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平成十六年十二月二日提出
質問第六七号

桜木町駅前会員制競輪場外車券発売施設に関する質問主意書

提出者  佐藤謙一郎




桜木町駅前会員制競輪場外車券発売施設に関する質問主意書


 本件に関し提出者は、平成一六年八月五日提出質問第四九号において、設置計画及び経済産業省による設置申請許可について、自転車競技法施行規則や近隣・周辺住民の同意・合意に係る問題などに関する政府見解を問い、平成一六年八月二四日内閣衆質一六〇第四九号答弁書の回答を受けた。しかしながら、不明な諸点が十分に明らかにされたとは言えず、さらには答弁漏れもあったので、改めて以下の質問を行う。政府におかれては、提出者の質問に対し一問一答の形式で回答をいただくようお願いしたい。

1 賭博自体は反社会的行為でありなんらの公益性も無いと考えるが、政府の認識を問う。
2 自転車競技法をはじめとした公営競技各法の法律は、賭博や賭博場開張等を厳しく禁ずる刑法を前提とし、その適応除外を例外的・限定的・特例的に定める法律であるのか、公営競技を奨励・推奨・促進するための法律であるのか、政府の見解を示されたい。
3 「自転車競技法施行規則」第一五条第一項で特に文教施設及び医療施設を明記し特に配慮をしなければならない理由は、賭博や賭博場開張等が刑法で厳しく禁止されている理由から、一般社会常識で判断し、文教・医療施設利用者は、児童・生徒や病者患者という社会的「弱者」であるがゆえに、射幸心旺盛で勤労の美風に欠ける者との接触を避けその感化・悪影響より守ること、また誘発される副次的な犯罪に巻き込まれることから守るため、万全とはいえないまでもせめて、空間的に分離しようという極めて社会的理由によると考えられる。この点についての政府の認識を問う。
4 先の質問(問い1−2)で、文教上又は保健衛生上の支障として想定される具体的内容を問うた。文教・医療施設利用者は、児童・生徒や病者患者という社会的「弱者」である。ゆえに「特に配慮をする必要」があり、またこれら施設の「周辺環境の維持」が、特に必要とされることは一般社会常識からも判断できる。にもかかわらず、先の政府の答弁は、通行支障といった物理的な問題やまた車券購入という直接的違法行為を例示することで問題を意図的に矮小化しているといわざるを得ない。この質問者を愚弄するかのような答弁は断じて許されない。したがって、政府は、改めて、一概でなく詳細で結構であるので、想定される支障について具体的に明らかにされたい。
5 不透明な行政裁量を排し、ルール化や基準化を推進し行政の透明性やアカウンタビリティーを高めていくことも、政府が取り組みを進めてきた行政改革の大きな目的の柱であったと理解しているが、政府の認識は如何。
6 法令に基づかない指導や命令も、許認可官庁と事業者との間の慣習・馴れ合いであり、これを法令に基づくものと改めるのも行政改革の一つであったと理解しているが、政府の認識は如何。
7 さらに、この不透明な行政裁量を排したルール化や基準化は、政府による許認可についても同じく適用されなければならないと考えるが、政府の認識は如何。
8 場外車券発売施設の設置等の許可申請書類に「半径五〇〇m以内」の文教施設及び医療施設を示す書類の添付をさせている理由とそれが「半径五〇〇m以内」である根拠を明確に示されたい。
9 先の質問(問い1−6)で、「相当」及び「著しい」の判断基準を明確に示されたいと問うたのに対し、判断基準を一概に示すことは困難であるが、経済産業省が個別の事案に即して適切に判断しているところ、との答弁であった。しかしながら、行政改革の趣旨も踏まえ、経済産業省の言う「個別の事案に即した適切な判断」それ自体の、恣意性・不透明性について問うているのであるから答弁になってはいない。改めて、一概でなく詳細で結構であるので、経済産業省が判断する際の「相当」及び「著しい」の判断基準を示されたい。
10 政府は先に、「場外車券売場と医療施設とが同一の建物の中にあることが必ずしも許されないわけではない」と答弁されたが、しからば文教施設の場合も同様との理解で良いか。
11 「場外車券売場と医療施設とが同一の建物の中にあることが必ずしも許されないわけではない」との先の答弁は、すべては行政裁量で行うものであり、あらかじめ基準などは全くないということと解されるが、政府の認識もその通りであるか。
12 経済産業省が許可理由とした「会員制」での運営は、そもそも法令上は許可要件か否か。
13 仮に、法令上の許可要件ではない「会員制」での運営を、事業者が実施しなかった場合、許可取り消しの行政処分は可能か、否か。
14 経済産業省は「会員制」でなければ本件申請許可は難しいと説明したが、場外車券発売施設の設置等の許可申請の記載内容を規定する「自転車競技法施行規則」第一四条に、「会員制」という施設運営条件などという項目は無く、これらはあくまで申請上は単なる付随的な特記事項に過ぎない。法令に基づかない、さらには規則にすら基づかない単なる「特記事項」を、申請許可の決定的な理由とすることは、不透明な行政裁量を排したルール化や基準化という行政改革の本旨に反し、裁量行政の批判を免れないと考えるが、政府の認識は如何。
