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平成十七年二月二十四日提出
質問第二二号

北海道警察における国費及び北海道費の不正経理に関する質問主意書

提出者  鉢呂吉雄




北海道警察における国費及び北海道費の不正経理に関する質問主意書


 平成十五年十一月以降、北海道警察は、旭川中央署の捜査用報償費(北海道費)支出に関する裏金づくりがあったとの疑惑が持たれ、平成十六年に入り北海道警察は北海道警察予算執行調査委員会(以下単に「調査委員会」という)を設置し、同年十一月二十二日に最終報告(捜査用報償費等特別調査結果報告・以下単に「報告」という)を行った。この報告によれば、平成十年度から同十二年度までに組織的・慣行的に不正経理を行ってきており、平成十三年度以降についても支出事実と異なる支出関係書類を作成していたことが明らかとなった。
 一方、北海道監査委員は北海道知事の要求による特別監査結果の報告を平成十六年十二月三日に行い、その中で、相当以前から慣行的、組織的に不正な予算執行が行われており、平成十三年度以降も同様の方法での不正執行が続けられていたことを認定した。また旅費、食糧費、交際費でも執行事実のないものが数多く存在することを認めており、不正行為を取り締まる立場にある北海道警察において、長年にわたり、全ての部署で不正な予算執行が認められたことは、いかなる理由をもってしても信じがたい行為であり、各幹部は是正、改善のための責務を果たしてこなかったことに対して、その責任を重く受け止めるべき、と厳しく指摘した。
 以上のことから、慣行的、組織的に行われた不正経理の事実は、北海道警察にとどまらず、全国的な問題であるとの観点にたち、次の事項について政府に対して質問する。
 なお、問題の重大性、緊急性に鑑み、国会法七十五条二項に規定する通り、質問主意書受領の日から七日以内に答弁されたい。また同様の文言が並ぶ場合でも、項目ごとに平易な文書で答弁されたい。

