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平成二十年十一月六日提出
質問第一九一号

国連広報センターにおける不正経理問題等に関する再質問主意書

提出者  保坂展人




国連広報センターにおける不正経理問題等に関する再質問主意書


 国連広報センター東京事務所(以下「UNIC東京」という。)の不正経理及びこれに関連する事項については、平成二十年五月二十一日提出質問第四一〇号、六月四日提出質問第四七〇号、六月十三日提出質問第五二八号、六月十八日提出質問第五八六号及び九月二十五日提出質問第二〇号の五次にわたって、質問主意書を提出し、かつ、平成二十年六月六日衆議院外務委員会でも質問を行った。
 政府から支出された税金が適正に使用されているかどうかについて、会計検査院が最近十二道府県の補助金の会計検査を行ったところ、すべての道府県で不正があったことが明らかになっている。その代表的な手法は、業者に架空の発注をして、商品を受け取らずに金だけ払い、裏金を業者に預けておく手法である。これは、まさに、UNIC東京の経理について、政府が「国連の内部監査によれば、平成十二年ごろから、国連財政手続き違反において禁止されている前払いが行われており、」と回答したのと酷似した不正経理の手法であると言わざるを得ない。また、会計検査院は、国際機関に設けられた基金に対する拠出金についても会計検査を行い、すでに閉鎖された基金における残余金の扱いについてもメスを入れている。
 会計検査院のこれらの指摘は、国民の税金を適正に使用するための重要な指摘であるが、これと対蹠的に、UNIC東京に関する日本政府の回答、さらには、UNIC東京の不正経理問題をなおざりにしている日本政府の対応は、国民の税金が適正に使用されていることの説明責任を果たそうとしない極めて不誠実であり、不十分なものである。日本政府には、会計検査院に指摘された問題だけを是正し、その責任を追及すればよいというその場しのぎの対応ではなく、この際、相手が地方自治体であれ国際機関であれ、税金の不正使用や無駄遣いを自ら調査して一掃することを求める。
 そこで、再度、UNIC東京における不正経理問題及び関連する問題について、日本政府の明確な見解を求める。

