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平成十九年六月二十九日提出
質問第四三五号

宇宙政策の政府見解に関する質問主意書

提出者  吉井英勝




宇宙政策の政府見解に関する質問主意書


 六月二十日、自民・公明両党から提出された「宇宙基本法案」は、一九六九年五月のいわゆる宇宙の平和利用決議の根幹である「非軍事」の解釈を「非侵略」に変え、宇宙開発の目的を軍事利用にも向けられるようにするものである。公明党の意見を採り入れ、法案には「宇宙の平和的利用」という文言が加えられたが、それは全くの名ばかりにすぎず、宇宙軍拡とそれによってもたらされる予算の浪費へと道を開くきわめて危険な内容となっている。同時に、自主・民主・公開が原則であるわが国の科学技術政策をも、大きく脅かすものといわざるをえない。法案についての議論は立法府において行なうが、政府の宇宙政策そのものについて変更が生じるかどうかは国政上の重要課題である。
 よって、次のとおり政府に対し質問する。

(一) わが国の宇宙開発と利用は、立法措置をとらなければ進められない現状なのか。これまで基本法を制定する動きはあったのか、なかったのか。あったとすれば、なぜ制定されることなく進められてきたのか。
(二) 日本国憲法の定める平和主義の理念は、憲法前文と九条に定められている。宇宙開発と利用を軍事目的にも可能とし、自衛隊も宇宙開発を進めるようになることは、平和主義の理念と相いれるものか。政府の考える平和の意義付とは何か。
(三) わが国の宇宙開発は、いわゆる宇宙条約の定めるところによっても行なわれていると思うが、宇宙の平和利用決議が宇宙条約の遵守の妨げとなった実例はあるか。
(四) これまでのわが国の宇宙政策は、研究開発に特化しているために、国際競争力が低下しているという議論がある。実際に技術力がそがれ、国際競争力が低下している事態なのか。そうであればその原因を、具体的な数値をもとに答えられたい。
(五) 現在、わが国が安全保障のために保有、もしくは開発(検討を含む)している人工衛星には何があるか。名前をあげられたい。そのうち防衛省が関与しているものはどれか。
(六) 安全保障のため自衛隊が宇宙開発を軍事利用できるようになれば、自衛隊による早期警戒衛星、通信傍受衛星、戦場気象衛星の打ち上げと運用が可能となるのか。現在、防衛省において、独自の人工衛星を打ち上げる計画や要望はあるのか。その場合、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が防衛省の衛星を打ち上げることになるのか。
(七) 自民・公明両党提出の「宇宙基本法案」を受けて、それが仮に成立した場合、政府の宇宙政策は「非軍事」から「非侵略」に変更することになるのか。「非侵略」となった場合は、他の人工衛星を破壊するキラー衛星打ち上げも可能となるのか。
(八) 日米衛星調達合意の具体化である「非研究開発衛星の調達手続」によって、技術試験衛星や科学観測衛星などを除く人工衛星(実用衛星)は、国際競争入札にかけなければならないという理解だが、これは正しいか。非研究開発衛星の範疇に入る「情報収集衛星」が、国際入札によらず三菱電機が随意契約により受注しているのは、どういう理由からか。
(九) わが国の民間企業による宇宙産業を活性化させるために、アメリカの圧力による日米衛星調達合意の見直しが必要と考えているか。
(十) 三菱電機や三菱重工業をはじめとする民間企業から、国に対して、ロケットの打ち上げ射場や試験研究設備の整備、国の研究開発結果の民間企業への移転の促進、民間企業の投資が容易となるための税制・金融上の優遇措置、政府による調達保証(アンカーテナンシー)などの要望が出されているのか。
 また、国はこれまでも宇宙開発技術の民間企業への移管を進めてきたが、特別の優遇措置を講じなければ民間企業による宇宙開発を促進することはできないと判断しているのか。
(十一) 情報管理の適切化を口実に研究開発の成果が明らかにされなくなり、宇宙科学分野で発展の障害となることを危惧する声が上がっているのは当然である。安全保障が宇宙開発の目的に加わると、国民のために公開されるべき情報収集衛星が収集した災害対策情報が公開されなくなるなど、情報が機密のベールに隠されてしまうことは情報収集衛星の活用実態が明確に示している。原子力基本法、科学技術基本法、宇宙航空研究開発機構法(JAXA法)などにより、これまでわが国におけるあらゆる分野の科学技術の研究・開発・普及において、自主・民主・公開の原則が公式の方針とされてきた。宇宙開発と利用の分野では、政府は今後、この原則を放棄するのか。
(十二) 現在のわが国の宇宙開発に関する情報管理は、適切でないところがあるのか。あるとすれば、どういう点において適切でないのか。すべて示されたい。
(十三) 本年二月二十四日に打ち上げた情報収集衛星・レーダー二号機と一緒に、光学衛星実証機も打ち上げられた。その分解能は、運用中の光学一号・二号よりも高められ、四十p台に設計されていると聞くが事実か。政府は「その利用が一般化している衛星及びそれと同様の機能を有する衛星について認める」という一般化理論を持ち出し、光学衛星の解像度を一mに抑えて情報収集衛星を導入した。一般化の概念は、いつから四十p台になったのか。
(十四) 光学衛星実証機の実証試験はいつからいつまで行ない、その結果はいつどういう形で公表するのか。実証試験の結果、正しく機能していると判断すれば、実証機をそのまま光学三号機とする位置づけなのか。今後の情報収集衛星の開発、打ち上げ計画を詳細に明らかにされたい。

 右質問する。



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