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平成十六年七月三十日提出
質問第一八号

イラク問題に関する質問主意書

提出者  仙谷由人




イラク問題に関する質問主意書


 イラク問題について、以下質問する。

一 各国等の動向について
 @ 現在、イラクに軍隊等を派遣している国は米国を筆頭に約三十五国と承知している。今回の国連安保理決議一五四六号を受けて新たに派遣を表明した国はあるのか。その場合、国名、派遣兵力、派遣時期、イラクにおける任務を明らかにされたい。また、フランス、ドイツ、中国、ロシア、NATO、EUが、安保理決議一五四六号を受けて採っている対応措置等について、それぞれ政府の認識、評価を明らかにしていただきたい。
 A ポーランド、オランダ、フィリピンがイラクからの撤退あるいは派遣規模の縮小を表明または実施している。派遣していた国のうち、撤退・派遣規模の縮小を表明した国などが表明している理由などについて、それぞれ政府の認識、評価を明らかにしていただきたい。
二 自衛隊の多国籍軍参加問題について
 @ 政府は、「イラクの主権回復後の自衛隊の人道復興支援活動等についての基本的考え方」において、自衛隊が多国籍軍の中で、「統合された司令部の指揮に従い活動するものではない」と断言している。「統合された司令部」とは具体的にどのような組織を指すのか。自衛隊の任務・業務内容・参加国軍隊との指揮命令系統は、連合軍暫定施政当局(CPA)によって統治されていた当時とどのような相違があるのか。
 A イラクに派遣された自衛隊の現地司令部は、「統合された司令部」に参加するのか。参加しない場合、参加しない、あるいはできない理由は何か。参加する場合、どういう形態の参加となるのか。この場合、どのような指揮命令系統になるのか。統合された司令部の指揮命令を受ける場合で、多国籍軍が武力を行使するに至った場合、多国籍軍が行う一連の作戦行動と自衛隊の関係はどのようになるのか。
 B 「自衛隊が多国籍軍の中で活動する場合の活動のあり方に関する米国、英国との了解について」によれば、米英は自衛隊が多国籍軍の指揮下で活動することはないことを了解しているとされる。米英に了解を求めた理由は何か。「統合された司令部」に参加している諸国すべての了解は必要ないのか。自衛隊活動地域に所在するオランダについて、明示の了解を求める考えはないのか。もしその必要がないとするなら、その理由は何か。
 C オランダ軍が撤退した場合、現地の自衛隊の任務はどうなるのか。現地の治安維持任務はどの国が担当するのか。任務分担も含め、新たに治安を担当する国の軍との間では、信頼関係の構築が不可欠であり、相当の時間が必要と考えられるが、その間、現地の治安の維持に関し、不幸にしてテロ攻撃など、不測の事態が生じた場合は、現地の自衛隊としてはどのように対処するのか。
 D 正当防衛、緊急避難、武器等防護のための武器使用が許される事態で、やむを得ず武器使用に至った場合、海外における武力の行使と外形上、どのような相違があるのか。また、どのような状況になれば、武器の使用を超え、武力の行使と認定されるに至るのか。
 E 自衛隊が多国籍軍の指揮下で活動することがないのであれば、多国籍軍の一員となる必要性は何か。イラクにおける地位協定の問題以外に、必要性があるのか。また、指揮下には入らないとしても、多国籍軍の一員となることで、派遣されている自衛隊の任務、性格に何らかの変化はあるのか。任務の外形が同じだとしても、CPA下での活動と暫定政府における多国籍軍下の活動とでは、派遣の前提となるイラクでの統治の主体が異なっている。イラク特措法の立法当時において、自衛隊の活動は、CPA下で行うことを想定していながら、今回、安保理決議一五四六号に基づく暫定政府下での新たな活動を、イラク特措法の施行令改正で事足れりとした法的根拠は何か。
 F イラク暫定政府からの同意と法的地位の確保について、イラク暫定政府と多国籍軍参加国との具体的な手続はどのようなものか。例えばイラク暫定政府と多国籍軍を代表して米国が手続を交わすのか、あるいはイラク暫定政府と参加国それぞれが個別に手続を交わすのか。こうした手続はいつ行われるのか。