一 UNIC東京の不正経理と会計検査院の会計検査について
 1 UNIC東京の予算については、日本政府は平成二十年五月三十日付け回答において、「UNIC東京の年間予算の中、政府は、従来より、広報活動費について拠出するとともに、平成十七年度以降施設費に相当する分を拠出している。各年度の政府の拠出額は、広報活動費について、それぞれ、平成十二年度は約十四万九千ドル、平成十三年度は約十九万八千ドル、平成十四年度は約二十万八千ドル、平成十五年度は約十七万七千ドル、平成十六年度は約二十一万四千ドル、平成十七年度は約十六万三千ドル、平成十八年度は約十二万一千ドル、平成十九年度は約十九万九千ドルであり、施設費については、平成十七年度から平成十九年度までが、それぞれ約千九百十九万円である。」としているが、具体的に、野村彰男氏がUNIC東京の所長をしていた平成十五年、十六年、十七年の「広報活動費」は、平成十四年度、十五年度、十六年度の、日本政府のどの予算科目から、UNIC東京のどの口座に、いつ、いくら、どこを経由して、日本政府の予算がUNIC東京に支払われたのかを明らかにされたい。
 2 UNIC東京に対して日本政府から「広報活動費」が支出されるようになったのは、何年からで、どの予算科目から、いくら、支出されたのか。また、日本政府がUNIC東京に広報活動費を支援することとした時点で、日本政府と国連事務局との間で取り決められた内容(口座名、金額、日本政府から国連への支出の方法など)を明らかにされたい。
 3 UNIC東京に対して支出された「広報活動費」について、第一に、開始年度以来、毎年いくら支出されているのか、第二に、途中で増額されているとすれば、その理由と国連との交渉経緯はどうだったのか、第三に、この拠出は米ドルで行われるのか、それとも円で行われるのかについて、回答されたい。
 4 UNIC東京の「広報活動費」の予算について、日本政府以外の拠出はあるか。あるならば、日本政府の拠出割合は、UNIC東京の広報活動費予算の何%を占めているか。
 5 UNIC東京は、国連機関であり、その活動費は日本政府からの拠出金によってその二分の一以上が賄われている状況においては、会計検査院は、日本政府からUNIC東京に支出された「広報活動費」の使用が適正であったかどうかについて日本政府の機関を検査することができると考えるが、日本政府の見解を問う。
二 開発協力信託基金について
 1 UNIC東京の予算については、平成二十年五月三十日付け回答で明らかにされた「広報活動費」と「施設費」以外にも、UNIC東京には、「開発協力信託基金」からの支出があるのではないかという平成二十年九月二十五日提出質問第二〇号での質問に対して、日本政府は十月三日付け回答において、「政府は、開発協力信託基金を通じて国連広報局に対して支援を行ってきており、平成十二年度から十九年度までにUNIC東京関連の活動に充てられた額については、先の答弁書(平成二十年五月三十日内閣衆質一六九第四一〇号)一の1についてお答えした各年度の総額にも含まれているが、それ以外の個別の案件については、該当する可能性のある関連文書の多くが保存期限を経過し保存されていないため、お答えすることは困難である。」と回答しているが、そもそも、「開発協力信託基金」は、どのような趣旨で、何年度から何年度まで計上された予算であるのか、及びその予算額と決算額を明らかにされたい。
 2 「開発協力信託基金」の創設に当たり、日本政府と国連事務局との間ではどのような取り決めがなされたのか、その内容を明らかにされたい。
 3 「開発協力信託基金」は、日本政府から国連のどの口座に振り込んでいるのか、また、国連において、その口座を管理しているのはどの部署かを、明らかにされたい。
 4 「開発協力信託基金」には、日本政府の予算支出が終了した時点で使用されずに繰り越された金員があるか。あるならば、それはいくらかを、また、現時点でいくら残っているのかについても、明らかにされたい。
 5 日本政府が国連に拠出する基金の中には、その基金の使用につき、日本政府と協議をして使用する旨の約束の下に使用する基金があるが、それには、どのような基金があるかを網羅的に示されたい。特に、「開発協力信託基金」がそのような基金に該当するかどうか、回答されたい。また、「開発協力信託基金」が、基金の使用について日本政府との協議を必要とする基金である場合、「開発協力信託基金」が創設されて以降現在までに、日本政府として承知している支出先について、網羅的に明らかにされたい。さらに、最近二年間に国連から「開発協力信託基金」の使用について相談を受けた案件は何か、それを承諾した理由、その経緯と金額ともに、回答されたい。他方、日本政府との協議を必要としない基金であるとした場合、いかにして、予算の趣旨を達成することができるのか、具体例をあげて説明されたい。
 6 日本政府の回答によれば、「開発協力信託基金」は、UNIC東京の「広報活動費」にも使用されていたことが明らかになっているが、その金額、その支出経路(国連のどの部署のどの口座から、UNIC東京のどの口座に振り込まれたか。)、その支出に関する国連の基金管理当局と日本政府との間の交渉の経緯について、明確にされたい。
 7 高島肇久氏がUNIC東京の所長を務めていた二〇〇〇年八月から二〇〇二年八月の間に、UNIC東京では国連大学内にUNギャラリーが開設されているが、その経費は「開発協力信託基金」による資金によって賄われたのか。また、UNギャラリー開設は誰のイニシアティブで発案されたのか、及び、日本政府担当部局、基金を管理する国連事務局の部局、実際にその基金を使用したUNIC東京並びに事業を行った電通との間で、どのような交渉を行い、どのような手続き及び理由で、また予算額としていくらを、日本政府がUNギャラリーの開設のために「開発協力信託基金」の使用を認めたのかについて、明らかにされたい。
