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平成二十一年六月十七日提出
質問第五五六号

冤罪並びに取り調べの全面可視化に対する麻生太郎内閣総理大臣の見解等に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




冤罪並びに取り調べの全面可視化に対する麻生太郎内閣総理大臣の見解等に関する再質問主意書


 一九九〇年、栃木県足利市で当時四歳の女児が殺害されたいわゆる足利事件で容疑者とされ、無期懲役が確定し、服役中だった菅家利和さんが、女児の下着に付着していた体液のDNA型が菅家さんのものとは一致しないとの鑑定結果が出たことを受け、本年六月四日、千葉刑務所から釈放された。右につき麻生太郎内閣総理大臣は、同日夜の首相官邸における記者のぶら下がり取材において、「冤罪が起きない国にするためには可視化が必要ではないのか」との旨の記者の質問に対して「ぼくは基本的には一概に可視化すれば直ちに冤罪が減るという感じがありません」と答えている(以下、「麻生発言」という。)。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七一第五〇九号)を踏まえ、再質問する。

一 前回質問主意書で、麻生総理は過去に検察による取り調べを受けたことはあるかと問うたところ、「前回答弁書」では「内閣総理大臣の職務とは無関係のものであり、お答えは差し控えたい。」との答弁がなされているが、右問いは、当質問主意書全体の趣旨の中で、麻生総理の答弁を必要とするものであるところ、その有無につき明らかにすることを再度求める。
二 「前回答弁書」では、「麻生発言」の中にある冤罪の定義について「無実の罪、ぬれぎぬ等という意義で用いられることがあるとの趣旨で発言したものと承知している。」との答弁がなされている。前回質問主意書で、足利事件において菅家さんが逮捕され、無期懲役が確定したことは、冤罪に該当するかと問うたところ、「前回答弁書」では「政府としては、特定の事件が『冤罪』であるか否かについて特定の見解を有しているものではない。」との答弁がなされているが、菅家さんのケースが冤罪であるか否かについて、政府として特定の見解を有していないのはなぜか。最高検察庁、つまり政府として菅家さんの釈放を決めたということは、菅家さんのケースは右答弁にある冤罪であったことを政府として認めたことに他ならないのではないか。
三 前回質問主意書で、「麻生発言」にある様に、麻生総理として、取り調べの可視化が直ちに冤罪の減少にはつながらないと認識しているのはなぜか、右の認識は、どの様なデータ、客観的事実に基づいてのものなのかと問うたところ、「前回答弁書」では「一般に、検察当局においては、必要な捜査を尽くし、収集し得た証拠を総合的に検討して被告人を起訴し、裁判所においても、慎重な審理を尽くした上で有罪判決を言い渡しているものと承知している」旨の答弁がなされている。麻生総理は右述べているが、菅家さんのケースについて言えば、検察が収集した、例えば当時の栃木県警が行ったDNA鑑定の結果等の証拠は、現在の技術水準による鑑定により覆され、正確でなかったことが明らかにされている。また、菅家さんが自白したのも、当時の栃木県警による、髪の毛を引っ張る、け飛ばす等の暴行、「早くしゃべって楽になれ」等の脅しを受けた結果、やむなくなされたものである。菅家さんのケースは、まさに右の一般論から外れたものではないのか。麻生総理の見解如何。
四 「前回答弁書」で麻生総理は「御指摘の点と取調べの全過程について録音・録画を義務付けることとの関連については、承知していない。」と答弁しているが、麻生総理は、何の根拠もなく、取り調べの全面可視化が冤罪の減少にはつながらないとする「麻生発言」を行ったのか。
五 四で、何の根拠もなく「麻生発言」を行ったのなら、それは内閣総理大臣の発言として極めていい加減ではないか。
六 取り調べの全過程を可視化することにより、少なくとも菅家さんが受けた様な暴行、脅しを取り調べにおいて防止することは可能であると考えるが、その可視化が冤罪の減少にはつながらないとする「麻生発言」の根拠は何か、再度質問する。
七 「前回答弁書」では「政府としては、御指摘のような事実は把握していない。」と、菅家さんが当時の栃木県警に逮捕された後、同県警の警察官により、髪の毛を引っ張られる、け飛ばされる等の暴行を受け、更には「白状しろ」「早くしゃべって楽になれ」などと言われ、脅しの様な形で自白を強要されたことについては、政府としてそもそも把握していないとの答弁がなされているが、今後菅家さんが右の様な非人道的な取り調べを受けた事実はないか、麻生総理として、然るべき調査をするよう指示する考えはあるか。
八 七で、あるのなら、麻生総理として当該調査をいつからどの様な方策をもって行わせる考えでいるのか説明されたい。
九 七で、ないのなら、それはなぜか説明されたい。

 右質問する。



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