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平成十二年十二月五日受領
答弁第二二号

  内閣衆質一五〇第二二号
  平成十二年十二月五日
内閣総理大臣 森   喜  朗

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員石井紘基君提出徳山ダムの水源開発に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員石井紘基君提出徳山ダムの水源開発に関する質問に対する答弁書



第一の一について

 木曽川水系における水資源開発基本計画(昭和四十八年三月二十三日閣議決定、平成五年三月二十六日閣議決定)において工業用水を確保するため必要な施設とされているもののうち、平成十一年度までに建設された各施設別及び各工業用水道事業者(工業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)第二条第五項に規定する工業用水道事業者をいう。以下同じ。)別の開発水量(当該施設の建設によって新たに利用可能になる水量をいう。以下同じ。)、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第二十三条の規定に基づく許可を受けた水利使用に係る最大取水量及び平成十年度における最大取水実績は、別表一のとおりである。

第一の二の1について

 工業用水道事業法第三条第一項の規定に基づき地方公共団体が営む工業用水道事業については、地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第十七条の規定に基づき当該地方公共団体に特別会計が設けられることとなっている。
 なお、当該工業用水道事業については、工業用水道事業法第三条第一項の規定に基づき、事前にその旨の届出をすることを要するところ、当該届出前においては、特別会計の設置を義務付ける法令上の規定はない。

第一の二の2の(一)について

 岩屋ダム及び徳山ダムについて、工業用水道事業費補助金交付規則(昭和三十二年通商産業省告示第三百二十三号)に基づき岐阜県に対し交付した工業用水道事業費(水源費)補助金の年度別の交付済金額は、別表二のとおりである。

第一の二の2の(二)について

 岐阜県においては、平成十年度以降、可茂工業用水道事業の給水区域にある企業に対し岩屋ダムを水源とする工業用水の供給を行っているものと承知している。なお、徳山ダムについては、現在建設中であり、同ダムを水源とする工業用水の供給は行っていないものと承知している。

第一の二の2の(三)について

 お尋ねのような例については、岩屋ダムに関するもののほかにはないものと承知している。

第一の二の2の(四)について

 水資源開発施設の新築等に要する費用については、水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)第二十九条第一項において当該施設を工業用水道の用に供する者が負担することとされており、岩屋ダムの建設に要する費用に係る負担金については、岐阜県が支払義務を負うこととなるが、地方公共団体が支出を行う場合において、その支出を行う会計の区分については、法令上の規定はなく、岐阜県が当該負担金に対する支出を一般会計から行うことは可能であると考えている。

第一の二の2の(五)について

 第一の二の2の(四)についてで述べたとおり、徳山ダムの建設に要する費用に係る負担金を岐阜県の一般会計から支出することは可能であると考えている。なお、徳山ダムについては、工業用水道事業がいまだ営まれていないため、特別会計が設けられていない。

第一の三について

 愛知県及び三重県における長良川河口堰の建設に要する費用に係る負担金については、地方公営企業法第十八条又は第十八条の二の規定に基づき、愛知県及び三重県の一般会計から特別会計に対して出資又は長期貸付けが行われているものと承知している。

第一の四の1の(一)について

 木曽川水系における水資源開発基本計画においては、全国総合開発計画(昭和六十二年六月三十日閣議決定)及び全国総合水資源計画(昭和六十二年十月国土庁策定)との整合を図りながら、平成十二年度を目途とする水系全体の工業用水の需要量を予測している。一方、工業用水道事業者は、工業用水道事業法第三条第一項の規定に基づく事業の届出の際に提出する事業計画書において、地域の実情に応じた給水目標年次を設定し、個別企業への給水量等を記載している。したがって、木曽川水系の水資源開発基本計画の需要の見通しと各工業用水道事業者の給水計画は対象地域や目標年次が異なっており、相互に比較できる性格のものではないと考えている。

第一の四の1の(二)について

 第一の四の1の(一)についてで述べたとおり、水資源開発基本計画の需要の見通しと各工業用水道事業者の工業用水需要予測とは、対象地域や目標年次が異なっており、相互に比較できる性格のものではないと考えている。

第一の四の2の(一)について

 地域や業種により異なることから一概には言えないが、工業統計表上の全業種で見た場合、補給水量原単位と工業出荷額との関係については、過去二十年間において工業出荷額の増加傾向に対し補給水量原単位は減少傾向にある。なお、過去二十年間の補給水量については、別表三のとおりである。