15 公営競技はその収益により「公益性」が仮構されているが、風紀問題や副次的犯罪行為等、賭博自体が本来有する反社会性に起因する諸問題は主に公営競技関連施設等の近隣・周辺地域のみが負う結果となる。そのためこれら公営競技関連施設等の立地に関しては近隣・周辺住民が不安を抱き慎重にならざるを得ないことは当然のことと考えるが、政府の認識を問う。
16 ダム建設等の公共事業などの場合も「公共の福祉(増進)」と「地域的な損失」との比較考量は難しい問題となる。公共の福祉に反する賭博の例外的許可を説明する「公益性」と「地域的な損失」との比較考量は、他の公共事業などの場合より一層慎重にとらえるべきと考えるが、政府の見解を問う。
17 自転車競技以外の公営競技に関し、関連施設建設等に際し、進出先の地方自治体の同意を許可条件としているか否か。
18 自転車競技に関し、一九九五年(平成七年)通産省(当時)局長名の「指導要領」で、関連施設建設等に際しての地方自治体の同意をはずした理由について明らかにされたい。
19 政府は先の答弁で、地域の住民等との調整については、自転車競技法の趣旨にかんがみ、その適正な施行に不可欠なものであるとまでは言えない、としている。ここで政府の言う、自転車競技法の趣旨と適正な施行とはいかなるものか示されたい。
20 経済産業省への行政文書開示請求に対し、「資料11−1同意書」については、全頁共通で個人名及び特定個人を識別する上で照合可能な町内会等の組織名は、「法令の規定や慣行として公にされておらず又は公にすることが予定されていない情報」として非開示とされ塗りつぶされている。しかし、政府の言うとおり「町内会等の役員会等の議決を経た同意書」であるのならば、「法令の規定や慣行として公にされておらず又は公にすることが予定されていない情報」には当たらないのではないか。政府の見解を問う。
21 近隣・周辺住民の同意・合意が問題となる開発・建設・設置行為に際し、町内会、自治会等への開発等事業者よりの多額の寄付・協賛金や、また代表者・役員に対する接待など、極めて不明瞭な関係が取り沙汰されることも少なくはない。このような事態を政府は如何に認識しているか。
22 経済産業省は、本件場外車券売場の設置の許可に当たって、周辺の町内会及び本件ビルディングに所在する商店等を会員とする商店会から、役員会等の議決を経た同意書が提出されており、地域の住民等との調整は十分に行われていると考えている、と答弁されているが、ではなぜ地域住民による反対運動が起き、訴訟にまで至ったと考えるのか。
23 先の質問(問い2−12)で、本件に限らず公営競技関連施設の設置に関し、近隣・周辺住民との紛争が全国で多発する原因を、政府はどの様に判断するかとの問いに対し、反対する者の反対理由は多様で、反対理由を一概に申し上げることは困難、との答弁があった。これは極めて不誠実な答弁であり、最善を尽くそうという謙虚な姿勢にかけるこの様な姿勢で地域住民の理解や安心を得られることはありえないと考えざるを得ない。自らの安易な許可が問題を引き起こしている点に何らの責任も認識していないといわざるを得ない。政府がどの程度の認識を持っているかを尋ねているのであるから一概でなく詳細で結構であるので、改めて見解を問う。
24 政府は、公営競技は地方公共団体等が実施することにより公正な実施が確保されるとされている。たしかに運営や会計など実施については暴力団関係者等による賭博よりは「公正」であるかもしれないが、しかし、風紀問題や暴力団関係者によるノミ行為や利用者による軽犯罪など副次的な犯罪誘発はそれで回避されるものではない。政府は、副次的な犯罪誘発について、如何に把握・認識しているか。
25 政府は、公営競技は地方財政の健全化に資するとされているが、公営競技による収益に依存した自治体財政は健全であるか、否か、政府の認識を伺う。
26 政府は、公営競技は地方財政の健全化に資するとされているが、公営競技の事業収益の伸び悩みや事業赤字を一般財政で補填せざるを得ない自治体が多く存在する現状を、政府はどのように認識しているか。
27 地域の責任主体はその地域に生きる住民であり自治体である。最終的には地域を捨て逃避できる、地域に対し責任を負いきることの無い事業者や政府の立場が、住民・自治体に優先される制度自体を問題としている。地方分権・行政改革という時代の要請と公営競技施行での軽重判断を誤っていると考えざるを得ない。改めて、問題の重要性を勘案すれば、公営競技関連施設等の設置許可に際し、近隣・周辺住民の同意なり合意は、勧奨的運用事項ではなく設置許可の要件とすべきであるし、また通知行政で済ませることなく法令に明記すべきと考えるが、政府の認識を問う。

 右質問する。



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