衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十一年二月二十五日提出
質問第一五六号

積丹岳における山岳遭難事故に関する質問主意書

提出者  鉢呂吉雄




積丹岳における山岳遭難事故に関する質問主意書


 平成二十一年一月三十一日、北海道後志管内積丹町の積丹岳(以下「積丹岳」という)に入山した札幌市の藤原隆一氏(以下「男性」という)が死亡した遭難事故(以下「今回の事故」という)について質問する。

 男性は同年一月三十一日に、積丹岳に入山し行方不明になり、同年二月一日、捜索にあたっていた救助隊が男性を頂上付近で発見した。しかし、男性を救助中に周辺の雪が崩れ、男性と救助隊員の三人は滑落。その後、救助隊員が男性をソリに乗せ急斜面を引き上げていたが、交代のためソリを一時樹木にくくりつけていたところ、樹木が折れ、ソリは急斜面を滑落、男性の行方は再び分からなくなってしまった。
 同年二月二日に捜索は再開され男性は発見されたが、死亡が確認された。
 そこで救助にあたった北海道警察(以下「道警」という)及び関係機関の遭難救助活動に関して政府に対して質問する。なお、国会法第七十五条第二項に規定する通り、質問主意書受領の日から七日以内に答弁されたい。また同様の文言が並ぶ場合でも、項目ごとに平易な文書で答弁されたい。
一 山岳遭難の概況について答弁願いたい。
 (1) 平成二十年の都道府県別の発生件数と遭難者数について。
 (2) 入山の主な目的と遭難事故の態様についての概要。
二 事故の認識について答弁願いたい。
 今回の事故はスノーボーダーの遭難であるが、いわゆる山岳遭難として認識してよいか。
三 山岳遭難未然防止対策について答弁願いたい。
 (1) 今回の事故において、男性からは登山計画書もしくは入山届は提出されていたのか。
 (2) 男性に対して、滑落等の危険箇所に対する注意喚起・指導等は、予め行われていたのか。行われていたとするならば、どのような方法等で行われたのか。
 (3) 積丹岳規模の山に入山するにあたっての携行装備としては、どのようなものが必要となるか。
 (4) 男性の装備の内訳について。
 (5) 男性の装備内容は、入山に適したものであったのか、どうか。
 (6) 入山者に対して、専門家等による携行装備内容の点検・注意喚起・指導等は予め行われるのか。また今回の事故において、専門家による事前の点検等は行われたのか。
 (7) 積丹岳は入山届の提出が義務付けられている箇所か。
四 通信手段について答弁願いたい。
 (1) 山岳においての主な通信手段には、どのようなものがあるのか。
 (2) 今回の事故は、どのような通信手段を用いて通報されたのか。
 (3) 今回の事故において、救助隊と救助対策本部との間では、どのような通信手段を用いたのか。
 (4) 携帯電話の普及に伴い、携帯電話による救助要請等の増加が予想されるが、多くの山岳では通話エリアが限られている。今後の山岳における通信手段の充実策について。
五 今回の事故の概要について答弁願いたい。
 (1) 男性の死亡を確認した日時、死亡を確認した機関、死亡原因など、今回の事故及び救助の概要。
 (2) 今回の事故において男性が遭難した原因は、どこにあったと考えられるか。
 (3) 男性が遭難したとの第一報の通報者、また通報を受けたのは、どこの機関なのか。通報から救助対策本部の設置及び救助対策本部が解散されるまでの経緯を、時系列的に答弁願いたい。
六 捜索・救助にあたる組織について答弁願いたい。
 (1) 山岳遭難事故における救助隊の編成及び出動を発議できる根拠となる関係法令・規定等を、警察組織、消防組織ごとに答弁願いたい。
 (2) 今回の事故における救助対策本部を構成する公的機関と、それぞれの役割任務。また、今回の事故の捜索・救助活動に参加した民間団体等の名称と人的規模、現地における役割任務について。
