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平成十四年七月三十一日提出
質問第一九五号

我が国における条約難民の認定体制に関する質問主意書

提出者  中村哲治




我が国における条約難民の認定体制に関する質問主意書


 瀋陽事件をきっかけに、難民問題に関する国民の関心は高まっているが、我が国における、特に条約難民を対象とした認定体制については、人権政策上・外交政策上見直すべき点が多いと考える。
 トルコ国籍を有するB氏(東京地方裁判所平成十三年(行ク)第百八十八号事件原告)は、我が国に対し難民の地位に関する条約、難民の地位に関する議定書所定の難民(以下「条約難民」という。)として認定するよう求めていたところであるが、最終的に政府は不認定という判断を下し、その判断に対する異議申出についても理由がないという旨の裁決がなされた(二〇〇一年十月一日)。
 同氏は退去強制令書に基づく収容を受け、二〇〇二年四月二十五日に一度は放免されたものの、本日(二〇〇二年七月三十一日)、東京入国管理局に再度収容された。
 しかしながら同氏については、国連難民高等弁務官事務所より条約難民であることが認められており、二〇〇二年三月十四日付けでその証明書が交付されている。国際的にも権威ある機関で条約難民として認定される者が、日本では難民として認定されていなかったわけである。
 従来より日本は、条約難民の受け入れについて、認定者数・認定率ともに低く、認定に関する審査体制が不十分であることが指摘されていたが、今回の事例は、改めて日本の審査体制を早急に充実させる必要があることを明らかにしたものと考える。
 従って、次の事項について質問する。 

一 今回、政府の判断と正反対の結果を国連難民高等弁務官日本・韓国地域事務所が下しているが、この事実について、政府としての見解を問う。
二 通常、難民不認定者に対しては、退去強制令書とともに収容令書が発布される例が多いが、その根拠規定である「出入国管理及び難民認定法」第五十二条第五項では収容することが「できる」と定められており、必ずしも、収容が強制されているわけではない。今回、B氏を収容する理由は何か。
三 難民審査に従事する担当官の人数が少なすぎることが、十分な難民審査を行ううえで支障となっているのではないか。
四 難民審査における、難民の出身国の状況の判断資料について収集・研究の体制を充実させること、また集めた資料の公正性を担保するためにそれらを公開することが必要と考えるがどうか。
五 我が国における難民認定の審査基準を明らかにすべきと考えるがどうか。
六 国連難民高等弁務官事務所が難民であるとの判断を下し、証明書を交付した者について、出身国への送還を執行した事例はあるか。このような者は難民の地位に関する条約第三十三条による迫害国への送還禁止が適用されると考えるがどうか。
七 退去強制令書発付後のある外国人に対し、国連難民高等弁務官事務所が難民であるとの判断を下して証明書を交付した場合、これを新たな事実として、在留特別許可の可否について再吟味する必要はないか。
八 政府として、難民認定の審査体制を、今後充実させる必要性は認めるか。また、具体的に今後体制を充実する予定はあるか。

 右質問する。



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