第一の四の2の(二)について

 現行の水資源開発基本計画で用いられている工業用水需要予測手法については、補給水量原単位に工業出荷額を乗じる一般的な手法を用いているところであるが、新たな水資源開発基本計画に用いる工業用水需要予測手法については、現在検討を進めているところである。

第一の四の3について

 「新しい全国総合水資源計画(ウォータープラン二十一)」は、平成十一年六月、国土庁において、全国を十四のブロックに分けて平成二十二年から平成二十七年を目標年次とする水需給等に関する推計を行ったものであり、これを前提としてお尋ねのような個別の水源にかかわる地域別及び工業用水道事業者別の工業用水の需要予測を行うことは困難である。

第一の五の1について

 お尋ねの「渇水被害の程度とその確率」が何を指すか明らかではないが、「新しい全国総合水資源計画(ウォータープラン二十一)」における東海ブロック(静岡県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県)では、平成二年から平成十一年までの間において当該ブロック内のいずれかの水系で工業用水に係る取水制限が実施されたことがある年は八年であり、同期間の取水制限率の最大値は六十五パーセントである。また、木曽川水系においては、同期間において工業用水に係る取水制限が実施されたことがある年は七年であり、同期間の取水制限率の最大値は六十五パーセントである。なお、これら以外にも自主節水が実施されている。
 また、工業用水の渇水対策は、対応すべき渇水の程度や渇水被害発生地域等、様々な自然的、社会的要因が関係し、これらの要因により異なるものと考えられることから、お尋ねの対策案、対策に要する金額及び負担すべき者について明示することは困難である。

第一の五の2について

 工業用水の渇水対策は、対応すべき渇水の程度や渇水被害発生地域等、様々な自然的、社会的要因が関係し、これらの要因により異なるものと考えられることから、渇水への対策案、対策に要する金額及び負担すべき者については、明示することは困難である。

第一の五の3について

 岩屋ダムがある木曽川水系については、おおむね十年に一度程度発生する少雨の年において取水可能となるように水資源開発施設を整備してきたところである。しかしながら、近年、降雨状況の変化により利水安全度が低下し、しばしば渇水が発生していることから、水利用の安定性が損なわれているものと認識しており、このような状況を踏まえ、渇水に対する水利用の安定性の確保のため、各種方策の有効性等について総合的に検討を行うことが重要であると考えている。
 これまで開発してきた水源を渇水対策に充てるという考え方は、一般論としてはあり得るものと認識しているが、岩屋ダムの開発水量については、今後とも、工業用水需要が発生しないとする仮定に基づいて、それを渇水対策に充てることの当否を論ずることは困難である。

第二の一の1の(一)について

 建設省及び岐阜県が実施した測量によれば、平成元年から平成十一年までの各年ごとの岐阜県大垣市内における地盤沈下が大きい地点とその沈下量は、別表四のとおりである。

第二の一の1の(二)について

 一般論として、地盤沈下の主な原因は、地下水の採取によって、帯水層の地下水の静水位が低下し、その周辺の地層が収縮することにあるものと考えられている。
 なお、地下水の静水位の低下と地盤沈下の間に時間的なずれがあるため、地盤沈下が観測された時点において、地下水の静水位の低下が観測されないことがあること、地下水の静水位の低下によって地盤沈下が生じた場合であっても、その後の地下水の涵養によって観測時点における地下水の静水位が上昇傾向を示すことがあること、帯水層は多層存在し、それぞれ独立した地下水の静水位を有しており、ある層から地下水を採取したとしても、観測された他の層の地下水の静水位が上昇傾向を示すことがあることから、ある地点で観測された地下水の静水位が上昇傾向であることをもって、地盤沈下の原因が地下水採取による地下水の静水位の低下ではないと判断することはできないものと考えている。

第二の一の2について

 岐阜県大垣市内は、「濃尾平野地盤沈下防止等対策要綱」(昭和六十年四月二十六日地盤沈下防止等対策関係閣僚会議決定)において観測地域とされているところであり、政府としては、地盤沈下等の状況の観測又は調査を行うとともに、関係地方公共団体と連携を取りつつ、地下水を利用する事業者等に対し、地下水採取の自主規制の継続等適切な地下水採取を行うことを指導しているところである。
 岐阜県大垣市内における地盤沈下等の状況を踏まえれば、現時点では、地下水採取の自主規制等によって、著しい地盤沈下の未然防止を図ることが適切であると考えている。

