需要予測の異同について、政府の把握するところを明らかにされたい。
 (二) この両者の数値が大きく違う場合、水源開発計画に影響を及ぼすものと思われる。この数値を整合性・合理性あるものとするためにいかなる措置を講じているか。具体的に示されたい。
 2 これまで、国、あるいは各県の水需要予測は、常に実際の水需要と乖離してきた。工業用水の需要は、バブル崩壊以前から、実際には伸びることなく横這いないし漸減している。工業出荷額が伸びれば水需要も伸びるという前提が破綻していることは明らかである。
 (一) 産業構造の転換により、多くの水を使用する業種が相対的に減少したことも一つの要因ではあるが、同じ業種でも補給水原単位は漸減していることが統計上示されている。その原因は、工業用水の供給を受けている企業の出荷額の伸びは、当然には補給水量の伸びには繋がらないことにある。企業は出荷額の増減にかかわらず原則としてその契約水量を使いきるが、生産量が増えたときには生産工程の工夫によって(使用水原単位の低減、工場内で回収率の上昇等)、新たな負担を意味する契約水量の増加をできるだけ回避するのが一般である。
 補給水原単位と工業出荷額とはむしろ反比例の(積である補給水量が一定)関係にあるという学者の見解もあるが、このことの認識はいかがか。
 (二) 補給水原単位もしくは使用水原単位を固定して(あるいは逆ロジスティック曲線の飽和値を高めに設定するなどして)出荷額を乗じるという手法からは、妥当な工業用水需要を予測することはでないと考える。
 現在、フルプラン改定作業中であるが、旧フルプラン策定時の工業用水需要予測の手法と、新たなフルプラン作業における工業用水需要予測の手法の異同を具体的に示されたい。
 3 ウォータープラン21を前提として、東海地域の工業用水の需要予測を行った場合、徳山ダムを水源とする工業用水の需要の発生について、政府の認識する数値を、根拠をもって示されたい。(地域別、事業者別)

五 ウォータープラン21は、水需要の伸びが大幅に鈍っていることを認めつつ、水源開発を続ける理由として「渇水対策」を挙げる。
 建設省も、「東海地方の水余り」論に対して「この地域は利水安全度が低い」、「建設省が質の良くない(供給能力に欠陥がある『水膨れ』の)水利権を許可したため、・・・水利権の額面どおり供給能力が発揮されない」(平成11年3月 中部地方建設局河川部長)から新たな水資源開発が必要と言っている。
 徳山ダム建設事業審議委員会において、中部経済連合会専務理事は「1994年渇水では300億円の被害があったから、徳山ダムの水が必要だ」という論を展開した。「数十年に一度、私企業に300億円の被害があるから、公的資金を数千億円投じてダムを作る必要がある」という論は首肯しかねる。

 1 もし国が「渇水対策」として新たな水源確保が必要だという論に立つなら、この地域の渇水被害の程度とその確率について根拠ある数値を示し、その対策案・対策に要する金額・負担すべき者について、明らかにされたい。
 2 仮に徳山ダムによる新たな水源開発の目的が東海地域の利水安全度の向上であるとするなら、徳山ダムによる開発水は、すでに「供給能力に欠陥がある『水膨れ』の」水利権を取得している地域に供給しなければならないことになる。
 とすると大がかりな導水設備が必要となり、水単価は非常に高いものとなる。工業用水は特定企業の受益にかかるものであり、国あるいは地方公共団体の一般財源をもってその負担に充てるべき性質のものではない。しかしこの負担を企業に転嫁すれば他地域(または外国)企業とのコスト競争において甚だしく不利益となり、企業活動の沈滞または企業そのものの他地域への流出を招く。こうした面からの「渇水対策」負担についての考え方かをお答え願いたい。
 3 建設省は「岩屋ダムの水供給能力はその公称能力には及ばない」という。一方、岩屋ダムで開発された工業用水は未だ需要者がなく余っている。「岩屋ダムにはその公称能力がなく新たに確保する必要がある」というのなら、岐阜県で23年間使われず、今後も具体的な需要見込みのない工業用水道水源を「渇水対策」に充てるという考え方もありうるのではないか。なぜそれができないのか。見解を伺いたい。

第二 徳山ダムにおける開発水の岐阜県大垣地域への供給について

 徳山ダムでの新規開発水のうち、1.5トン毎秒は水道水として、3.5トン毎秒は工業用水として供給先は岐阜県大垣地域に供給されるとしている。この地域は、これまでほぼ全部の需要を地下水で賄ってきた。大垣市は「水の都」と言われ、地下水及び湧き水を源として縦横に流れる小河川はこの地域の文化の中心であり、地下水を水源とする「おいしくて安全で安い水道」は市民の誇りでもある。
 この豊富な地下水を工業用水としてふんだんに利用した繊維工業が盛んな頃(1960年代から70年代前半)、大垣市中心部の地下水の静水位が下がり地下水の危機が取りざたされたことがあった。しかし工業用水汲み上げが大幅に減少した最近は静水位は上昇し、中心部の家庭の涸れていた井戸が復活してきている。
 この地域には徳山ダム開発水の供給は不要なばかりでなく、財政・健康・文化など各方面で多大な悪影響を与えると懸念される。この観点から以下質問する。
 なお、項目をまとめられることなく、項目の番号ごとに答弁されることを求めたいのは第一と同様である。

