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平成十四年五月三十日提出
質問第八五号

首都高速道路公団のETC導入と体質改善に関する質問主意書

提出者  田中慶秋




首都高速道路公団のETC導入と体質改善に関する質問主意書


 特殊法人の非効率化がいわれている。首都高速道路公団(以下、「首都公団」という)はここ数年、収益が減少し、渋滞緩和についての努力も認められない。道路運営がマンネリ化する中で、ETCの導入は、人件費等の削減、料金所渋滞の解消につながるものとして期待された。しかし、その成果は未だ見られない。これでは、本気で普及を図ろうとしているのか疑問である。首都公団の業務体質に問題があるのではないか。ETCの普及を図るためには、民間企業並の徹底した体質改善が必要ではないかと考える。
 首都公団は事業収入がマイナスになれば通行料金を値上げして穴埋めしていこうとする安易な体質を変えていかなければならない。鳴り物入りでETCを導入したにもかかわらず、普及が遅々として進んでいない。これは首都公団と利用者の間にETCに対する考え方の基本的な違いがあるからではないのか。
 利用者は、より経済的な面を考えて高速道路を利用している。例えば、ハイウェイカードは購入時点で割引料金分が付加されている上に、金券ショップ等での購入はさらに値引きされて手に入る。これに対し、国交省は一部に割引料金の設定への検討を始めているが、ETCの利用は一般通行割引料金と変わらない。ETCの導入で経費が削減されていることからすれば、さらに大幅な通行料金の削減が図れるはずである。また、削減されていかなければ、ETC導入の本来の意味を失することになる。一般通行割引料金と格差をつけるなど、ETCの利用頻度を高めるための積極的な工夫をすべきである。
 通行料金を日本道路公団(以下、「道路公団」という)が下げないから、首都公団も下げなくていい。仮にこのような理屈を通すなら、自由主義経済の中で市場原理に反する基本的な過ちを犯しており、コスト意識に欠けた横並び主義は利用者軽視も甚だしいと言わざるを得ない。
 民間企業の場合、電力会社を例にとれば夜間、休祭日利用などに使用料金の工夫を行い、割引料金を設定しながら収益を上げるための努力を重ねている。これらの努力は利用者に不便をかけることなく、むしろ使いやすい環境を提供し、収益を伸ばしている。
 これに比べて道路公団及び首都公団は一年・二十四時間、夜間も休祭日も同一料金を設定し、通行量の少ない時間帯等の割引料金設定で、利用者の利便性を考えるなどの工夫が見られない。これは首都公団の努力不足の表れである。ETCカードにしても大幅な利用料金の値下げを行い、このことで利用者数を増やす努力をするべきである。
 従って以下、質問する。

一 車載器普及の対策について
 車載器が普及しない原因の一つに価格の高さが挙げられる。普及が見込めなければETCシステムは浸透していかない。このシステムは三〇〜四〇%の利用がなければ、料金所の渋滞緩和に役立たない。このことは欧米の経験からもはっきりしている。ニューヨーク周辺の朝夕のラッシュアワーには、約七〇%がETCに匹敵する”E−Z Pass”を利用し、料金所の渋滞はほとんど解消されているという。車載器を普及させるための具体的な努力計画はあるのか。
二 道路公団、首都公団の一本化について
 利便性の向上の名のもとに、利用者サービスが足りず、結果として収益が落ち込んでいる。健全経営化を図っていくためには、道路公団と首都公団の分離は多いに問題がある。境界点に設けられているこれらの料金所が通行のネックとなり、公害、時間ロス、経済ロスを引き起こす原因となっている。これを減らすことで、スムーズな車の流れが生まれて利用者サービスにつながることは間違いない。料金の収受技術を別途駆使して、道路公団、首都公団を一本化していく考えはないか。
また、現在道路公団が管轄する横浜新道は軽車両と普通車両の通行料金が異なっている。しかし、首都公団が管轄する首都高速では軽車両と普通車両の通行料金は同一となっている。これは整合性に欠けているのではないか。
三 割引料金制度の導入について
 現在の一律通行料金を、ETCの割引と合わせて距離による料金体系を設定することで、より利用者が増え、収益とサービス向上につながる料金システムを考えるべきではないか。
四 領収書の発行、通行ゲートの改善について
 ETCシステムによる通行ゲートの誤作動や領収書の発行問題が指摘されている。この点についても早急に対策をたて、利用者優先の徹底した改善策を講じることが望まれる。これをいつまでに実現していこうとするのか。
五 経営努力を促す体質改善について
 料金収入の四二%が借入金の利払いに回されている。民間企業なら、当然倒産状態にある。財投の六%金利を市場金利、すなわちゼロに下げれば少なくとも三〇%は減り、値下げの必要はなくなるが、これらの資金面の問題をどのように考えているのか。また、民間の経営努力に見習い、効率性、サービスの向上につながるETCシステムのあり方を考え、首都公団も思い切った体質の改善が必要なのではないか。
 右に挙げた、一から五までの問題に何の対策も講じず、努力の後も見られない状況にもかかわらず、五月二十八日付の首都高速横羽線料金値上げに関する質問に対する答弁書には、計画通りの料金値上げを実施するとある。このことについて納得がいかない。

 右質問する。



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