第二の一の3について

 第二の一の2についてで述べたように、現時点では、地下水採取の自主規制等によって、著しい地盤沈下の未然防止を図ることが適切であると考えているところであり、お尋ねの仮定の問題には答弁を差し控えたい。
 なお、通商産業省においては、地域の産業の現状について今後とも注視してまいりたい。

第二の二の1について

 水道により供給される水の水質については、水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第四条及び水質基準に関する省令(平成四年厚生省令第六十九号)において水質基準が定められているほか、「水道水質に関する基準の制定について」(平成四年十二月二十一日衛水第二百六十四号厚生省生活衛生局水道環境部長通知)において、同法の水質基準を補完する項目として、水道水の安全性の確保のための監視項目及びその指針値が定められており、ダイオキシン類についても暫定的な指針値が定められている。
 揖斐川を水源とする予定の関係水道事業者において、これらの水質基準等を踏まえ、水道水としての安全性を十分に確認した上、水源の種別を変更することは差し支えないものと考えている。

第二の二の2について

 政府としては、ダイオキシン類対策特別措置法(平成十一年法律第百五号)第七条の規定に基づき、ダイオキシン類による水質の汚濁に係る環境基準を設定したところであり、政府及び岐阜県が平成十年度及び平成十一年度に実施した揖斐川水系のダイオキシン類調査の結果によれば、その水質は当該環境基準を満たしている状況にある。
 同法においては、都道府県知事及び政令で定める市の長は、公共用水域等のダイオキシン類による汚染の状況を常時監視するとともに、ダイオキシン類による汚染の防止等に関する施策を実施することとされている。したがって、揖斐川のダイオキシン類汚染の状況については、岐阜県が今後とも計画的に監視した上、当該環境基準を超える等の汚染の進行を認める場合には、汚染原因の究明及び汚染の改善を図るために必要な措置を講ずるものと承知しているが、政府としては、岐阜県と連携して適切に対処してまいりたい。


別表一

一 施設別
施設 開発水量(立方メートル/秒) 最大取水量(立方メートル/秒) 最大取水実績(立方メートル/秒)
岩屋ダム 一七・六三 一〇・九六 六・六二
阿木川ダム 二・〇九八 二・〇九八 二・〇九
三重用水 〇・二〇 〇・一三一 〇・一二
味噌川ダム 〇・七三一 〇・七三一
長良川河口堰 一四・八〇

二 工業用水道事業者別
工業用水道事業者 開発水量(立方メートル/秒) 最大取水量(立方メートル/秒) 最大取水実績(立方メートル/秒)
愛知県知事 六・六〇九 四・〇七
三重県知事 七・一三一 四・七五
岐阜県知事 〇・一八 〇・〇一
(備考) 開発水量は各施設ごとに算出され、各工業用水道事業者別に明示することは困難である。

別表二

一 工業用水道事業費(水源費)補助金交付済金額(岩屋ダム建設事業)
年   度 補 助 金 額 (千円)
昭和四十五年度 二二、八〇〇
昭和四十六年度 三四、〇〇〇
昭和四十七年度 二一、三〇〇
昭和四十八年度 一一、一〇〇
昭和四十九年度 六一、一〇〇
昭和五十年度 一一五、〇〇〇
昭和五十一年度 五二、六〇〇

二 工業用水道事業費(水源費)補助金交付済金額(徳山ダム建設事業)
年   度 補 助 金 額 (千円)
昭和五十年度 一一、一〇〇
昭和五十一年度 二五、七六〇
昭和五十二年度 八六、六〇〇
昭和五十三年度 一一八、一〇〇
昭和五十四年度 一六六、七〇〇
昭和五十五年度 二二七、一〇〇
昭和五十六年度 二〇〇、〇〇〇
昭和五十七年度 一九九、九〇〇
昭和五十八年度 一六六、六〇〇
昭和五十九年度 一一三、三〇〇
昭和六十年度 二〇六、六〇〇
昭和六十一年度 三九三、〇〇〇
昭和六十二年度 三七三、〇〇〇
昭和六十三年度 四二三、〇〇〇
平成元年度 二一六、五〇〇
平成二年度 一四三、三〇〇
平成三年度 一四三、三〇〇
平成四年度 一八九、九〇〇
平成五年度 三一九、七〇〇
平成六年度 二四三、二〇〇
平成七年度 三三三、一〇〇
平成八年度 三三六、四〇〇
平成九年度 三三六、四〇〇
平成十年度 五一二、九〇〇
平成十一年度 四七六、二〇〇

