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平成十八年十二月七日提出
質問第二一九号

ひろしまドッグぱーくの動物愛護管理法上の取扱い等に関する再質問主意書

提出者  松本大輔




ひろしまドッグぱーくの動物愛護管理法上の取扱い等に関する再質問主意書


 前回提出した質問主意書(平成十八年十一月二十四日提出第百六十五回国会質問第百八十号)に対する答弁(平成十八年十二月五日内閣衆質百六十五第百八十号、以下「前回答弁書」という。)は不十分であり、さらに問題点を明確にする必要があることから、以下再質問する。なお、答弁に当たっては必ず一質問につき一答弁とし、複数の質問に対しまとめて答弁することは厳に控えられたい。また、以下において「法」とは、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)を指すものとする。

一 基本的事項について
 1 前回答弁書「一の1について」によれば、法人による届出において、営業開始の予定年月日が「平成十六年九月一日」である一方、届出日は「平成十七年七月四日」とのことであり、従って当該法人は、平成十七年改正前の法(以下「旧法」という。)第八条第一項の規定による届出をせずに平成十六年九月一日より動物取扱業を営み、平成十七年六月に閉園した後の同年七月四日に事後的に届け出たことになる。旧法第八条第一項においては、動物取扱業を営もうとする者は、都道府県知事及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市の長(以下「都道府県知事等」という。)に事前に届け出なければならないこととされていることから、当該法人の行為は旧法第八条第一項に規定する届出義務に違反すると思料されるところ、政府の見解を示されたい。
 2 当該法人は、平成十七年改正前の中小企業経営革新支援法(平成十一年法律第十八号)に基づき、「遊休地を活用した『ドッグ動物園』の開設」を内容とする経営革新計画を広島県に提出し、広島県知事による承認を経て、国や広島県から公的な支援措置を受けているものと承知しているが、その支援内容を具体的に示されたい。
 3 当該法人の経営革新計画にある「ドッグ動物園」の事業内容は、当該法人による動物取扱業の届出の範囲に限るものか、あるいはそれに加えて前回答弁書「一の3について」において答弁のあった個人による動物取扱業の届出の範囲も含んでいるのか。
 4 当該法人の経営革新計画にある「ドッグ動物園」の事業が、当該法人による動物取扱業の届出の範囲に限られる場合、当該法人が旧法第八条第一項に規定する届出義務に違反して、無届けで動物取扱業を営んでいたという違法行為に対し、公的な支援措置が執られたことになると思料されるところ、政府の見解を示されたい。一方、「ドッグ動物園」の事業が、当該法人による動物取扱業の届出の範囲だけでなく、当該個人による動物取扱業の届出の範囲も含む場合、無届けで動物取扱業を営んでいたという違法行為だけでなく、五百頭の犬の虐待及び三十四頭の犬の殺傷という犯罪の疑いのある行為や法第二十一条第一項に規定する動物の健康及び安全を保持するための基準に違反した行為に対し、公的な支援措置が執られたことになると思料されるところ、政府の見解を示されたい。
 5 前回答弁書「一の3について」によれば、当該個人による届出日は「平成十五年四月十五日」とのことであるが、届出時点での事業所の名称を示されたい。また、平成十五年四月十五日以降現在までに事業所の名称が変更されていると承知しているが、変更後の事業所の名称並びに旧法第九条第二項の規定に基づく変更届出書の届出年月日、変更予定年月日及び変更理由を示されたい。
 6 旧法第九条第二項において、動物取扱業者は、事業所の名称に変更があったとき、遅滞なく、その旨を都道府県知事等に届け出なければならないこととされていることから、当該個人が届出なく事業所の名称を変更した行為は旧法第九条第二項に規定する変更届出義務に違反すると思料されるところ、政府の見解を示されたい。
 7 当該個人から事業所の名称変更について申し出があった際、広島市は旧法第九条第二項の規定する変更届出義務について、当該個人に伝えていたのか。伝えていない場合、広島市の対応は不適切であると思料されるところ、政府の見解を示されたい。
 8 前回答弁書「一の6について」によれば、広島市が法に基づき行った対応等の事実関係については、現在、広島市において整理を行っているところであり、環境省としては、現時点において、広島市の対応について見解を述べることは差し控えたいとのことであるが、既に事件の発覚から二ヶ月余りが経過していることから、広島市は事実関係の整理を早急に終えるべきであり、終期を明示する必要があると思料されるところ、広島市から事実関係の整理状況について把握した上で、政府の見解を示されたい。またそれが終了すれば、国として広島市の対応について見解を述べるのか、併せて示されたい。
