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平成十三年六月二十九日提出質問第一三二号
「水余り」と「水資源開発促進法」および「水資源開発公団」に関する質問主意書
提出者 原 陽子
「水余り」と「水資源開発促進法」および「水資源開発公団」に関する質問主意書
水資源開発促進法(以下、促進法)は、昭和三十六年に、水資源開発公団(以下、公団)の設置法である水資源開発公団法とセットで成立して以来、四十年が経過している。促進法に基づき、内閣総理大臣が「広域的な用水対策を緊急に実施する必要がある」場合に水資源開発水系七つを指定し、水系ごとに「水資源開発基本計画」を定め、公団がそれに基づいてダム開発などを行うことになっている。
実質は、国土交通省が建設事業などを担当し、公団は財政投融資などから資金を得て、受益者である地方公共団体などに代わって先行投資し、受益が発生した時点で、償還させるスキームである。
ところが、長期を経て完成したダム、例えば、木曽川水系の長良川河口堰など、受益が発生した時点ですでに受益者が消滅し、いわゆる「水余り」状態となり、地方公共団体が当初の受益予定者に代わって、償還を負担させられる事態も起きている。
よって以下、質問する。
二 この法律で「水系の指定」は第三条により可能であるが、「水系の解除」の規定がない。解除の規定が制定時に盛り込まれなかった理由は何か。
三 全国七つの水系では「水資源開発基本計画」が定められることになっている。ところが、利根川・荒川水系、豊川水系、木曽川水系、淀川水系、吉野川水系、筑後川水系のすべての水系は、平成十三年度から始まるはずの「水資源開発基本計画」が未だに決定していないと聞くが事実か。事実だとすると、決定されていない理由はなぜか。七つの水系について理由をそれぞれ明確に挙げられたい。
四 これまでは「水資源開発基本計画」を定めるにあたり、促進法に基づき、関係自治体や省庁が文書照会などによって秘密裏に協議を行ってきたが、このような協議にも透明性が求められていることを、政府は認識しているか。
五 平成十二年度までに立てられた「水資源開発基本計画」に基づいて平成十三年以降も事業が実施されているのであれば、結果として、需要予測が現実と乖離し、新たな需要が減り、需要と供給が均衡状態になり、緊急な供給不足も認められないと理解するが、その理解に不都合はあるか。あるとすれば明確に理由を述べよ。
六 新たな「水資源開発基本計画」を緊急に定めなくてもよいのであれば、もはや「広域的な用水対策を緊急に実施する必要がある」とは言えず、この法律自体の主な必要性はなくなったと言えるのではないか。
右質問する。