別表三

補給水量(立方メートル/日)
昭和五十四年 三七、〇二四、三一〇
昭和五十五年 三六、七〇二、一六二
昭和五十六年 三五、七八七、八〇八
昭和五十七年 三五、一三八、九六三
昭和五十八年 三五、〇八二、四六〇
昭和五十九年 三四、九四五、九六六
昭和六十年 三四、九二八、七七九
昭和六十一年 三四、四一九、九九三
昭和六十二年 三四、四三三、三四五
昭和六十三年 三四、四八四、九六七
平成元年 三四、九三九、二〇七
平成二年 三五、三〇二、四〇一
平成三年 三五、八二一、二五二
平成四年 三五、六五九、六一六
平成五年 三四、九七〇、九六六
平成六年 三四、一一〇、六五六
平成七年 三三、八四一、八七二
平成八年 三三、六九六、〇四八
平成九年 三三、六七七、四一〇
平成十年 三三、三二四、三六五
(備考) 補給水量は、工業統計表における水源別工業用水量の淡水合計から回収水を控除したものである。

別表四

岐阜県大垣市内における地盤沈下(平成元年以降の累積沈下量が大きい上位五地点における年ごとの沈下量)
単位:センチメートル
点名 上流IR−8 G47−1 上流揖−11 G43 上流GTXLZ
所在地 大垣市新開町 大垣市築拾町 大垣市今福町 大垣市中ノ江三丁目 大垣市古宮町
平成元年 〇・五一( 〇・五一) 〇・三一( 〇・三一) 〇・六二( 〇・六二) △〇・〇四(△〇・〇四) 〇・二七( 〇・二七)
平成二年 〇・六九(一・二〇) 〇・五一( 〇・八二) 〇・三五( 〇・九七) 〇・三七(〇・三三) 〇・六二( 〇・八九)
平成三年 〇・五一(一・七一) 〇・三七( 一・一九) 〇・三九( 一・三六) 〇・一五(〇・四八) △〇・〇二( 〇・八七)
平成四年 〇・九五( 二・六六) 〇・五〇( 一・六九) 〇・五六( 一・九二) 〇・五五( 一・〇三) 一・〇七( 一・九四)
平成五年 △〇・〇四( 二・六二) 〇・三〇( 一・九九) 〇・〇六( 一・九八) △〇・〇六( 〇・九七) △〇・一七( 一・七七)
平成六年 一・七三( 四・三五) 一・二六( 三・二五) 一・二二( 三・二〇) 二・五七( 三・五四) 一・二二( 二・九九)
平成七年 〇・四三( 四・七八) 〇・二九( 三・五四) 〇・三二( 三・五二) 〇・二八( 三・八二) 〇・〇三( 三・〇二)
平成八年 〇・八八( 五・六六) 〇・九一( 四・四五) 〇・八七( 四・三九) 〇・五七( 四・三九) 〇・六五( 三・六七)
平成九年 〇・五三( 六・一九) △〇・三一( 四・一四) △〇・〇四( 四・三五) △〇・二四( 四・一五) 〇・一〇 ( 三・七七)
平成十年 〇・三一 ( 六・五〇) 〇・五一 ( 四・六五) 〇・四〇 ( 四・七五) 〇・三二 ( 四・四七) 〇・二七 ( 四・〇四)
平成十一年 〇・九九( 七・四九) 〇・五六( 五・二一) 〇・三〇( 五・〇五) 〇・三二( 四・七九) 〇・三三( 四・三七)
(備考)
  一 数値は、単年度沈下量(昭和六十三年を〇とした累積沈下量)を示している。
  二 「△」は隆起していることを示している。
  三 岐阜県大垣市内において観測の行われた水準点は、四十三地点である。

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