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平成十九年三月二十日提出
質問第一三二号

夕張市の財政再建に対する国の対応に関する質問主意書

提出者  滝  実




夕張市の財政再建に対する国の対応に関する質問主意書


 夕張市の財政再建案の作成に関する質問主意書に対する平成十八年十二月十五日付けの内閣の答弁書で、総務省としては、「夕張市が多額の赤字を抱えるに至った要因は」、同市に問題があり、同市が「今後策定する財政再建計画により、債務の全額を支払うべきものと考える」との見解を示している。しかし、内閣の答弁書に示されているような見解で夕張市の再建はできないほど赤字額は深刻な大きさである。夕張市の財政再建に関する質問主意書は平成十八年十二月始めに新党日本として夕張市へ行った結果に基づくものであり、現地調査によって、夕張市が赤字を抱えた要因も夕張市だけに責任を問えるものではなく、また、赤字額は市の責任だけで解消できるものではないことも判明してきた。それを裏付けるように十二月二十九日に総務大臣が夕張市を訪れた際の記者会見では、子供と高齢者には特別な配慮をすべきであり、夕張市と人口規模が同程度の団体が財政健全化に頑張っているのと同じように頑張るならば夕張市を支援したいとして、総務省の姿勢は質問主意書に対する答弁書とは違ってきていると受け取れる発言をしている。
 過去の地方財政破綻への対応は昭和三十年の地方財政再建促進特別措置法(以下「財政再建法」と略称)の制定に始まる。この財政再建法の制定をめぐり国は財政再建の責任はないとの姿勢をとり続けた。しかし、多くの地方公共団体が財政破綻したのは、国が国際収支改善のため財政金融一体の緊縮政策を押し進め、十分な地方財政措置を講じてこなかったからであるとの声が高まった結果、極端に財政が破綻している地方公共団体を救済することで財政再建法の制定に踏み切らざるを得なくなった。
 現在の地方財政も当時と同様な事情の下に置かれている。それは、昭和六十一年四月のいわゆる前川リポートにより国が経済政策を転換した事情があるからである。前川リポートでは、日米経済摩擦を回避するため、日本企業の海外投資の拡大と国内の公共投資の拡大、農産物の輸入規制の撤廃、国内石炭から輸入石炭への切り替えなどを提言し、その通りに忠実に実行された。この結果、地方の産業は製造業の空洞化を土木建築業で穴埋めする構造に転換するとともに、わずかに残っていた国内の炭鉱のほとんどが閉山に追い込まれた。
 こういう産業構造の転換が進んだ末に公共投資の削減が始まり、地方の産業は一気に衰退してきた。同時に、戦後積み上げてきた地方財政制度を前提に財政運営を行ってきた地方公共団体にとっては、三位一体の改革の名の下に平成十五年度から行われた国庫補助負担金と地方交付税の削減は致命的な打撃となった。
 夕張市の財政破綻は、炭鉱閉山に伴う後始末を引き受けざるを得なかった特異な事情のうえに、全国の地方公共団体に共通の国費削減が重なったことによるものである。なぜ夕張市が炭鉱閉山に伴う後始末を引き受けざるを得なかったかと言えば、昭和五十七年の北炭夕張の閉山に際し安倍晋太郎通産大臣が再開発に最大限の努力をする、地域経済への影響を考慮してそれなりの援助をする、そして市の財政を援助するとの談話を発表し、地元はこれに期待を寄せていたからだ。これに望みをかけた従業員の半数が地元に留まり、成行きを見守っていた。それだけに、夕張市の財政破綻は重篤であり、三百五十三億円にも及ぶ赤字を四十四億円にすぎない標準財政規模の市が十八年間の財政再建計画で解消するというのは現実離れしている。昭和三十年度から再建に取り組んだ徳島県小松島市は当時としては最長である十五年間の財政再建計画を策定したが、標準財政規模に対する赤字額は推定で三倍、最近の福岡県赤池町は平成三年度から十二年度にかけて再建に取り組み標準財政規模に対する赤字額は一.二倍であった。ところが夕張市の標準財政規模に対する赤字額は八倍であり、解消すべき赤字額は過去に例がない大きさである。そこで次の点について質問する。

一 過去に例がないほど巨額の赤字であるため、夕張市の財政再建計画は市に課せられた事務を遂行できず、地方公共団体として存続できない恐れがあると考えるが、政府としての見解を示されたい。
二 夕張市の財政再建計画によれば、公債費のほかに赤字解消額を別枠で見込む計画となっているが、これを合算した毎年の公債費総額は標準財政規模の七〜八割、最後の数年間は九割を占める。このような市としての事務を遂行できないような財政再建計画を作っても再建計画が行き詰まり、市政が混乱することは目に見えている。国債においても償還期間は六十年とされているので、夕張市において策定された財政再建計画の期間を今後延長して、六十年とすべきではないか。
三 総務大臣は財政再建計画に同意したが、地方財政法または財政再建法を改正せずに夕張市が三百五十三億円に及ぶ一時借入金中心の財政再建計画を作るのは違法ではないか。
四 北海道が夕張市に対して財政再建計画の裏付けとして当初三百六十億円の融資と実質的な利子補給を行うこととされている。北海道そのものもいわゆるヤミ起債の形をとることにはならないのか。
五 北海道が夕張市に対する融資資金三百五十三億円の利子を軽減する部分を地方交付税で財源手当てを行うといわれているが、長期にわたり多額にのぼる措置を地方交付税で行うのは不適切ではないか。
六 新たに国会に提出された「地方公共団体の財政の健全化に関する法律案」では、地方公共団体が損失補償をするなど密接に関係する事業を含めて財政状況を公表することとされており、夕張市以外にも財政破綻の状況にある地方公共団体が表面化するものと予想される。しかし、これまでは、夕張市のように財政再建法に準拠するという建前をとりながら建前にルールらしいものがない状況では、財政再建をしようとしても再建の手段を検討する手掛かりを把握しにくい。今後に備えて再建の手段を含め財政再建のルールを設けておくべきではないか。

 右質問する。



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