1 刑事告発について
 (1) これまでの北海道警察による報告、北海道議会での答弁、関係者への処分内容を見る限りにおいて、自ら解決し自浄作用を働かすことは不可能と判断し、北海道警察幹部ら七名に対して、刑事告発(平成十七年一月十四日付 東京地方検察庁)による法的手段を講じたが、政府の所感を伺う。
 (2) 平成十七年一月十四日付で東京地方検察庁に提出した告発状は、同年一月二十七日、東京地方検察庁が受理、同年同月日付の「処分通知書」で札幌地方検察庁に移送としているが、その移送した理由を伺う。
 (3) 報告により、他人の氏名を電話帳から無断で抽出し、架空の協力者として会計書類に記入していたことが明らかとなった。この時点で文書の偽造は成り立っており、犯罪性の疑いが強いにも関わらず、検察庁が自ら捜査に及ばなかった理由を伺う。
 (4) 北海道警察自らが捜査し事件として立件し、検察が起訴することが、国民、北海道民の信頼を回復する最良の方法と考える。現時点において、その方策をとる意思があるか、否か、伺う。
2 第一六一回国会質問第三四号について
 (1) 質問主意書(質問第三四号 平成十六年十一月四日・以下単に「質問」という)の1項(5)に対し、答弁書(内閣衆質一六一第三四号 平成十六年十一月十九日・以下単に「答弁」という)で、「北海道警察において調査中である」としている。その後の調査により、如何なる内容が判明したのか。なお調査継続中であるとするならば、答弁期日を明記されたい。
 (2) 質問の1項(8)に対し、答弁で、「未判明の使途については調査中である」としている。その後の調査により、如何なる内容が判明したのか。なお調査継続中であるとするならば、答弁期日を明記されたい。
 (3) 質問の1項(19)に対し、答弁で、「今後、関係機関と協議を行いつつ検討する」としているが、関係機関とはどこを指すのか。その後、如何なる内容の協議が行われたのか。なお協議継続中であるとするならば、協議内容の答弁期日を明記されたい。
 (4) 質問の2項(2)に対し、答弁で、「各警察署の会計担当部署については、調査中である」としている。その後の調査により、如何なる内容が判明したのか。なお調査継続中であるとするならば、答弁期日を明記されたい。
 (5) 質問の2項(4)に対し、答弁で、「自らが不適正な予算の執行に関与していた事実があったと説明している」としているが、関与とは如何なる内容のものか。
 (6) 質問の4項(1)に対し、答弁で、「お尋ねの事項については、調査中である」としているが、その後の調査により、如何なる内容が判明したのか。なお調査継続中であるとするならば、答弁期日を明記されたい。
3 国費の調査について
 (1) 北海道警察北見方面本部警備課で発覚した、国費に関わる領収書偽造・差し替え事件を受け、他の都府県全部署において、国費の執行内容の調査は行われたのか。行われていないとすれば、それは如何なる理由をもってしてのことか。
 (2) 平成十六年十二月二十七日、北海道警察北見方面本部警備課の元警備課長による国費の領収書偽造・差し替え問題に関して、民主党北海道は現地調査を実施し、菅井貞夫方面本部長と面談した。その中で菅井本部長は「自分に対する同事案への調査は、北海道警察本部・島根悟警務部長からの電話による聞き取り一回のみであった」ことを明らかにした。北海道警察全体で行われていた不正経理問題の中でも、取り分け悪質な同事案に対しての調査としては、極めて安易な形での調査と言わざるをえない。本来ならば、警務部長自らが現地に赴き、陣頭指揮を執り徹底調査を行うべきと考えるが、如何か。また、これとは別に、同事案に対する調査委員会による調査は行われたのか。行われたとするならば、実施された回数と調査方法及び調査の結果内容を明らかにされたい。
4 国費及び北海道費の返還について
 (1) 国費及び北海道費の返還にあたり、北海道警察が現職・退職警察官に対して示した階級別の拠出比率は、何をもっての根拠か、伺う。
 (2) 北海道警察は北海道警察返還金処理委員会「予算の不適正執行に伴う道及び国に与えた損害額の返還方針」(平成十六年十一月二十二日付)(以下単に「返還方針」という)で示した国費及び北海道費の返還額(法定利息分含む)を、国費は平成十七年二月十八日、北海道費は平成十六年十二月二十八日に返還したとされるが、返還金の原資は、どこからの調達なのか。また調達先への借入人は誰か。
 (3) 国費の返還にあたり、警察庁による不正額の確認が終了したことにより返還に至ったとされているが、警察庁は、どのような方法で不正額を確認・確定したのか。また確認・確定にあたり、会計検査院は、どのように関わっていると政府は認識しているのか。
 (4) 国費及び北海道費の返還にあたり、北海道警察は現職・退職警察官に対して階級別に拠出比率を示し、任意で返還金を求めているが、返還方針で示した返還額(法定利息分含む)に対して、その金員に過不足が生じた場合は、如何なる方法をもって対処するのか、伺う。
 (5) 今後、返還額に補正の必要が生じた場合、その金員の過不足は如何なる方法をもって対処するのか、伺う。
 (6) 返還額拠出比率に関して、同階級において、国家公務員採用と地方公務員採用に差異を生じせしめた理由は如何なることか。そのことが予め何故、返還方針に記載されず、北海道議会に報告されなかったのか、伺う。
