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平成十四年五月七日提出
質問第六五号

千鳥ヶ淵墓苑における遺骨取り扱いの改善と国立の戦没者墓地建設促進に関する質問主意書

提出者  阿部知子




千鳥ヶ淵墓苑における遺骨取り扱いの改善と国立の戦没者墓地建設促進に関する質問主意書


 昨年から千鳥ヶ淵墓苑に関しての国会審議が行われているものの、遅々として進まない遺骨収集と、収集された遺骨の処理に関しての改善、DNA鑑定、遺族への引き渡し等に関して、政府の積極的な取り組みを望み、以下質問する。

一 死者の埋葬や墓地に関し、国民の宗教的感情に適合するようにと、厚生省が主管して定めた「墓地、埋葬等に関する法律」(以下墓埋法と呼ぶ)がある。その法律で、墓地は図面や帳簿を備え、管理責任者の選任など、要件を満たして自治体に申請し、墓地として認可を受けなければ墓地でない。墓地でない所に死者を葬ることは禁じられている。我が国内の墓地は公共、民間を問わず全てその法律に従って埋葬、運営されている。今審議中の有事法制の中ですら有事の際死亡した自衛隊員の火葬、埋葬に墓埋法の適用除外の条文が盛り込まれている。平時の今、国が収集した戦没者遺骨は当然にその墓埋法により埋葬しなければならないと考える。千鳥ヶ淵墓苑ができた時、又はそれ以後納骨方法を変更した時に、墓埋法による墓地の認可を受けたのか。受けていないなら何故か、法的根拠を示せ。
二 千鳥ヶ淵墓苑の六角堂地下納骨室は一辺が約三・五mの正六角形で、深さは一・八mである。中央から放射状に六つの壁で仕切られ、壁の厚みも考慮して容積を計算すると約五十立方m余で、六畳の和室二間の空間となる。そこに約三十三万柱の遺骨が入れられた。その過密度を理解しやすく説明すると、一辺が三十センチの立方形の箱に約二百体の割合であり、人骨の葬り方として極めて非人道的な状態である。このような結果になる前に、もっと早期に思い切った拡張か、新たな墓地造成をすべきであったが、現在政府はこの問題についてどう考えるか見解を示せ。
三 昭和四十一年以前に収集された約十一万の遺骨は、発見遺骨の一部を持ち帰ったと聞く。それでも遺骨は壷か箱など容器に納めて納骨したであろうから、容器、および容器間の空間は無効なスペースであった。特に中央の放射状に仕切られた楔(くさび)状空間は無効空間であったと思われる。
 昭和四十二年以降は発見した遺骨の全体を持ち帰ったと聞く。それが約二十二万体である。そのような遺骨が三十センチの箱にどうして二百体入りうるか、厚生労働省の担当官の説明は「再焼骨により嵩(かさ)を数十分の一にして納骨する」と言っている。それは火力で遺骨を破片化し、原形を無くすことを意味しているのでその行為は違法ではないか、更に再焼骨すること自体が何らかの手続きを要したのではないか。政府の見解を示せ。
四 近年厚労省が収集したシベリア方面では、整然と一体毎に埋葬された墓から掘ってきたものが多かった。それを再焼骨して一緒にしてしまうのは、死者の「個」の尊厳を冒涜する行為と考える。既に火葬済みで燃える要素のない遺骨に、火葬場ではガスバーナーの高温の炎を吹きつけるので遺骨は大部分微塵化して下に落ちる。それを「灰」と見做すのであろう。これらの行為は刑法で禁じている遺骨の損壊、遺棄に相当すると考えるが、政府の見解を示せ。
五 厚生労働省は、「衛生上の懸念があり納骨の前に再度焼く」と遺族に答えたと聞くが、省庁ビルの廊下からドアー一つで仕切られた霊安室に一年も保管されて何も衛生問題が無かったものを、千鳥ヶ淵の地下に入れるときにのみ衛生上を理由として再焼骨するのは理解できない。いわゆる再焼骨は嵩を減らすのが唯一の目的であったと断定してよいか。否ならどんな理由があったか。
六 厚生労働省が、再焼骨のために遺骨を火葬場に渡す時の荷姿(箱の大きさなど)と数、焼骨後受け取るときの荷姿と数を、過去五年分について示せ。
