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答弁本文情報

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平成二十一年三月六日受領
答弁第一五六号

  内閣衆質一七一第一五六号
  平成二十一年三月六日
内閣総理大臣 麻生太郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員鉢呂吉雄君提出積丹岳における山岳遭難事故に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員鉢呂吉雄君提出積丹岳における山岳遭難事故に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 平成二十年中に発生した山岳遭難(登山等による遭難であってその原因が風水害によらないものをいう。以下同じ。)で警察庁が各都道府県警察から報告を受けたものの件数及び遭難者数は、北海道警察で百二十八件、百三十九人、青森県警察で四十二件、五十四人、岩手県警察で三十六件、四十人、宮城県警察で十八件、二十六人、秋田県警察で八十五件、九十五人、山形県警察で六十五件、七十一人、福島県警察で六十八件、八十五人、警視庁で八十四件、九十人、茨城県警察で九件、十五人、栃木県警察で二十五件、二十五人、群馬県警察で四十四件、五十六人、埼玉県警察で四十一件、五十二人、千葉県警察で六件、七人、神奈川県警察で六十一件、八十人、新潟県警察で六十四件、七十三人、山梨県警察で八十八件、百五人、長野県警察で百八十二件、百九十九人、静岡県警察で六十五件、七十六人、富山県警察で百三十三件、百五十九人、石川県警察で十八件、二十一人、福井県警察で三件、三人、岐阜県警察で五十五件、六十七人、愛知県警察で七件、七人、三重県警察で三十二件、四十人、滋賀県警察で三十五件、四十二人、京都府警察で十三件、十六人、大阪府警察で四件、四人、兵庫県警察で四十五件、七十二人、奈良県警察で十八件、二十人、和歌山県警察で八件、十人、鳥取県警察で十六件、十八人、島根県警察で一件、一人、岡山県警察で三件、三人、広島県警察で十一件、二十二人、山口県警察で零件、零人、徳島県警察で四件、四人、香川県警察で一件、二人、愛媛県警察で三十二件、三十四人、高知県警察で二件、二人、福岡県警察で十二件、十七人、佐賀県警察で三件、四人、長崎県警察で五件、八人、熊本県警察で七件、十人、大分県警察で二十二件、二十四人、宮崎県警察で九件、十人、鹿児島県警察で二十一件、二十五人、沖縄県警察で零件、零人である。

一の(2)について

 警察庁においては、山岳遭難に係る遭難者は、山登り、山菜採り等を目的として登山し、道に迷い、滑落し、又は転倒するなどにより遭難することが多いものと承知している。

二について

 北海道警察によると、御指摘の事故(以下「本件遭難」という。)について、山岳遭難であると認識しているとのことである。

三の(1)について

 北海道警察によると、本件遭難による遭難者(以下「本件遭難者」という。)は、登山計画を記載した書類(以下「登山計画書」という。)を同警察に提出していなかったとのことであるが、北海道庁によると、本件遭難者は、積丹町が管理する山小屋に置かれていた書面に、氏名、住所等を記載していたとのことである。

三の(2)について

 北海道警察によると、登山しようとする者に対しては、登山計画書の提出を受ける機会を活用して、登山計画に応じた装備及び食料の携行の必要性、避難施設、危険箇所等の位置並びに気象状況について教示するなどにより、登山中の安全を確保するために必要な指導を行うことが通例であるところ、本件遭難者は登山計画書を同警察に提出していなかったことから、同警察は本件遭難者に対する直接の指導は行っていなかったとのことである。

三の(3)について

 冬季において登山する場合に必要な装備品は、個別具体的な登山計画により異なるものであるが、一般的には、平成二十年十二月一日付けで山岳遭難対策中央協議会が作成した「冬山装備チェックリスト」に掲げられているとおり、防風防水透湿パーカ、防風防水透湿オーバーパンツ、登山靴、シュラフ、テント等の装備品を携行する必要があるものと認識している。

