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平成十九年十月二十九日提出
質問第一六三号

整理回収機構による住専債権処理に関する質問主意書

提出者  前田雄吉




整理回収機構による住専債権処理に関する質問主意書


 預金保険機構(以下、預保)が一〇〇パーセントの株式を保有している国策会社・整理回収機構(以下、回収機構)は、住専法にもとづき、旧住専七社から買い取った貸付金債権等の管理・回収にあたっている。同機構の前身である住宅金融債権管理機構(以下、住管機構)の社長を務め、回収機構の初代社長も務めた中坊公平弁護士は、「国民に二次負担をかけない」ことを国民に向け公約し回収業務の基本理念として掲げてきたが、今日、その破綻が明らかになり、国民の二次負担が必至の状況になっている。ところが回収機構と預保はこの事実を開示していない。新たな国民負担は重大な問題であるし、大義名分を失った回収機構の倫理が揺らいでいるとの指摘もある。そこで、この点に関する政府の見解について、質問する。

一 会計検査院の調査と指摘について
 @ 二〇〇七年一〇月一〇日付読売新聞や共同通信、時事通信などが、「住専債権の損失二七五〇億円、国が追加負担の可能性」といった趣旨の記事を掲載、配信していることを承知しているか。
 A これらの記事では、「回収機構が進める住専の債権回収をめぐって、国が新たに公的資金を投入しなければならない可能性のある損失が、今年三月末時点で約二七五〇億円に上ることが会計検査院の調べでわかった」等とされているが、会計検査院がこうした調査結果をまとめたのは事実と認識しているか。
 B これらの記事では、「会計検査院は、回収機構を指導・監督する預保に対し、情報を国民に知らせるべきだと指摘する方針」とあるが、これは事実と認識しているか。
 C AおよびBが事実と認識している場合、政府は会計検査院の指摘を踏まえて、預保に対し、ないしは預保を通じて回収機構に対して情報公開を求める考えはあるか。
二 整理回収機構の決算について
 @ 回収機構の直近の決算の貸借対照表では、住専勘定が債務超過になっている事実を承知しているか。また債務超過の額はいくらか。
 A 回収機構の住専勘定が債務超過に陥り、国の新たな負担が避けがたくなっており、しかも損害額や債務超過額が年々膨らんでいる状況について、回収機構および預保は、事態を改善するための業務改善計画等を提出しているか。提出していないなら、提出を求める考えはあるか。
 B 回収機構の住専勘定の損失額や債務超過が年々拡大し、国の追加負担が避けがたくなった原因について、政府としてはどう考えているか。
三 中坊公平・回収機構初代社長の「公約」について
 @ 政府は、住管機構社長および回収機構の初代社長を務めた中坊公平・元日弁連会長が、住専債権の処理にあたって「国民に二次負担をかけない」と公約した事実を承知しているか。
 A 日本経済新聞編集委員・藤井良広氏の著書『中坊公平の闘い(上)』(日経ビジネス人文庫、四一〜四二ページ)には、中坊氏が住管機構社長に内定した直後の一九九六年七月二日、中坊氏は首相官邸で橋本龍太郎首相(当時)と会って、「国民に二次負担をかけないために何ができるか、という発想でやりたい。……これこそが当社の国策ではないか」等と力説したところ、橋本首相は「それでよろしい」とうなずき、梶山静六官房長官(当時)らも首を縦に振った。「こうして『国民に二次負担をかけない』という公約に対して官邸の公認を得た」という趣旨の記述があるが、こうした事実はあったか。
 B こうした事実ないし報道から、「住専債権の処理にあたって国民に二次負担をかけない」ことが、中坊氏個人ではなく、住管機構と回収機構という国策会社の、ひいては政府の、国民に対する公約であると多くの国民は受け止めたが、それに対して政府はどう考えるか。仮にそれが誤解だとするなら、政府が当時、中坊氏の公約を打ち消した国会答弁なり発表なりを行った事実はあるか。
 C 「国民に二次負担をかけない」という公約は事実上破られようとしているが、政府はその責任について、どう考えているか。
 D 住管機構および回収機構は強引な取り立てで中小零細企業やその経営者、連帯保証人らの怨嗟の的になっているが、「国民に二次負担をかけない」という公約は、そうした取り立てを進める際の大義名分に使われた。結果として、大義名分は虚偽だったことになるが、政府はこうした事態について、現時点でどう考えているのか。
四 整理回収機構常務と巨額債務者との海外秘境旅行について
 @ 読売新聞(二〇〇七年九月一六日付)は、「回収機構の常務執行役員が二〇〇四〜〇五年、債務者の不動産会社前社長と二度にわたり、海外へのグループ旅行に同行していたことがわかった。前社長は旅行直後に同機構から一一一億円の連帯保証債務の支払いを免除されたが、常務は前社長側に知人を介して、この交渉にあたった弁護士を推薦していた。常務の行為は、利害関係者との親密な交際を禁じた倫理規程に抵触する可能性があり、同機構は調査を始めた」旨を報じたが、この報道を承知しているか。
 A 前社長は自己破産など債務整理の法的手続きをしないまま巨額の債務を免除されているが、回収機構はどのような場合に法的手続きを経ずに債務者の債務を免除(回収機構にとっては債権を放棄)するのか。また債務免除はいかなる手続きで誰が決めるのか。
 B この報道および回収機構による本件に関する調査について、政府はどのような報告を受けているか。
 C 常務という最高幹部の疑惑を、回収機構自身が適正に調べられると政府は考えているか。一般論として、金融機関幹部が業務に私情を交えて自社(自行)に損害を与えた場合、背任等の刑事犯罪に問われる場合があるうえ、巨額な債権放棄は国民の二次負担を増やす恐れもあるが、回収機構常務にかかわる疑惑について、預保ないし監督官庁である金融庁自身が直接調査する考えはないか。
 D 回収機構は銀行法上の銀行であるが、金融庁の検査はいつといつ行ったか。検査の結果、回収機構に業務の改善等を指示したことはあるか。

 右質問する。



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