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平成二十一年六月十八日提出
質問第五六一号

いわゆる足利事件における検察庁の責任に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




いわゆる足利事件における検察庁の責任に関する再質問主意書


 一九九〇年、栃木県足利市で当時四歳の女児が殺害されたいわゆる足利事件で容疑者とされ、無期懲役が確定し、服役中だった菅家利和さんが、女児の下着に付着していた体液のDNA型が菅家さんのものとは一致しないとの鑑定結果が出たことを受け、本年六月四日、千葉刑務所から釈放された。また同月十七日、石川正一郎栃木県警本部長は、同県警を訪問した菅家さんに対し、「長い間、つらい思いをさせたことを心からおわび申し上げます」と述べ、謝罪をしている。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七一第五一一号)を踏まえ、再質問する。

一 菅家さんが逮捕された当時、栃木県警が実施したMCT118のDNA鑑定技術は、別人で一致する可能性が千人に一.二人と、現在の四兆七千億人に一人というものと比較すれば、その精度はかなり低いものであり、また報道によれば、そもそも殺害された女児の下着に付着していた体液のDNA型は菅家さんのDNA型と一致していなかったとのことである。前回質問主意書で、検察庁として右を承知していたかと問うたところ、「前回答弁書」では「捜査段階において実施されたDNA型鑑定の結果、被害者の下着から採取されたDNA型と菅家氏のDNA型が一致し、起訴時、その出現頻度は血液型検査の結果も加味すると、千人中一・二人であると計算されていたものと承知している。検察当局においては、当時、DNA型鑑定を含め、収集された証拠を総合的に評価し、菅家氏を起訴したものと承知している。」との答弁がなされている。右の検察当局による、菅家さんのDNA型鑑定を含む収集された証拠に対して当時下した総合的な評価は、結果として間違っていたと考えるが、検察庁として、右を認めるか。
二 前回質問主意書で、足利事件において、DNA型鑑定と菅家さんへの取り調べのどちらにおいても、検察庁は栃木県警から上げられた情報を疑うことなく鵜呑みにし、起訴に踏み切ったのであり、同県警に対し十分なチェック機能を果たさなかった検察庁の対応には重大な瑕疵があるのではないかと問うたところ、「前回答弁書」では「最高検察庁においては、御指摘の『足利事件』に関し、今後の再審請求審等の審理も踏まえつつ、本件の捜査及び公判の問題点につき検証するものと承知している。」との答弁がなされている。右答弁は、検察庁、つまり政府として、足利事件という冤罪事件がなぜ起きたのか、その真相の解明を徹底的に行う決意を披瀝したものと理解して良いか。確認を求める。
三 二の答弁にある、足利事件に関する捜査及び公判の問題点についての検証作業(以下、「検証」という。)は、誰を責任者として、いつからいつまでを目処に、どの様な方法によって行われるのか説明されたい。
四 菅家さんによると、栃木県警に逮捕された後、同県警の警察官により、髪の毛を引っ張られる、け飛ばされる等の暴行を受けたとのことであるが、右は刑法に規定される暴行に該当するか、また菅家さんは、栃木県警に逮捕された後、同県警の警察官により、「白状しろ」「早くしゃべって楽になれ」と言われ、脅しの様な形で自白を強要されたとのことであるが、右は刑法に規定される脅迫に該当するかと、それぞれ前回質問主意書で問うたところ、「前回答弁書」では「具体的な事例における犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断すべき事柄であるので答弁は差し控えたい。なお、政府としては、御指摘のような事実は把握していない。」との答弁がなされている。検察庁として、「検証」において右の様な事実があったか否かについて、更には右の点を把握せずに菅家さんの起訴に踏み切った同庁の責任について、徹底的な調査を行う考えはあるか。
五 前回質問主意書で、検察庁において、菅家さんを起訴した当時の担当責任者は誰か、その者は現在も在職中であるかと問うたところ、「前回答弁書」では「お尋ねの菅家氏を殺人罪等により起訴した検察官は、既に退職しているが、その氏名を明らかにすることは、今後の捜査活動一般に支障をもたらすおそれがあり、答弁を差し控えたい。」との答弁がなされている。既に退職しているにせよ、足利事件の真相究明及び同類の冤罪事件の再発防止を今後図る上で、当時の担当検察官の責任を明らかにし、在職中であるか否かに関わらず、菅家さんへの謝罪を含め、相当の責任を取らせることが必要不可欠であると考える。検察庁、ひいては政府として、右の既に退職した当時の担当検察官に対し、菅家さんを起訴したことについて、何らかの形で相当の責任を取らせる考えはあるか。

 右質問する。



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