三の(4)について

 北海道警察によると、本件遭難者は、スノーボード用ウェアー、スノーボード用ブーツ、簡易テント等を携行していたとのことである。

三の(5)について

 北海道警察によると、本件遭難者の装備品は、冬季において登山する場合に一般的に必要とされる装備品としては十分ではなかったと考えているとのことである。

三の(6)について

 北海道警察によると、三の(2)についてで述べたとおり、登山しようとする者に対し、登山計画書の提出を受ける機会を活用して、登山計画に応じた装備及び食料の携行の必要性、避難施設、危険箇所等の位置並びに気象状況について教示するなどにより、登山中の安全を確保するために必要な指導を行うことが通例であるところ、本件遭難者は登山計画書を同警察に提出していなかったことから、同警察は本件遭難者に対する直接の指導は行っていなかったとのことである。

三の(7)について

 北海道庁によると、積丹岳を登山する者は登山計画書の提出を義務付けられていなかったとのことである。

四の(1)について

 山岳における主な通信手段には、携帯電話、アマチュア無線、簡易無線等がある。

四の(2)について

 北海道警察によると、平成二十一年一月三十一日に本件遭難者が積丹岳を下山中に道に迷い遭難したことについて、本件遭難者は、トランシーバーを使用して本件遭難者と同行して入山した者(以下「同行者」という。)に対して連絡を行い、同日午後三時三十七分に同行者が携帯電話を使用して同警察に対して通報したとのことである。

四の(3)について

 北海道警察によると、本件遭難に係る救助活動等を行った北海道警察札幌方面山岳遭難救助隊(以下「山岳救助隊」という。)の隊員は、警察無線及び携帯電話を使用して、所要の連絡を行ったとのことである。

四の(4)について

 総務省としては、条件不利地域における携帯電話利用エリアの拡大に対する補助事業を行うほか、登山者にも使いやすい簡易無線の利用拡大に向けた制度整備を図ったところである。

五の(1)について

 北海道警察によると、平成二十一年二月一日正午ごろ(以下「発見時」という。)に捜索活動に従事中の山岳救助隊の五人の隊員が本件遭難者を発見し、付近で待機中の雪上車に本件遭難者を搬送するために救助活動を開始したが、救助活動中に本件遭難者及び三人の隊員が滑落したとのことである。さらに、同日午後零時五十分ごろ(以下「再開時」という。)に三人の隊員が救助活動を再開したが、同日午後一時五十分ごろ、救助活動に従事する隊員を交代させるために本件遭難者を乗せたそりを樹木にくくり付けたところ、当該樹木が折れて本件遭難者が滑落し、救助活動を継続することが不可能になったとのことである。同月二日午前七時四十分ごろに救助活動中の同警察本部地域部航空隊のヘリコプターが本件遭難者を発見して札幌医科大学付属病院に搬送したが、同日午前八時五十四分に同病院において死亡が確認され、死因は凍死であったとのことである。

五の(2)について

 北海道警察によると、本件遭難者は、厳しい気象状況の中で道に迷ったために遭難したものと認識しているとのことである。

五の(3)について

 北海道警察によると、四の(2)についてで述べたとおり、平成二十一年一月三十一日午後三時三十七分に、同行者が、同警察に通報したとのことである。また、同日午後四時三十分に警察等関係機関が連携を図るための現場付近の拠点(以下「現地拠点」という。)が設置され、同月二日午前八時五十四分に本件遭難者の死亡が確認されたことを受け、同日午前十時十分に現地拠点が解散されたとのことである。

六の(1)について

 北海道警察によると、山岳救助隊の編成及び出動については、北海道警察山岳遭難救助隊規程(昭和四十八年北海道警察本部訓令第二十二号)の規定によることとされているとのことである。
 北後志消防組合によると、救助隊の編成及び出動については、北後志消防組合救助規程(平成四年北後志消防組合規程第一号)の規定によることとされているとのことである。

六の(2)について

 北海道警察によると、本件遭難に係る現地拠点には、救助活動等を行う北海道警察及び北後志消防組合並びに雪上車の運転等を行う積丹町が参集していたほか、延べ十四人のボランティアが捜索活動に参加したが、捜索活動に参加した民間団体はなかったとのことである。

