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答弁本文情報

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平成十六年八月五日受領
答弁第一九号

  内閣衆質一六〇第一九号
  平成十六年八月五日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員仙谷由人君提出北朝鮮問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員仙谷由人君提出北朝鮮問題に関する質問に対する答弁書



一について

 小泉内閣総理大臣は、平成十六年七月二十一日に大韓民国を訪問した際、日韓首脳会談後の共同記者会見において、「私の任期はあと二年程であるが、その間に日朝平壌宣言が誠実に履行されれば、正常化がなされる。これが誠実に履行されれば二年にこだわらない。一年もあり得る。私は期間にはこだわらない。誠実な履行がなければ一年経っても二年経っても三年経ってもない。」旨の発言を行った。これは、小泉内閣総理大臣が、拉致、核及びミサイルといった諸懸案を包括的に解決した上で日朝国交正常化を実現するという自らの確固たる意思を改めて明確にするとともに、北朝鮮に対してもこれら諸懸案の包括的な解決に向けた前向きな対応を強く促すとの趣旨で行った発言である。
 政府として、曽我ひとみさん家族を含む拉致被害者家族の帰国の実現により、日朝国交正常化交渉再開の前提は満たされたと考えているが、その具体的時期については、国交正常化交渉を再開することが諸懸案の進展につながるか否か等、日朝関係や六者会合等をめぐる全般的な状況を視野に入れつつ、今後、検討していく必要があると考えている。

二の1について

 政府は、アメリカ合衆国政府(以下「合衆国政府」という。)から、@ジェンキンズ氏は脱走した千九百六十五年に公訴を提起されており、現在、四つの重大な罪に問われている、A合衆国政府は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)に基づき、ジェンキンズ氏の身柄の引渡しを日本政府に対して請求する権利を有しており、今後、この権利を適当な時期に行使することとなる、Bただし、ジェンキンズ氏の健康状態にかんがみ、引渡しの請求は遅れるであろう、との説明を受けている。他方、個別の引渡請求の取扱いは、当該請求がなされる時点で合衆国政府から提供される事実関係等に基づき判断されるものであり、合衆国政府からジェンキンズ氏の身柄の引渡しの請求がなされていない現時点において、請求がなされる場合の我が国政府としての対応をあらかじめ述べることは困難である。

二の2について

 安否不明の拉致被害者に関する再調査については、平成十六年五月二十二日の日朝首脳会談の際、金正日(キム・ジョンイル)国防委員長から、改めて白紙の状態から直ちに本格的な調査を行う旨発言があった。また、同年七月一日の日朝外相会談の際には、白南淳(ペク・ナムスン)外相より、既に関係機関によって新たな調査を進めている、結果が出次第、日本側に回答する旨発言があった。さらに、同月九日にジェンキンズ氏の出迎えのため平壌を訪れた政府関係者に対して、北朝鮮外務省関係者から、本件再調査については、地方を含め懸命に行っている旨発言があった。
 関係省庁においては、これまでに政府が拉致被害者と認定している十五名以外にも、北朝鮮により拉致された可能性を排除できない失踪者の事案があると見て、鋭意所要の捜査や調査を進めてきている。今後、このような捜査や調査の結果、北朝鮮による拉致行為があったことを確認するに足りる情報が整理された場合には、内閣総理大臣が、関係行政機関の長と協議の上、当該失踪者を拉致被害者と認定することになる。そのようにして新たに認定された拉致被害者については、政府として、北朝鮮に対し、安否の確認等を求めていく考えである。このような政府の考えについては、同年五月二十二日の日朝首脳会談を含め、累次の機会に北朝鮮に対して伝えてきているところである。

二の3について

 平成十六年五月二十二日の日朝首脳会談において、小泉内閣総理大臣は、二十五万トンの食糧及び千万ドル相当の医薬品等を国際機関を通じ北朝鮮に対して人道的観点から支援する旨表明した。同年八月五日には、このうち十二万五千トンの食糧及び七百万ドル相当の医薬品等の支援の実施を明らかにしたところである。本件支援は、食糧については世界食糧計画が、医薬品等については国際連合児童基金及び世界保健機関がこれを実施することとなっているが、これら関係国際機関は、既に支援の適正な実施を確認するためのモニタリング要領を政府に提出しており、また、支援の実施後も、詳細な報告を政府に提出する旨約している。政府としては、このような関係国際機関によるモニタリング等を通じて、支援物資の適正な配布を確保していく考えである。

二の4について

 小泉内閣総理大臣は、平成十六年五月二十二日の日朝首脳会談において、北朝鮮が日朝平壌宣言を遵守する限り北朝鮮に対していわゆる経済制裁を発動しない旨を明らかにした。今後、北朝鮮が事態を悪化させて日朝平壌宣言に反するような状況が出てくれば、政府として、いわゆる経済制裁の発動を含め、北朝鮮への対応を検討していくこととなると考えている。他方、いかなる事態においていかなる対応を北朝鮮に対してとるかは、当該事態の個別具体的な状況に照らし、当該対応が事態の改善及び解決につながるか否かという観点から検討、判断されるべき事項であって、あらかじめ確定的に述べることは困難である。

二の5について

 いかなる事態においていかなる対応を北朝鮮に対してとるかは、当該事態の個別具体的な状況に照らし、当該対応が事態の改善及び解決につながるか否かという観点から検討、判断されるべき事項であって、あらかじめ確定的に述べることは困難であるが、政府として、北朝鮮に係る諸懸案を国際連合の場で取り上げ、その解決を図ることをあらかじめ排除しているわけではない。

三について

 政府としては、北朝鮮の核問題の解決として、北朝鮮の有するすべての核計画が信頼のおける国際的な検証の下で完全に廃棄されることが必要であると考えており、アメリカ合衆国及び大韓民国を始めとする関係国との協力の下、六者会合の過程等を通じて引き続きその実現を図っていく考えである。



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