 9 前回答弁書「一の5について」によれば、当該個人の届出事業所である「ドッグプロダクション」において飼養及び保管されていた犬の一部については、狂犬病予防法(昭和二十五年法律第二百四十七号)第五条の規定に基づく狂犬病の予防注射を受けていないとのことであるが、質問においては当該個人と当該法人の両方について答弁を求めたにもかかわらず、当該法人については答弁がされておらず、甚だ遺憾である。改めて伺うが、当該法人は、狂犬病予防法第五条に規定する狂犬病の予防注射を犬に受けさせていたのか。受けさせていない場合、同条第一項に規定する予防注射義務に違反するか否か、政府の見解を示されたい。
二 原因究明について(事件発覚までの広島市の対応)
 1 前回答弁書「二の1について」によれば、当該個人が違反していたおそれのある動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目(平成十八年環境省告示第二十号。以下「告示」という。)第二条第一号、第五条第一号イ等の規定に違反していたおそれがあるとのことであるが、質問ではすべての条項を示すよう求めたにもかかわらず、「第二条第一号、第五条第一号イ等」と「等」を含めて答弁したことは甚だ遺憾である。この「等」について、網羅的に示されたい。
 2 前回答弁書「二の2について」によれば、「環境省としては、動物愛護管理法第二十三条第一項の規定に基づき勧告するかどうかに関する広島市の判断の詳細について承知していない」とあるが、度重なる指導に事業者が従わなかったにもかかわらず、同項の規定に基づく勧告を出さなかった正当な理由について、広島市の判断の詳細を把握した上で、政府の見解を示されたい。
 3 前回答弁書「二の3について」によれば、「環境省としては、動物愛護管理法第十九条第一項の規定に基づき業務の停止を命ずるかどうかに関する広島市の判断の詳細について承知していない」とあるが、事業者が事業の実施に必要な権原を有していなかったにもかかわらず、業務の停止を命じなかった正当な理由について、広島市の判断の詳細を把握した上で、政府の見解を示されたい。
 4 前回答弁書「二の6について」によれば、「立入検査がより一層適切に行われるよう指導してまいりたい」とのことであるが、この「指導」の法令上の根拠を明らかにされたい。
 5 広島市以外の都道府県等における立入検査についても、同様の不適切な例がないとは言い切れないことから、実態調査を行った上で他の都道府県等に対しても適切な立入検査が行われるよう指導すべきと思料されるところ、政府の見解を示されたい。
三 広島市の対応について(虐待の判断根拠)
 前回答弁書「三の3について」及び「三の4について」によれば、「環境省としては、広島市において動物愛護管理法第四十四条第二項の規定の解釈についてどのような検討が行われたかについて詳細には把握していない」とのことであるが、本件については本年十月五日及び十月十七日の二回にわたり、環境省自然環境局総務課動物愛護管理室長から説明を聴取し、その際に広島市における検討状況を政府として把握するよう求めたのに対し、把握に努めていく旨の発言が動物愛護管理室長よりなされていたものと承知している。にもかかわらず、二ヶ月以上も経った現在においても把握していないことは明らかな怠慢であり、甚だ遺憾である。早急に広島市より詳細を把握した上で、以下につき再度答弁されたい。
 内閣総理大臣官房管理室長名で警察庁保安部防犯企画課長宛に発出された「動物の保護及び管理に関する法律第十三条第一項に規定する虐待の解釈について(回答)」(平成元年総管第百四十七号。以下「解釈回答」という。)によれば、警察庁より照会事項一として法に規定する虐待の一般的見解を求められたのに対し、「動物の保護及び管理に関する法律第十三条第一項に規定する虐待とは、同条第二項各号に掲げる保護動物に対して、一般的に、不必要に強度の苦痛を与えるなどの残酷な取扱いをすることをいい、虐待に当たるか否かの具体的判断は、当該行為の目的、手段、態様等及び当該行為による苦痛の程度等を総合して、社会通念としての一般人の健全な常識により判断すべきものであると解する」と回答していると承知している。
