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平成十八年六月七日提出
質問第三〇九号

地方財政と下水道整備事業に関する質問主意書

提出者  市村浩一郎




地方財政と下水道整備事業に関する質問主意書


 日本下水道協会発行の下水道統計によれば、平成十五年度の下水道管理費総額は二兆二、九三〇億円で、料金不足額は九、八七七億円、累積不足額は十年間で八兆四、七七四億円に上り、年々増え続けている。料金不足額は一般会計からの繰入金でまかなわれており、地方自治体の大きな財政負担になっている。
 これからの下水道事業は、効率の悪い五万人以下の市町村に移る。下水道未整備人口四、七六二万人をすべて下水道で整備すると、七〇兆円以上の建設費が必要となるとの試算になる。下水道事業を現行の制度のままで進めると、さらに地方自治体の財政を圧迫することは避けられず、地方分権による財政再建の課題にも影響を与える。
 生活排水を処理する方法としては下水道のほか浄化槽による方法がある。浄化槽は、平成十二年の単独浄化槽新設廃止を受け、平成十五年度には年間二二万基が設置されている。下水道建設費に換算すると一兆円規模である。
 現在設置済みの浄化槽(合併)人口一、〇〇〇万人を下水道に繋ぎ込む必要のないものと認知すると、一五兆円の建設費を軽減することができる。さらに、生活排水未処理人口三、七〇〇万人の五〇%を浄化槽で整備すると、下水道の建設費は二七兆円減額になり、合計は四二兆円になる。
 平成十七年度の生活排水関連予算は下水道八、七四九億円、農集排四二二億円、浄化槽一五九億円計九、三三〇億円であった。今後、枠組みを生活排水一括交付金として統合し、国費を六、〇〇〇億円以下に削減することによって地方自治体の創意と工夫が引き出されることになり、地方自治体の財政負担も軽減される。
 その観点に立って、次の事項について質問する。

一 全国の下水道における経費回収率(処理原価に対する使用料単価の割合)が公共下水道で六四.九%、特定環境保全公共下水道で二七.五%の水準に止まっていることについて、政府としてどのように考え、どのように対策していこうとするのかを伺いたい。
二 「下水道事業の管理・運営費用のすべてを回収できる水準の下水道使用料金」は標準世帯で年額いくらになるか、供用開始十年以内の処理計画人口五万人規模及び二万人規模について伺いたい。
三 平成十年度から下水道事業に事業評価制度が導入されたが、これまで新規事業採択時評価を実施した下水道事業の数とその結果採択されなかった事業数を伺いたい。
四 下水道事業の認可申請時において、建設財源及び維持管理財源に関する書類を提出することになっているが、財源計画は、認可にあたりどのように考慮されているのかを伺いたい。
五 地方財政計画における基準財政需要額算定に係る下水道管理費の過剰算入が問題になっているが、この見直しによる地方交付税の減額はどの程度か。また、下水道経営に与える影響及び財源確保の見通しについて伺いたい。
六 今後下水道整備の重点が人口五万人以下の市町村に移るが、例えば人口二万人規模の下水道建設では、建設費約三〇〇億円、起債額約一六八億円が見込まれ、四五年間の管理・運営費は起債元利合計が約二六五億円、維持管理費が約七八億円になる。一方、下水道料金収入は現行の料金水準では約八八億円しか見込めず、起債償還に対する不足分はどのように措置されているのかを伺いたい。
七 下水道経営に関する情報開示、とりわけ費用と料金負担の関係等について分かりやすく開示する必要があるとして、平成十六年十二月十六日付けで「各都道府県下水道担当部長・各政令指定都市下水道担当局長」宛に、「国土交通省都市・地域整備局下水道部 下水道企画課下水道管理指導室長」名で『下水道経営に関する留意事項等について』という指導文書を出しているが、その具体的効果を伺いたい。
八 浄化槽は補助金を投入した国の財産であり、既設の浄化槽(合併)を下水道に繋ぎ込む必要のないものとすることによって、一五兆円以上の財政削減になるのは明らかである。浄化槽(合併)を下水道に繋ぎ込む行為は、国の財産を更に税金を投入して消滅することになる。よって浄化槽を下水道に繋ぎ込む必要のないものと定義する必要があると考えるが、政府の考えを伺いたい。

 右質問する。



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