 (7) 平成十六年十二月十五日付で出された「北海道警察退職者・返還金支援委員会 梅田俊男(委員長)」名による、退職者への返還金拠出要請文に「遺憾ながら警察活動費の特殊性について十分な理解を得ることができず、法定利息を含めて総額九億一六〇〇万円余について北海道及び国への返還を余儀なくされたのであります。」(傍線−提出者)とある。このことは組織的に長年の慣習の中で裏金づくりを行ってきたという、事の重大性を認識していないものと判断せざるをえないが、所感を伺う。
 (8) 報告の北海道費(捜査用報償費)と国費(捜査費)の調査(負担区分)について、「道費と国費の双方を執行する部署において、半数を超える部署が双方を区分せず一括管理し執行している実態にある」とある。既に一括管理(国費と北海道費は現金または預金において混在状態と判断する)されている金員を支出した場合、会計事務処理において、費目を特定し処理することは不可能と思われるが、そのことにより国費及び北海道費の返還額の算定・確定は、どのような根拠と判断をもって行われたのか。
 (9) 旅費について、国費と北海道旅費はどのような方法での管理となっていたのか。
 (10) 旅費について、一括管理(国費と北海道費は現金または預金において混在状態と判断する)とした場合、その支出した金員を、会計事務処理において、費目を特定し処理することは不可能と思われるが、そのことにより国費及び北海道費の返還額の算定・確定は、どのような根拠と判断をもって行われたのか。
5 監査について
 (1) 北海道監査委員が執行する確認的監査によって、更に返還額の補正も想定されるが、返還額の確定されていない以前に、拠出対象者に対し返還基準を示し、併せて処分を決めた理由は何故か。
 (2) 北海道監査委員が執行する確認的監査において、監査委員が職務上、捜査協力者への直接面談を求めた場合、北海道警察は如何ように応ずるか。
 (3) 北海道監査委員が執行する確認的監査において、監査委員が職務上、捜査員への直接聴取を求めた場合、北海道警察は例外なく要請に応ずるべきと考えるが、如何か。
6 補足調査について
 二月十日付で北海道警察は北海道監査委員に対して、内部調査による補足報告書を提出した。昨年の内部調査の過程で捜査員の記憶違いにより、不適正な執行案件が判明せず、今回の補足調査により新たに約三四〇万円の不適正執行が判明したとしている。このことは当該者の記憶・心証に頼る調査を主とした方法に依った事によって起きたものであり、今後も、所謂「記憶違い」による不適正執行が発生する可能性は大きいと考える。改めて北海道警察の報告への信憑性が問われるものであるが、政府の所感を尋ねる。
7 公安委員会について
 (1) 北海道公安委員会の指示による調査委員会の報告結果と、北海道知事の要求による特別監査結果を比較すれば、その内容には、公金に対する認識、不正金額の認定など、多岐にわたり差異が生じている。公安委員会は、このことを如何に受け止めるのか。また第三者機関に調査を委ね、再調査を行うことが必要と考えるが、如何か。
 (2) 平成十六年十一月二十日開催の北海道公安委員会臨時会議において、委員長は「当委員会の指示を忠実に実行した結果であり、議会報告を了承する。」との発言は、私的流用はない、ということを認めた発言として理解してよろしいか。
8 愛媛県警について
 (1) 愛媛県警で現職警察官・仙波敏郎氏による実名告発がなされたが、政府の所感を尋ねる。
 (2) かつて実名証言をした原田宏二氏(元北海道警釧路方面本部長)の証言内容と合致する点が多いが、原田宏二氏の証言内容をどのように受け止めるか、所感を伺う。
 (3) 愛媛県警の現職警察官・仙波敏郎氏の人事異動発令は、如何なる理由によるものなのか。
 (4) 仙波敏郎氏は、不当な人事異動の発令により、精神的な苦痛を受けたとして国家賠償法に基づき、損害賠償を求める訴えを松山地方裁判所に起こしたが、政府の所感を尋ねる。
9 処分について
 平成十六年十二月十七日に国家公安委員会は、関係者への処分を決めたが、社会的影響・反響並びに道義的な責任を鑑みた場合、組織の長としての責任の取り方は極めて不十分と言わざるをえない。今回の処分内容は、如何なる根拠をもってのものなのか。
10 私的流用について
 報告において、私的使用の聴取の結果、組織の立場を離れた個人的な利得の事実は把握されなかった、としている。しかし原田宏二氏(元釧路方面本部長)や齋藤邦雄氏(元弟子屈署次長)による実名証言で、裏金は「署長や幹部の交際費、異動の際の餞別、部内などの懇親会費、冠婚葬祭費、タクシーチケットの支払い」に使われていたとしている。また現職警察官、退職警察官から多くの投書が寄せられているが、その内容は一様に「裏金の恩恵に浴していたのは上級幹部。警察本部長等キャリア幹部の異動時の餞別分担金、所属長等の餞別。裏金は幹部で山分けをしていた。署長は異動の際に、裏金の残りを持ち去って行った。」などが記載されている。これらの状況から、私的使用(流用)の疑いは極めて強く、また報告の信憑性も問われるものである。匿名と言えども内部告発の事態を重く受け止め、今一度、私的使用(流用)の把握に関して徹底した再調査を行い、国民及び北海道民、そして現場からの「声なき声」に応えるべきと考えるが如何か。

 右質問する。



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