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平成十八年十二月七日提出
質問第二二二号

夕張市の財政再建案の作成に関する質問主意書

提出者  滝  実




夕張市の財政再建案の作成に関する質問主意書


 新党日本は党代表の田中康夫、党所属衆議院議員滝実、同参議院議員荒井広幸が夕張市に赴き財政再建案作成の渦中にある市民のせつない声を聞き、作成中の財政再建案に欠落している市民生活保護の視点を今後の対応に取り上げるべきと考え、以下の点について質問する。

一 夕張市は地方財政再建促進特別措置法(以下「財政再建法」と略称)を準用して財政再建を図るとの方針のもとに総務大臣に協議する再建計画を作成中と聞いている。しかし、累積赤字と長期借入金とを合わせて六三二億円に及ぶ巨額の債務があり、このうち三六〇億円を二〇年で償還する計画といわれているが、従来方式の再建計画で解消するにはあまりにも債務額が大きく、債務解消方法を検討すべきではないか。
二 夕張市には多くの事業者が経営する多くの炭坑があり、いずれも閉山を余儀なくされてきたが、現在の市の財政負担の原因となっているのは北炭夕張炭鉱株式会社(以下「北炭」と略称)の炭坑の閉山である。北炭が職員の退職金が払えないのを憂慮した国が退職金の財源に充てるため北炭の施設を有償で夕張市が引き継ぐよう誘導したのではないか。それゆえ夕張市は閉山処理のため引き継いだ施設を活用する事業を展開することになった。事業費の三分の一は国と北海道が負担したものの残り三分の二は夕張市が負担せざるをえず、しかも国が平成十二年以降デフレ政策を選択したために夕張市の事業は破綻したものといわざるをえない。
 このことは、当時、国は夕張市に対し異常に多額の起債を許可し、異常に多額の特別交付税を交付した事実に裏付けられているところであり、夕張市の財政破綻は国にも責任があるのではないか。
三 炭坑の閉山処理を夕張市に押し付けてきたのは国や北海道であり、財政再建法の条文にこだわり市から提出があればその是非を検討するというのではなく、夕張市と共同で再建計画を考えるべきではないか。
四 国も北海道も現行の財政再建法による従来からの再建方式に捉われているようであるが、金融機関の事実上の協力も要請すべきではないか。
五 財政再建の枠組みとして歳出削減の基準を設定するのに同じような人口の市町村である岡山県里庄町を参考にするよう指示しているようであるが、人口は同じでも高齢者の比率、面積、中核となる都市からの距離、気象状況など大きな違いを勘案して修正する必要があるのではないのか。
 例えば、地域の緊急避難場所であり、市民生活を支える場所である公民館を閉鎖し、電気や水道も切断している。また、救急車の体制を現行の二台から一台にすることが検討されている。市民病院の整備を前提にしてとの条件付きではあるようだが、仮にその前提があっても夕張市の地形を考えれば一台にするのは無理がある。このように、当地域の厳しい自然条件を無視する財政再建案が市民を不安にしているのを改めるべきではないか。
六 財政再建は税収入を確保しながら累積債務を償還することを目的としている。そうであるならば若い働き手が市外に流出するようなことは避けなければならない。夕張市の中核である市関係の観光施設は閉鎖し、市役所の職員にも希望退職者が多いといわれている。市内に雇用の場がないのだから、その結果は市全体の経済活動が止まってしまう事態になる。すでに夕張メロン農家はメロン作りに支障が出ると心配しているように、ひたすら歳出を削減し、税収入や手数料の引き上げを図るだけでは財政再建を軌道に乗せることはできない。
 これまでも夕張市内に工場団地を造成したものの企業誘致が成功したとはいえない状況にはあるが、省庁の枠を超えて、夕張市がどうしたら立ち行けるのかとの観点を取り入れることが必要であり、地域再生、特区、再チャレンジとか様々な言葉が出ている通りに地域再生を財政再建案で取り組むべきではないか。
七 夕張市では財政再建の枠組みの説明会を行っている。しかし、夕張市で生活を続けるための最低限の市民サービスが受けられるかどうかという肝心なことに市当局が答えることができないため上意下達の集会に留まっている。これは国や北海道が財政再建法の手続きに縛られて具体的なことは話さないようにという制約をつけていることによるものであり、十分な話合いができるようにすべきではないか。
八 現在の大夕張ダムを飲み込む巨大な夕張シューパロダムの建設が行われている。このダムが完成すれば夕張市への固定資産税と電源立地地域対策交付金が増えるとささやかれている。そのような期待がもてるのか。
 そもそも夕張シューパロダム建設の根本に立ち返えれば、ダムの目的の一つである農業利水での効果に対する疑問、水没が予定されている「三弦橋」やその他自然環境の保存の要請があるにも拘わらず、日本有数の巨大ダムの建設に着手した。総事業費一四七〇億円のうち、すでに七一〇億円の工事費が支出されているが、完成まで七六〇億円もの工事費を要する。この際、時代の変化を受け止めて、この巨額の資金を夕張市への支援に振り替えることを検討すべきではないか。

 右質問する。



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