一 岐阜県は「地盤沈下対策として、地下水の汲み上げを規制し、揖斐川表流水への水源転換が必要である」と言い、それを徳山ダムによる新規利水の必要性の根拠としている。

 1 大垣地域は「濃尾平野地盤沈下防止等対策要綱」の規制地域にはなっていない。濃尾平野の地盤沈下が大いに問題になっていた頃の「大垣市の環境」(昭和63年版・大垣市)によれば「幸い、当地方では、地下水の節水努力等によって地盤沈下は生じていない」(93頁)とある。
 その後、大垣市の地下水揚水量は大幅に減っている(昭和63年:工業用水=23万トン/日、水道水=5万3000トン/日。平成10年=工業用水=18万1000トン/日、水道水=6万500トン/日。いずれも大垣市の資料)
 (一) 大垣地域における地盤沈下について、地点と沈下量を年ごとに(累積だけでなく)示されたい。
 (二) 岐阜県や建設省が「地盤沈下がある」として示す地点は、堤防・道路・鉄道の沿線に限られている。また、大垣地域の地下水揚水は減っており、地下水の静水位は上がってきている。
 仮に大垣地域に地盤沈下があるとしても、地盤沈下の原因は地下水揚水によるものとはいえないのではないか。もし言えるなら、科学的根拠を示されたい。
 2 国として、大垣地域において「規制によって地下水揚水を現在より減らす必要がある」という認識を有しているか。
 3 仮に地下水揚水規制によって工業用水道からの受水を強制されれば、「豊富な地下水をふんだんに使える」ということで立地した工場はそのメリットを失う。それでなくても繊維関係の工場の操業停止・撤退で空洞化しているこの地域の産業に大きな影響を与えることになるが、その対策をいかに考えるか、伺いたい。

二 この地域の各自治体は、将来にわたって地下水によって住民に十分な水道水を供給できるとする計画を持っている。しかし、岐阜県は、徳山ダム完成後には、この地域で水道水の水源転換を行うとしている。市民が、その見解の不整合を質しても「将来の環境変化次第」(大垣市・8月28日)という甚だ曖昧な回答しか得られない。
 その一方、建設省が今年7月に発表した1999年秋のダイオキシン調査によると、揖斐川福岡大橋地点は、水質=0.80 pg−TEQ /L(調査対象である全国72地点のうち二番目)、底質19 pg−TEQ /g(調査対象である全国48地点のうち五番目)で、水質・底質ともに高い値を示したという意味では実質ワースト1であったといえる。また、1998年の環境庁調査では同地点で水質の平均は0.88 pg−TEQ /Lで、特に同年冬は1.4 pg−TEQ /Lという環境基準を上回る値を検出している。
 ダイオキシンの毒性については未解明な部分が多く、人体への摂取量は可能な限りゼロに近い方が望ましいことは間違いない。現在の環境基準値の1pg−TEQ /Lというのも暫定的なものであり、世界的な動向を見れば、将来は一層厳しい値を採ることになるであろうと予測される。また、揖斐川のダイオキシンが高濃度であることの原因が全く特定されていない以上、将来、さらに汚染濃度が高くなる可能性も否定できない。

 1 仮に上記一の「地盤沈下対策」が根拠あるものと仮定しても、地下水揚水の大部分を占める工業用水の揚水規制を考慮するのはともかく、住民の健康への影響を問題にしなければならない水道水の水源転換は断じてなすべきではないと考える。政府の見解を示されたい。
 2 岐阜県及び大垣市は、市民からの「発生源を特定すること、汚染の実態を把握すること、新たな発生の防止と汚染の除去についての具体的方策を示すこと」との要望に対し、「環境基準値を下回っているので、特に調査や対策を行う予定はない」として拒否している。
 木曽川水系水源開発基本計画において、徳山ダム建設に伴い揖斐川表流水を水道水の水源として使用するとしている(岐阜県1.5トン毎秒、愛知県4トン毎秒、名古屋市2トン毎秒)以上、その水質の安全性確認は不可欠である。国及び水資源開発公団が、責任をもって安全性の確認を行うべきである。
 国の責任で、発生源の特定、汚染の実態把握、新たな発生の防止と汚染の除去についての具体的方策の策定を行うべきであると考えるがいかがか。

 右質問する。



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