 (3) 北海道警察山岳遭難救助隊規程(以下「救助規程」という)では、隊長には警察本部にあっては地域企画課長、方面本部にあっては地域課長が就くとしている。今回の事故において隊長の任に就いた者の所属機関名と役職名について。
 (4) 救助規程では、出動した隊の指揮は、派遣先の警察署長が行うものとするとしている。そこで質問する。
  @ 「隊長」と「出動した隊の指揮」をとる者、それぞれの役割任務について。
  A 今回の事故で、現場の指揮をとった者の機関名と役職名。
  B 山岳遭難事故、とりわけ冬山における捜索・救助は、気象状況などが急変することから、極めて困難な中での作業と推測され、瞬時の判断が求められる。今回の事故で、一回目(平成二十一年二月一日)の発見後の移動及び下山措置、また一度目の滑落後の引き上げ措置についての最終判断は誰が行ったのか、併せて判断に至った根拠について。
 (5) 今回の事故における救助対策本部の本部長及び隊長、並びに出動した隊の指揮をとる派遣先の警察署長は、山岳遭難救助に関する知識・技術に習熟しているのか。
七 自衛隊への派遣要請について答弁願いたい。
 今回の事故の捜索・救助にあたって、自衛隊への派遣要請は検討されたのか。検討されなかったとするならば、その理由について。検討はしたが派遣要請に至らなかったとするならば、その理由について。
八 訓練について答弁願いたい。
 (1) 過去、積丹岳で山岳遭難救助訓練(以下「訓練」という)は実施されたのか。実施してきたとするならば、過去三年間の訓練回数、人的規模、訓練構成団体、訓練内容の概要等について。
 (2) 男性が一回目(平成二十一年二月一日)に発見された場所において、訓練は実施されたことはあるのか。また、その現場付近の地形は、今回の事故において予め把握されていたのか。さらに、当時の気象状況から、その付近に雪庇の可能性があるかもしれない、という認識を、救助対策本部は持っていたのか。
 (3) 男性の捜索にあたっていた道警機動隊員は、道警山岳遭難救助隊に所属する者か。また、過去三年間における、山岳遭難救助に関する訓練内容(訓練を実施した場所、訓練回数)など、その概要について。
九 気象状況について答弁願いたい。
 男性を一回目(平成二十一年二月一日)に発見したときの、気象状況について。
十 事実関係の確認について答弁願いたい。
 平成二十一年二月二日付の新聞各紙の報道によると、北海道新聞、読売新聞、朝日新聞は、「倒れているところを発見」としているが、毎日新聞は「雪山に簡易テントを張ってビバークしていた藤原さんを発見」としている。いずれの報道が正しいのか。
十一 措置判断について答弁願いたい。
 (1) 男性を一回目(平成二十一年二月一日)に発見した後、意識がもうろうとしているにも関らず、移動・下山の措置を取っている。同所においてビバーク(露営)の措置の検討はされたのか。
 (2) 男性を一回目に発見した後、男性と救助隊員は滑落(一度目)。その後、男性を救助用ソリに乗せ、斜面を上りはじめたが、救助作業の交代のために一時、ソリのロープを樹木にくくりつけたところ、木の枝が折れ、ソリは滑落(二度目)したという。一度目の滑落現場付近でのビバークによる措置は検討されたのか。
 (3) 悪天候の中、救助隊員も滑落している。このような危険な状況の中で、男性をソリに乗せて移動することは、極めて危険という専門家の指摘もある。これらについての、政府の所感を伺う。
十二 遺族への対応について答弁願いたい。
 遺族に対する説明・謝罪は行われたのか。行ったとするならば、誰が行い、その内容について。行っていないとするならば、その理由について。
十三 救助の適否について答弁願いたい。
 二次遭難の被害は出なかったが、男性は命を失い、救助隊員も遭難しかかった。結果として救助は失敗ではなかったのか、政府の所感を伺う。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.