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平成十三年十二月六日提出
質問第四二号

食糧増産援助(2KR)のあり方に関する質問主意書

提出者  辻元清美




食糧増産援助(2KR)のあり方に関する質問主意書


 一九九四年五月三一日、逸見謙三氏を委員長とする「食糧増産援助(2KR)技術検討委員会」が国際協力事業団(以下JICA)への答申として提出した提言書において、カンボジアに対する食糧増産援助(以下2KR)に農薬を含めたことは誤りであったとの認識が示された。これを受けて、外務省は、カンボジアへの食糧増産援助の項目から農薬を削除した(「食糧増産援助(2KR)技術検討委員会」報告書、1994.5.31)。逸見謙三氏は、「たまたまカンボジアが目についたが、農業の専門家が育っていないアフリカの方こそ農薬援助は慎重であるべきだ」と述べている(毎日新聞、1994.8.3)。
 にもかかわらず、一九九四年以降もアフリカ地域に対する農薬援助は中止されることなく続けられ、2KR供与額の三〇〜五〇%を農薬が占めてきた。アフリカ諸国では、援助で送られた農薬の多くが未使用のまま十分に管理されておらず、環境及び健康に悪影響を及ぼす恐れがあると、国連食糧農業機関(以下FAO)が指摘している(FAO Pesticide Disposal Series5 ”Prevention and disposal of obsolete and unwanted pesticide stocks in Africa and the Near East”, Second consultingmeeting Report, 1997)。
 モザンビークの事例では、一九九七年度供与(一九九九年五月現地到着)の2KR資機材の内、二〇〇一年一一月時点で四〇%(二〇〇〇年二月の時点で大半)の農薬・化学肥料が未配布のまま在庫として残っており、食糧増産の役に立っていないばかりか、一部の農薬については使用期限を過ぎて環境汚染が懸念される状況にある。また、長期間保管されていた港倉庫の雨漏りにより、一部の化学肥料は水浸しになっていた事実も判明している。同様の問題はエチオピアにおいても確認されており、FAOは「日本の食料増産援助によって、エチオピアに大量の農薬が運ばれ、遠隔地の農村に届く前に有効期限が切れたケースも多かった」と日本の2KRを名指しで批判している(FAO Pesticide Disposal Series9 ”Baselinestudy on the problem of obsolete pesticide stocks”, 2001)。
 これらの事実に鑑み、以下質問する。

1 カンボジアで2KRによって供与された農薬は、農民による適正使用が確保されていないことが判明したため一九九四年に援助項目から削除された。一方、アフリカ諸国においては九四年以降も農薬の供与が継続されている。これは、日本政府が、アフリカ諸国においては農民による適正使用が確保されていると判断し、供与したものと解されるが如何か。特に、生態系及び使用者に危険を及ぼしかねない農薬といった危険物を供与する側の責任という観点から、日本政府が、いかなる手段によって現地農民による適正使用の確保を確認したのかを明らかにされたい。
2 モザンビークの事例では、北部地域向けに供与された資機材のうち八割が綿花プランテーションに配布されており、食糧増産の目的では使用されてこなかった事実が外務省及びJICAの調査団によって二〇〇一年に確認されている。日本政府は、日本が2KRで援助した資機材が相手国において、本来の目的である「食糧増産」に使用されたかどうかを、どのような制度をもって、どのように確認した上で過去の供与を行ってきたのか説明されたい。
3 FAOは途上国へ援助として供与された農薬が使われないまま放置されている問題に関して「必要以上の量の農薬が一カ所に送られるなど、援助国と被援助国間の連絡の悪さ」を主要因としてあげている。その中でFAOは、支援要請を出す途上国側政府のみでなく、「必要とされる量がいくらかという情報を求めなかったり、被援助国から受けた要請を評価しなかったりという支援国・機関側にも責任がある」とし、「特に日本の2KRでは、過剰な量の農薬が援助され、使用期限が切れた物や期限切れ直前の物も多かった」と指摘している(FAO 2001)。日本政府はこの指摘をどう受け止めているか。
4 事実、前述のモザンビークやエチオピアで農薬放置の事例が確認されている。2KRによってアフリカ諸国に供与された資機材(農薬、化学肥料、農業機械)の中で、使用されずに残っているものは何(種類・量・調達時期)であり、どこに、どれだけ、どのような状態となっているのか示されたい。また日本政府として、それらの資機材が使用されずに残っているのは何が原因と把握・理解しているのか。加えて、日本政府及び先方政府がこれにいかに対応したのかを明らかにされたい。
5 日本政府は2KRに関し「要請主義」を掲げているが、九四年の時点で見直し機運があったにもかかわらず、アフリカ諸国への2KRを現地の状況を考慮せず、九六年以降毎年七〇〜一二〇億円の国費を用いて継続させたことについてどのように説明するのか。
6 また、2KRではこれら資機材を販売して得た収益を見返り資金として積み立てる制度となっているが、被供与国政府役人がこの一部を私的に着服することもあり、この制度に対しては国際的にも疑問が投げかけられている(Richard Tobin, ”Bilateral Donor Agencies and the Environment;Pest and Pest Management”, December, 1996)。日本政府は、このような事態を防止するためにどのような手だてを講じてきたか。援助国のチェック責任をどうとらえているかも含めてお答えいただきたい。
7 2KRの枠組み内での企業との癒着も指摘されている。一例として、2KRのうち肥料を納める商社を選ぶ競争入札で、三菱商事、三井物産、住友商事、日商岩井、丸紅の大手総合商社五社が中心となって被供与ごとに「幹事権」を持つ社が落札できるように話し合いが行われていたとの報道が九八年にあった(朝日新聞、1998.12.31)。例えば八五年度対モザンビーク2KR肥料支援では、一般競争入札でなく随意契約が行われ、外務省が当時モザンビークを兼轄していた在ジンバブエ日本大使館宛に三井物産を指名した電信(1986.1.6)を送っている。ちなみに三井物産は、朝日新聞の報道によれば、モザンビークにおいて幹事権を持つ社とされている。2KR援助の枠組みの中で競争入札ではなく随意契約を行う意義及び国内の特定商社を外務省が被援助国に斡旋する正当な理由とは何か。
8 行政能力や実施体制が十分ではない被援助国、とりわけ重債務貧困国や内戦を行っている国に対し、自助努力を必要とし大量の農業関連資機材の投入を行う2KRのような援助は、適正使用及び維持管理の観点から期待する成果を得ることは困難であり適切でないと考える。今後、このような種々の問題を抱えた地域への2KRは廃止し、十分な事前調査、事後の評価調査を伴った国別援助計画に基づき、資機材の供与に留まらない技術協力も含む持続的食糧生産のための農業協力を、他のドナーやNGOとの調整・連携を念頭におきつつ実施すべきと考えるが、この点についての日本政府の見解を求める。

 右質問する。



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