七 再焼骨の際に微塵となって下に落ちた骨粉は何処に廃棄したか。廃棄していないなら何処に保管してあるか。このような再焼骨を今後も続けるか。
八 千鳥ヶ淵墓苑は、身元不明の「戦没者の墓」として閣議決定で設けられた施設である。しかし身元判明遺骨であっても遺族の様々な事情で引き取られなかった遺骨が昨年は十一、一昨年は二十八柱あったと聞く。過去に身元が確認されながら遺族に返せなかった遺骨がどれだけあったか、溯って年度別に数を示せ。
九 そのような遺骨は個別に埋葬し、名を刻んだ何らかの標識を残しているか。それとも他の身元不明遺骨と一緒にして再焼骨したのか。
十 身元が判明したということは、その死者の本籍や氏名を確認したということを意味する。墓埋法で、死者を葬るには自治体の埋葬(改葬)許可を要し、その際死者の本籍、氏名等を記載した届け出を要するが、千鳥ヶ淵を管轄する千代田区役所の担当部署は、「毎年厚生省から出される戦没者遺骨の埋葬(改葬)許可願いに本籍や氏名が記入されたことは一度も無い」と言っている。厚生労働省は身元判明者が含まれるのにそれを隠し、全て身元不明として改葬許可申請してきた。これを公務員による虚偽の公文書作成、行使として遺族により東京地検に告発された。厚生省は遺族に引き取られない身元判明遺骨について、どのような処理手続きをしたか、具体的に示せ。
十一 現在厚生労働省の霊安室には、身元調べのためにDNAを分析可能な状態の遺骨が約四千体保管されていると聞く。遺骨のDNAを調べるのは、かつて本人確認のために兵士らが首から下げていた認識票の番号を読み取ることと同様の意味がある。一方、認識票の原簿に相当するのが遺族側のDNA調べである。遺族側のDNA調べは指の爪か髪の毛等の提供を要し、今後その働きかけ、PRが必要である。身元調べのために認識票の番号は全て読み取るべきで、今すぐに可能で実行しなければならないことは、保管中の遺骨全てのDNAを先ず分析することである。そうして高齢化した遺族のDNA分析も一刻を争う程重要である。しかしこの問題を検討している「検討会」は未だに結論を出していない。
 今後の見通しについて去る三月、衆参両院での厚生労働委員会で、遺骨側のDNAを取ることについて六月までに結論を出し、遺族側については今年中に結論を出すような答弁があった。その意味は六月を過ぎないと遺骨のDNA調べをせず、十二月を過ぎないと遺族側のDNA調べもしないという意味か。政府の見解を示せ。
十二 国立墓地建設について
 小泉総理大臣は「戦没者に最高の敬意と感謝を」と靖国神社を参拝され、「戦没者に追悼の誠を捧げる」ために官房長官の下に「追悼・平和祈念のための祈念碑等施設の在り方を考える懇談会」を設けた。しかしながら、戦没者の遺骨が右に述べたように政府により無惨に扱われている実態がある。二百四十万もの戦没者を出し、遺骨を収集しながら、粉々にして狭い所に押し込んだり、あげくの果ては墓でない千鳥ヶ淵墓苑の後方に増設部を設け「屋根も献花台も無い」と指摘され、やっと近く改修されようとしているが、そこも間もなく一杯になり、戦没者墓地問題の解決にはなりません。右に述べた諸問題は、全て国に戦没者を葬る墓地が未だに一つも無いのが原因です。政府はたとえ身元不明と言えども個別に埋葬できる国立墓地を一刻も早く建設し、戦没者遺族全ての期待に応えるべきと考え以下質問する。
 (一) 政府は戦没者のための国立墓地を造るのか、造らないのか。「造らない」ならその理由を示せ。
 (二) 官房長官の下に設けられた「追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」の「記念碑等施設」では、墓地も含むと考えるか、それとも墓地は検討の対象外か。「検討の対象外」ならその理由を示せ。

 右質問する。



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