 また、警察庁より照会事項二として「(1)動物にエサや水を与えなかったことにより、それが起因して当該動物を死に至らしめた場合、(2)動物が疾病にかかり、いずれ病死するかも知れないことを承知で何ら治療行為等を施さなかったことにより、それが起因して当該動物を死に至らしめた場合」について、それぞれ法に規定する虐待に該当すると解してよいかとの照会に対し、「上記照会事項一についての見解に沿って判断すべきものであり、動物にエサや水を与えない(1)のようなケースについては、動物の態様、エサや水を与えなかった理由等の点について、また、何ら治療行為等を施さないという(2)のような不作為のケースについては、一般に疾病にかかった動物について飼い主に治療義務があるとの社会通念が成立しているかどうか、治療等を施さない正当な理由があるかどうか等の点について、十分検討を加えた上で、虐待に当たるか否か判断すべきものと思料する」と回答していると承知している。
 1 本件は右記(1)のケースに該当すると思料されるところ、動物の態様、エサや水を与えなかった理由等の点について、広島市による検討の詳細を把握した上で、その内容を具体的に示されたい。
 2 現地を視察した際、重度の栄養失調を原因とする皮膚病などの疾病にかかった犬や失明の疑いのある犬もいたと承知しており、右記(2)のケースにも該当すると思料されるところ、飼い主に治療義務があるとの社会通念が成立しているかどうか、治療等を施さない正当な理由があるかどうか等の点について、広島市による検討の詳細を把握した上で、その内容を具体的に示されたい。
四 広島市の対応について(虐待の解釈の妥当性)
 前回答弁書「四の1について」及び「四の2について」によれば、「環境省としては、広島市において動物愛護管理法第四十四条第二項の規定の解釈についてどのような検討が行われたかについて詳細には把握していない」とのことであるが、本件については本年十月五日及び十月十七日の二回にわたり、環境省自然環境局総務課動物愛護管理室長から説明を聴取し、その際に広島市における検討状況を政府として把握するよう求めたのに対し、把握に努めていく旨の発言が動物愛護管理室長よりなされていたものと承知している。にもかかわらず、二ヶ月以上も経った現在においても把握していないことは明らかな怠慢であり、甚だ遺憾である。早急に広島市より詳細を把握した上で、以下につき再度答弁されたい。
 「『ドッグプロダクション』の行為に対する広島市の方針について」(平成十八年十一月十三日広島市ホームページ掲載文書、以下「広島市方針」という。)によれば、本件において約五百頭の犬を栄養失調等で衰弱させた行為が、法第四十四条第二項に規定する虐待に該当するか否かについて、「この『みだりに』には、秩序を乱して・むやみに・故意にといった意味が含まれています。従って、ドッグプロダクションが「みだりに給餌、給水をやめた」かどうかが問題となります。(中略)ドッグプロダクションは資力の範囲で犬の飼養を続けており、犯意・悪意を持って『みだりに』給餌・給水をやめたという事実は確認できないことから、刑罰がかけられる『虐待』にはあたらないと判断」したとしている。
 一方、平成十四年(ろ)第四号平成十五年三月十三日伊那簡易裁判所判決において、法第四十四条(旧法第二十七条)第二項に規定する虐待について、「愛護動物の飼育者としての看護を著しく怠る行為を指すものであり、その代表的な行為として『みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる行為』が例示されているものと解される」とした上で、「著しく不衛生な場所で飼育し、給餌又は給水を十分与えず愛護動物を不健康な状態に陥らせるといった行為も、上記『虐待』に該当する」と判示されている。
 1 広島市の解釈にある「秩序を乱して・むやみに・故意に」は、一般語としての「みだりに」の意味と思われるが、法令上の「みだりに」の解釈は「社会通念上正当性があると認められる範囲を超えて」であるとされる。広島市の判断に従えば、約五百頭の犬に対し十分な給餌・給水をしなかった行為は、社会通念上正当性があると認められる範囲内ということになるが、その正当性とは何か。広島市の検討の詳細を把握した上で、政府の見解を示されたい。
 2 法第四十四条第二項にある「みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる行為」は例示された行為に過ぎない。しかし広島市は、「犯意・悪意を持って『みだりに』給餌・給水をやめたという事実は確認できないことから、刑罰がかけられる『虐待』にはあたらない」としており、例示行為の有無のみをもって虐待の判断根拠としている。虐待の概念については、動物の被る苦痛を中心に捉え、これに人間の側の目的ないし必要性等の事情を加えて総合的に判断すべきであり、例示行為の有無だけに着目した広島市の判断は安易であると思料されるところ、広島市の検討の詳細を把握した上で、政府の見解を示されたい。
 3 解釈回答に基づき判断した場合、一般に「著しく不衛生な場所で飼育し、給餌又は給水を十分与えず愛護動物を不健康な状態に陥らせる行為」は、法第四十四条第二項に規定する虐待に該当するか否か、政府の見解を示されたい。