六の(3)について

 北海道警察によると、山岳救助隊の隊長は、同警察本部地域部地域企画課長(以下「地域企画課長」という。)であるとのことである。

六の(4)の@について

 北海道警察によると、山岳救助隊の隊長は山岳救助隊の管理及び運用に関すること、隊員の教養訓練に関すること等を行い、山岳救助隊の派遣先の警察署長が山岳救助隊の個々の活動を指揮することとされているとのことである。

六の(4)のAについて

 北海道警察によると、山岳救助隊の活動については、同警察札幌方面余市警察署長(以下「余市署長」という。)が指揮を行ったとのことである。

六の(4)のBについて

 北海道警察によると、発見時における救助活動の方針については余市署長が、再開時における救助活動の方針については救助を行った五人の隊員のうちの一人が、それぞれ、本件遭難者の健康状態、現場の地形、気象状況等を総合的に勘案して決定したとのことである。

六の(5)について

 北海道警察によると、山岳救助隊の隊長である地域企画課長及び山岳救助隊の派遣先の余市署長は、それぞれ、山岳遭難における救助活動等を指揮するために必要な知識及び能力を有していたとのことである。

七について

 北海道警察によると、本件遭難について、北海道庁を通じた自衛隊への派遣要請を行うことを検討したものの、捜索活動の範囲が限定されており、かつ、遭難者が一人であったため、現地拠点において関係機関等との連携を図ることにより対応が可能であると判断したことから、当該派遣要請は行われなかったとのことである。

八の(1)について

 北海道警察によると、平成十八年一月から平成二十一年一月までの間に、登はん訓練、遭難者の捜索活動に必要な機器の使用訓練等を内容とする捜索救助活動訓練を四回実施し、同警察本部警備部機動隊(以下「機動隊」という。)から延べ約五十人が参加したとのことである。

八の(2)について

 北海道警察によると、本件遭難者を発見した場所の付近においては、訓練が実施され、あらかじめ地形も把握されており、また、一般に冬山において雪庇が形成される可能性も想定されていたものの、雪庇が形成される可能性がある場所を特定することは困難であったとのことである。

八の(3)について

 北海道警察によると、本件遭難者を発見した五人の機動隊の隊員は山岳救助隊の隊員であり、平成十八年から平成二十年までの間に、積丹岳のほか、上ホロカメットク山、無意根山等において、延べ六十六回にわたり、登はん訓練、遭難者の捜索活動に必要な機器の使用訓練等を内容とする捜索救助活動訓練を実施したとのことである。

九について

 山岳救助隊が本件遭難者を発見した平成二十一年二月一日昼頃の積丹岳を含む北海道後志地方の気象状況は、北の風が強く、雪で所々でふぶいていたものと承知している。

十について

 北海道警察によると、発見時において、本件遭難者はうつぶせに倒れていたとのことである。

十一の(1)について

 北海道警察によると、本件遭難者の体力が激しく消耗していたこと等から、露営を行う余地はなく、付近に待機中の雪上車まで本件遭難者を搬送することが適当であると判断したとのことである。

十一の(2)について

 北海道警察によると、本件遭難者の体力が激しく消耗していたこと、雪崩の発生が懸念されたこと等から、露営を行う余地はなく、付近に待機中の雪上車まで本件遭難者を搬送することが適当であると判断したとのことである。

十一の(3)について

 北海道警察によると、登はんしていた斜面の傾斜が約四十度であったことから、本件遭難者を搬送するためには、本件遭難者をそりに乗せる必要があると判断したとのことであり、警察庁としては、気象条件等を総合的に勘案すると、当該判断に問題があったとは言えないと考えている。

十二について

 北海道警察によると、同警察本部地域部管理官及び北海道札幌方面余市警察署次長が、本件遭難者の遺族に対し、本件遭難に係る捜索救助活動の状況について説明を行っているが、気象状況等を総合的に勘案すると、当該活動に問題があったとは言えないことから、当該遺族に対する謝罪は行っていないとのことである。

十三について

 警察庁としては、本件遭難者が亡くなったことは誠に遺憾であるが、気象状況等を総合的に勘案すると、本件遭難に係る救助活動等に問題があったとは言えないと考えている。



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