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平成十六年七月三十日提出
質問第一九号

北朝鮮問題に関する質問主意書

提出者  仙谷由人




北朝鮮問題に関する質問主意書


 北朝鮮問題について、以下質問する。

一 日韓首脳会談について
 小泉総理は、本年七月に行われた日韓首脳会談後の共同記者会見において、「日朝平壌宣言が誠実に履行されれば、一年以内の正常化も可能だ」と述べたとされるが、その趣旨はいかなるものか。拉致事件や核・ミサイル問題解決への協力などの見通しがあった上での発言か。右課題のうち、どれか一つでも前進があれば、交渉を開始するのか、それともすべての課題について、解決の見通しが立った段階で判断するのか。
二 拉致事件について
 1 曽我ひとみさんの夫ジェンキンス氏は、米軍から脱走罪等で公訴の提起を受けているが、日本国民は、拉致事件の被害者である曽我さんのご家族が、日本でいっしょに暮らしていけるよう、人道的見地からジェンキンス氏の引渡しを求めたものであって、米軍のためにジェンキンス氏の引渡しを受けたものではない。ジェンキンス氏は、アメリカの独立法務官から、軍法会議での司法取引の説明を受けるとの報道もあるが、日本政府は、ジェンキンス氏の病状や年齢、時間的経緯、拉致事件の性質、日米関係等を総合的に勘案し、米軍に身柄を引き渡すということなく解決するという選択肢はあり得ないのか。
 2 本年五月に行われた日朝首脳会談において、北朝鮮は、死亡あるいは不明とされた拉致被害者十名の安否についての再調査を約束したが、再調査に関する期限は設けられておらず、現在までのところ安否不明となっている十名に関する新たな事実の提示はなされていないと承知している。北朝鮮が約束した再調査について、進捗状況はどのようになっているのか。また、北朝鮮による拉致の疑いが強いとされる、いわゆる「特定失踪者」についても真相の徹底した解明が必要と思われるが、そのために政府としてどのような取組みを行っていくつもりであるのか。
 3 本年五月に行われた日朝首脳会談において、小泉総理大臣は、人道支援として、国際機関を通じた二十五万トンの食糧支援を表明している。しかしながら、北朝鮮への食糧支援については、真に食糧を必要としている北朝鮮国民に十分に届いていないとの指摘が従来よりなされており、五月二十三日に実施された毎日新聞の世論調査においても、食糧支援については必要最小限にすべきであるとの意見が約七割を占めている。政府は、北朝鮮への食糧支援につき、どのような方針で臨むつもりであるのか。支援した食糧が、それを真に必要としている人に確実に渡ることをどのように担保するつもりであるのか。
 4 先の訪朝で小泉総理が表明した「日朝平壌宣言を守る限り経済制裁を発動しない」との発言は、拉致事件の全容解明・全面解決や核問題の解決に関し、貴重な外交カードを捨てるに等しいが、どのような状況になれば、成立させた改正外為法や特定船舶入港禁止法に基づく制裁を発動するのか。
 5 拉致事件や核・ミサイル問題等での誠意ある対応が見られない場合、六者協議の場に加え、国連の場においても、問題の解決を図っていく考えはあるか。
三 核問題について
 1 北朝鮮は、核不拡散条約からの脱退を表明し、核保有を示唆するなど、平壌宣言の前提が崩れたにもかかわらず、小泉総理の再訪朝は、平壌宣言の内容を再確認しただけで終わった。北朝鮮の核問題は、わが国の安全保障に重大な影響を及ぼしており、拉致事件とともに核問題の解決なしには、国交正常化はあり得ないと考えるが、政府は、現時点において核問題の解決とはどのような内容でなければならないと考えているのか。
 2 北朝鮮は、去る六月二十四日、六者協議に先立ち行われた米朝協議で、北朝鮮の核施設の凍結に対してエネルギー支援などの見返りを求める「凍結対補償」が受け入れられない場合の「将来の核実験」に言及したほか、協議開催のタイミングを図って地対空ミサイルの発射を行っていた。また、北朝鮮は、高濃縮ウランによる核開発計画を否定し、検証の対象外としており、北朝鮮が完全な核廃棄を行うつもりか、その真意のほどを疑う言動もある。また、アメリカと韓国との間では、対北朝鮮外交において温度差があるという評価もある。このような状況で、六者協議も含め、核に関する北朝鮮外交をどのように進めていくのか明らかにされたい。

 右質問する。



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