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平成十七年三月二十五日提出
質問第三八号

大型量販店の火災対策に関する質問主意書

提出者  吉井英勝




大型量販店の火災対策に関する質問主意書


 二〇〇四年十二月に発生したさいたま市ドン・キホーテ浦和花月店の火災で、従業員三人の方が犠牲となった。この事故は、これまでの大型量販店の火災事故とは異なる問題も明らかにした。ドン・キホーテの店舗(大阪市のパウ住之江公園店など)の現地調査によって、買い物客とそこに働く労働者の安全を守る上で幾つかの問題が浮かび上がってきた。
 店舗内に「商品ジャングル・遭難注意」と表示されているが、その特徴としている「圧縮陳列」と呼ばれる商品の置き方は、企業利益第一主義にもとづくもので、買い物客や従業員の安全が考慮されているのか、はなはだ疑問とされる。消防当局等が、業者に対して行政指導を行うにも、消防法や各自治体の火災予防条例などによっては、客と従業員の安全を守る指導を十分に果たすことが困難である実情を示している。
 よって、以下のとおり質問する。

(一) 現地調査によれば、二階の売り場に立った時、平常時でも一階へどうすればすみやかに下りられるかが分からない状況だが、火災発生時に停電となれば、全く脱出の仕方が分からなくなる配置になっている。
 また、一階では、「入口」を入ったあと、もう一度「入口」に向かって外へ出ようとしても外へ出られない仕掛けがなされている。一階も迷路だが、その上、発災時には一方向で避難が難しい。
 避難上、もともと一・六メートル幅の主要避難通路と一・二メートルの補助避難通路の確保が消防法と施行令、それを受けた自治体の火災予防条例によって、義務づけられているが、商品棚の上に棒を出して商品をつり下げることで、実質的に避難通路幅を狭くすることなどについては行政指導がためらわれているのが実情である。
 主要避難通路と補助避難通路の間に狭い通路を設け、両側に天井まで商品を陳列する棚を設けることによって迷路の状態をつくっている。この迷路状の商品陳列場所の中で、発災時の避難は大変難しくなっている。
 大阪千日デパート火災の後の消防法施行令改正、熊本大洋デパート火災の後の消防法令の改正など、その度に火災を予防し、発災時に人命を守る規制を強めてきたが、規制基準の対象になるかどうか明確になっていないものについては、行政指導が行えるように必要な措置をとるべきではないか。
(二) 千日デパート火災の場合、発火現場となったニチイ衣料品売り場周辺の状況について「豊富な内部可燃物を媒体にして瞬く間に燃焼範囲を拡大させ」て次々と高層階へと延焼したこと。「店内装飾が多く」、「大量の衣類が陳列」され「しかも化学繊維を使用した製品が多かった」ために、「煙と有毒ガスが大量に発生した」ことによって、消火活動が困難を極め、犠牲者を拡大したことが明らかにされている。(「大阪消防誌に見る消防史」)
 過日のドン・キホーテ浦和花月店の火災事故でもこれが消火活動を長時間かかるものにして、三人の犠牲者を出してしまうことにつながっている。
 火災時の煙と有毒ガスの発生量を抑制する方策として、小売売り場における単位床面積当たりの化学繊維の量、揮発性危険物の量などの許容量を研究して、基準を示すことを考えるべきではないか。
(三) 家庭用パチンコ機のような重量物が一番上の棚に置かれているが、震災時にはこれが落下して買い物客を傷付けてしまうだけでなく、商品の散乱で、迷路の中から客の脱出はさらに困難な状況になる。建物の耐震構造基準だけでなく、商品陳列に当たっての耐震基準を設けるべきではないか。
(四) ドン・キホーテ内部に「ポルノ・コーナー」が設けられていて、一応「十八歳未満の方は入らないで下さい」と書いたビニールの暖簾がかかってはいるが、その内部は性遊具をはじめポルノビデオなどが「圧縮陳列」されている。奈良県の幼女殺人事件などのなかで、無秩序で異常な性情報の氾濫や商業主義のあり方が問題になってきている。こういう時に、子供づれの家族も、子供だけでも出入りできる商業施設で、出入りしやすいポルノ・コーナーを設置する大型商業施設そのものが異常といえる。
 政府は、地方自治体が大規模小売店舗の出店にあたって地域の環境や防災対策の立場から、火災対策、地震対策、子どもを性情報の商業主義的氾濫から保護する必要な規制を、営業時間を含めて行う条例の制定等を支援するべきではないか。また、地方分権の障害となり、地方自治体を規制している「大規模小売店舗立地法」第十三条の規制を廃止する立場で、法制定五年経過後の見直しを行うべきではないか。
(五) 風俗営業適正化法第二条第六項第五号では「店舗を設けて、専ら、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープその他の物品で政令で定めるものを販売し、又は貸し付ける営業」と店舗型性風俗特殊営業の定義を示している。
 ドン・キホーテは「専ら」「性遊具等」を販売する店舗ではないが、ドン・キホーテの中の「ポルノ・コーナー」は「専ら、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープその他の物品で政令で定めるもの」、性遊具を「販売し」ている。
 同法は、「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため」として、営業時間・区域を制限することにして、「専ら」ポルノ・ショップの出店は規制するものの、「ポルノ・コーナー」を含む店舗は「専ら」の定義に当てはまらないとして、青少年も出入りするドン・キホーテのような営業手法を取れば、風俗営業適正化法の制限を受けることなくポルノ・ショップが学校周辺や住宅地にも進出できることになる。これは、脱法的営業であり、法律や政令改正で制限するべきではないか。

 右質問する。



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