 G 政府の説明では、イラク暫定政府は発足したばかりであるため、自衛隊の法的地位に関して合意を得ることは事実上不可能としている。将来的に暫定政府の体制が整った場合、自衛隊の駐留について個別に協議し、イラク暫定政府との間で地位協定を締結して多国籍軍から離脱することは可能か。それが不可能あるいは適当でないと考える場合、その理由を明らかにされたい。
 H 多国籍軍については、イラク政府の要請により、または安保理決議一五四六号の採択から一年後に見直されることとされているが、原則として多国籍軍の撤退に合わせ、自衛隊はイラクから撤退すると理解してよいか。
 I 従来、自衛隊の国連軍あるいは多国籍軍への関与については「参加」あるいは「協力」の二形態があったと考えるが、去る六月十四日の参議院イラク・有事法制特別委員会において、秋山内閣法制局長官は、新たに「広い意味での参加」という形態を示したと承知している。あらためて「参加」、「協力」、「広い意味での参加」それぞれの具体的な定義を示すとともに、憲法との関係をそれぞれ整理して説明されたい。
 J 多国籍軍発足以前、イラクにおける自衛隊は、米英連合軍に「参加」、「協力」あるいは「広い意味で参加」していたのかを明らかにされたい。さらに多国籍軍発足後は、自衛隊は「参加」、「協力」あるいは「広い意味で参加」のいずれの関与を行うのかを明らかにされたい。多国籍軍発足の前後で関与の仕方に相違がある場合、その理由は何か。
 K イラクでは、比較的安定していると思われていた地域が、一瞬にして戦闘が繰り広げられる地域に様変わりする事態が見られるが、このような事態に自衛隊が巻き込まれた状況下で、他の多国籍軍参加国、例えばオランダ軍とともに武器使用を伴う行動をした場合、従来から憲法解釈上許されないとされていた武力行使との一体化、海外での武力行使とどのような相違があるのか。
 L 結局、今回の多国籍軍への参加の判断は、憲法やイラク特措法などの法律解釈というより、対米追随のための政治判断に基づいて決定したのか。
三 大量破壊兵器の有無について
 @ 政府はイラク戦争の開戦前、米英の大量破壊兵器に関する情報を信頼し、これを根拠にイラク戦争には正当性があるとして開戦を支持したと承知している。政府としては自己の判断の前提となる大量破壊兵器の有無について重要な関心を持っていて然るべきであると考えるが、政府の情報収集・分析の結果を可能な限り示されたい。
 A 政府は現在でもイラクは大量破壊兵器を保有していたと判断しているのか。もしそうならば判断の根拠は第三国からの情報に基づくものか、それとも独自情報があったのか。米英両国で、イラクの大量破壊兵器保有に関する米英情報当局の情報が信頼性に欠けていたとする委員会報告が出されているが、いち早くイラク攻撃を支持した政府の政治責任をどう考えるか。
四 現地の陸上自衛隊員の状況等について
 @ 現在、陸上自衛隊が活動するサマワの状況はどうなっているのか、治安は安定しているのか、現在どのような活動をしているのか、現地情勢や活動状況などを踏まえ、今後どのような活動をしていくおつもりなのか、また、変更の可能性はないのか、政府の認識を明らかにしていただきたい。イラク特措法には「人道復興支援活動」以外に、「安全確保支援活動」が規定されているが、現在、この規定に基づきどのような活動を実施し、それをどう評価しているのか、また、その評価に基づき、今後どのような活動を充実させていくべきとお考えなのか、明らかにしていただきたい。特に、米軍等の輸送もあると聞いているが、どのような調整過程を経て行われたものなのか、また、今後も同様の過程で行われるものとなるのか、政府の認識を明らかにしていただきたい。
 A 第一次派遣部隊の隊員が帰国したと承知しているが、帰国した隊員の心身の健康状態をどう把握しているのか、また、これに基づき、今後、活動の内容や部隊運用等について改善の余地はないのか、政府の認識を明らかにしていただきたい。
 B 報道によれば、現地は気温四十度以上など極めて過酷な気候条件であると承知している。また、サマワ周辺においても、オランダ兵が殺傷され、あるいはイラク警察と住民が衝突するなど治安の悪化が危惧される。第二次派遣部隊について、このような気候・治安状況に対し、装備・訓練・現地の施設(宿舎など)などについて、どのような措置をとっているのか可能な限り明らかにされたい。

 右質問する。



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