 8 UNIC東京で「預け」に該当する不正経理が行われるようになった理由について、平成二十年五月三十日付け政府回答は「UNIC東京職員が年末に予算を使い切る必要があると理解していたからであろうと指摘されている。」としている。こうした事態をもたらしたのは、従来から外務省がUNIC東京に拠出してきた「広報活動費」の支出に加えて「開発協力信託基金」からの特別拠出金が日本政府から支出され、UNIC東京が日本政府から支出されたこれらの金員を年度内に「使い切ること」ができなくなったからであり、したがって、UNIC東京の不正経理を招いたのは、UNIC東京への予算の支出にあたって、必要額を査定し、必要なだけ支出することを怠り、無駄な予算支出を行った日本政府にその責任の一端があると考えるが、日本政府の見解を問う。
 9 UNIC東京で「預け」に該当する不正経理が行われるようになったのは、「二〇〇〇年ごろから」であり、また、「UNIC東京職員が年末に予算を使い切る必要があると理解していたから」ということから、不正経理の責任者は、二〇〇〇年末に所長をしていた高島肇久氏ではないかという質問に対して、平成二十年十月三日付け政府回答では、「国連側からは平成十二年頃から前払が行われていたと報告を受けており、高島肇久氏のUNIC東京所長就任は平成十二年八月であることから、政府として、だれが所長の時に前払が始まったのかについて判断することは困難であると考えている。」としている。日本国民の税金使用に関して不正経理が行われたことが明らかであるにもかかわらず、日本政府は「だれが所長のときに始まったのか判断することは困難である」と回答するのみであるが、第一に、日本政府は不正経理の責任者を明らかにする意思があるかどうか、第二に、仮にその意思がないとすれば、国民の税金の無駄を省く努力をしている中で、国民の税金に関する不正の責任者を明らかにすることを放棄し、傍観している理由は何か、第三に、日本政府としては、どのようにすれば、UNIC東京の不正経理が始まったときの責任者を明らかにすることができると考えているか、明確に回答願いたい。
 10 野村彰男氏がUNIC東京の所長であった期間のうち二〇〇三年一月から二〇〇四年の十二月までの二年間のUNIC東京の「広報活動費」について、第一に、それは「開発協力信託基金」から、UNIC東京のどの口座に、いつ、いくら、どのような手続きで支出されていたのか、第二に、野村彰男氏が二〇〇五年十二月の所長退任後も現在に至るまで、UNIC東京の口座からの引き落としを行うことができる代理人として登録されている事実、また、その理由について日本政府は知っているか、について、回答を求める。
 11 「開発協力信託基金」の使用手続きに関して、基金の金をどのようなプロジェクトに使用するかどうかのイニシアティブは、基金を管理する国連事務局にあるのか、それとも、使用についての実質的な許可権限を持つ日本政府にあるのか、そのいずれの場合もあるのか、明らかにされたい。
 12 「開発協力信託基金」は、一〇〇%日本国民の税金からの支出による基金である。この基金が、適正に使用されてきたかについて、また、無駄撲滅が大きな課題となっている現在、残されている基金を日本政府に返還することを求めることが適当ではないかなどについて、会計検査院による検査の対象とすることができると考えるが、日本政府の見解を問う。
三 国連拠出金の扱い等について
 1 日本政府は、日本政府が国連に支払うべき分担金及び拠出金の支払いについて、平成二十年六月二十四日付け回答で、「政府は、過去において国連に支払う分担金及び拠出金を国連本部が管理しているUNIC東京の銀行口座に振り込んでいたが、平成十四年以降は、為替の変動による損益の発生を回避するため、米国にある国連本部の銀行口座に送金している。UNIC東京が国連本部に送金するための銀行手数料については承知していない。」とし、また、平成十四年度にUNIC東京経由ではなく、直接国連本部に支払うこととしたことについて、平成二十年十月三日付け回答で、「我が国の国連分担金等については、国連から支払要請のあった米貨額を当該年度の予算要求時に一律に定められた為替レートにより換算した邦貨額を予算計上している。このため、実際に支払う際の為替レートと予算上の為替レート間の差から差損が生じる可能性がある。このような中で、より安定的・効率的な予算の執行を確保するため、平成十四年度以降は、米国にある国連本部の銀行口座に送金している。」と回答しているが、他方で、「日本政府の支払は、UNIC東京の銀行口座に振り込んだ時点で完了したものと理解している。」と回答しており、「実際に支払う際の為替レートと予算上の為替レート間の差から差損が生じる可能性」はなく、政府回答は「送金先を変更する理由」になっていないと思慮されるところであり、具体的、かつ、詳細に、送付先変更の理由を回答されたい。
 2 日本政府の拠出金等の支払いをUNIC東京の口座に送金することで、例えば、UNIC東京が行う外貨交換の手数料を通常の手数料より減免することなど、日本政府、UNIC東京、銀行の間で取り決めを行ったことはないか。
 3 平成十四年度から行われた日本政府の分担金及び拠出金の送金先の変更に関して、当時UNIC東京の所長であった高島肇久氏から、日本政府に意見が述べられたことはないか。あるのならば、その意見の内容は、どのようなものであったか。
四 日本政府の国民の税金に関する不正経理真相究明の姿勢について
 国連といえども、ほぼ日本政府の拠出のみによって成り立っているUNIC東京の経理については、不正経理の真相解明と責任の追及が行われ、かつ、その支出を行う日本政府の責任も問われなければならない。
 このような中で、UNIC東京では、これまでのすべての銀行口座を閉鎖し、新たに別の銀行口座を開設する予定であると仄聞する。真相究明が進んでいない段階でのこのような措置は、不正を覆い隠すためとも取られかねないため、日本政府としては、早急に、UNIC東京にまつわるすべての金の流れを解明し、経理の適正化と責任の追及、さらには、UNIC東京の廃止も含めた国連行財政改革に乗り出すべきと考えるが、日本政府の見解はどうか。

 右質問する。



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