五 広島市の対応について(殺傷の解釈の妥当性)
 前回答弁書「五の2について」によれば、「環境省としては、広島市において動物愛護管理法第四十四条第一項の規定の解釈についてどのような検討が行われたかについて詳細には把握していない」とするとともに、「五の5について」によれば、「環境省としては、広島市においてどのような検証が行われたかについて詳細には把握していない」とのことであるが、本件については本年十月五日及び十月十七日の二回にわたり、環境省自然環境局総務課動物愛護管理室長から説明を聴取し、その際に広島市における検討状況を政府として把握するよう求めたのに対し、把握に努めていく旨の発言が動物愛護管理室長よりなされていたものと承知している。にもかかわらず、二ヶ月以上も経った現在においても把握していないことは明らかな怠慢であり、甚だ遺憾である。早急に広島市より詳細を把握した上で、以下につき再度答弁されたい。
 広島市方針によれば、本件において三十四頭の犬を栄養失調等から衰弱死させた行為が、法第四十四条第一項に規定する殺傷に該当するか否かについて、「本市はアークエンジェルズの代表者からの通報を受けて死体を確認した上で、西警察署の担当警察官に『みだりに殺した』ものかどうか、見解を求めました。その結果、『死体を見ただけではみだりに殺されたのか、虐待を受けて殺されたのか、老衰などの自然死なのかを判断するのは困難であり、これまでの飼養状況などから判断するしかない。』とのことでしたので、一点目でお示しした飼養状況や、『給餌の量が充分ではなく、衰弱して死亡したものを弔うために埋葬した』というドッグプロダクションの申し立てから、『みだりに殺した』ものではないと判断しました」としている。
 一方、警察庁によると、平成十七年に「元ペットショップ経営者が飼育に窮したことから、繁殖目的のため飼っていた犬四頭に対して給餌・給水を止め、放置したことにより餓死させた」事案を法第四十四条第一項に基づき北海道警察が、「ブリーダーが経営に窮したことから、飼っていた犬三頭に対して、給餌・給水を止めたことにより衰弱させた」事案を同条第二項に基づき宮城県警察が、それぞれ検挙したものと承知している。
 1 法令上、「みだりに」の解釈は「社会通念上正当性があると認められる範囲を超えて」であるとされるところ、広島市の判断に従えば、三十四頭の犬に対し十分な給餌・給水をせずに死に到らしめた行為は、社会通念上正当性があると認められる範囲内ということになるが、その正当性とは何か。広島市より検討の詳細を把握した上で、政府の見解を示されたい。
 2 解釈回答に基づき判断した場合、一般に「経営に窮し、飼っていた犬に十分な給餌・給水をせずに死亡させた行為」は、法第四十四条第一項に規定する殺傷に該当するか否か、政府の見解を示されたい。
 3 事業者Bの申立てによれば、「給餌の量が充分ではなく、衰弱して死亡したものを弔うために埋葬した」とのことであるが、三十四頭の犬の死骸が埋められていた場所には、使用されていない木製の柵が多数積み重ねられていたと承知しており、証拠隠滅の疑いもあると思料されるところ、この申立ての正当性について、広島市の検証内容の詳細を把握した上で、政府の見解を示されたい。
六 再発防止について(虐待への厳正な対処等)
 1 前回答弁書「六の2について」によれば、「都道府県警察の捜査員に対し、研修等の場を通じ周知しているところ」とあるが、「研修等の場」の直近五年間の開催実績について、開催日、件名、開催地、開催時間及び参加した捜査員の数を示されたい。
 2 前回答弁書「六の5について」においては、質問において求めた現行法のまま明確にしない場合と法改正により明確化する場合のそれぞれの利点、欠点が答弁されておらず、甚だ遺憾である。現行法のまま明確にしない場合と法改正により明確化する場合のそれぞれの利点、欠点を示した上で、虐待の定義を明確にするための法改正の必要性について、政府の見解を改めて示されたい。
 3 本年十二月一日の第百六十五回国会衆議院環境委員会において、若林環境大臣は「この広島のドッグぱーく自身がどうであったのかということについては、いろいろと報告を受けておりますが、極端なケースですけれども、しかし、このようなことが実際に行われているということにショックを受けます。こういうような事態に至らないようにするにはどういう対策を講じていったらいいか、真剣に取り組まなきゃいけないと思っております。」と答弁している。この「対策」の具体的な内容について、現在までの検討結果及び今後の検討予定を示されたい。

 右質問する。



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