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平成二十二年三月十六日提出
質問第二六九号

石綿健康被害救済制度における指定疾病に関する質問主意書

提出者  吉井英勝




石綿健康被害救済制度における指定疾病に関する質問主意書


 本年一月二十二日に開かれた、第三回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会において、北海道中央労災病院の木村清延医師は、じん肺労災認定患者のうち、本来じん肺の合併症である続発性気管支炎は少数のはず、聴覚障害不正受給事件があったなどと報告した。この報告に対し、一月二十五日に「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」(以下、患者と家族の会)は、環境省石綿健康被害対策室が、石綿肺の合併症患者を不正受給者だと印象づけるため、同医師の主張を聴く機会をつくった、として抗議文を出している。
 よって、次のとおり質問する。

(一) アスベストに関連する「指定疾病」の拡大による救済給付の対象である石綿肺の多くは、建設自営業者など職業ばく露によるものであると考えられるが、現在労災認定されている石綿肺の合併症は、石綿肺全体のうちどれだけの割合を占めているのか。また、続発性気管支炎の患者を「不正受給者」と考えるのか、明らかにされたい。
(二) 患者と家族の会は、無条件に現在指定されていない石綿肺・石綿肺の合併症・びまん性胸膜肥厚・良性石綿胸水をすべて指定疾病にするよう求めている。昨年十一月二十七日の第一回石綿健康被害救済小委員会で、田島環境副大臣が、「患者と家族の会の皆様にもご出席をいただいているところでございまして、当事者の皆様の声を十分にお聞かせいただき、今後の議論に反映をしていただければというふうに思っております」と挨拶している。「議論はしたが無視をした」ではすまされない問題である。環境副大臣の発言どおり、ただちにすべての石綿疾病を指定すべきではないか。
(三) 「石綿による健康被害の救済に関する法律」の立法趣旨は、重篤な患者のみを救済するのではなく、労災が適用されない石綿による被害者をすき間なく救済するものであると解すべきではないのか。重篤な病態、すなわち石綿肺の著しい呼吸機能障害のみを救済の対象とするのは適当でなく、石綿疾病すべてを救済対象とすべきではないか。
(四) 患者と家族の会は、前記の抗議文において「石綿肺の合併症について、救済給付の医養費のみで、療養手当が支給されないという制度設計も許されない。同じ石綿肺・合併症の被害者なのに、身分(労働者・事業者)が違うばっかりに、労災なら療養補償と休業補償が支給されるのに、救済給付は医療費のみで療養手当が支給されないのは、明らかな差別だからである。」と指摘している。石綿肺の合併症などの療養休業患者についても、療養手当を含む救済給付を支給すべきではないか。
(五) 石綿にばく露した建設作業者などは、労働者について労災給付、事業者について救済給付を支給すべきであるが、石綿肺の管理区分・合併症の判定に関して差別が発生したり、同じ石綿疾病について、医療現場に二重基準を持ち込んで混乱をきたしたりするのは適当でない。環境省の救済給付についても、厚生労働省のじん肺管理区分制度を活用するのが適当ではないか。
(六) 救済給付における石綿肺の判定のため、石綿へのばく露の確認を行うとされたこと、公害健康被害補償不服審査会の二〇〇九年三月十九日の裁決(平成十九年第十四号事件)において、石綿へのばく露歴かつ胸膜肥厚斑がある肺がん事案を救済していることから、必ずしも医学的要件が整わない肺がんについても、石綿へのばく露を確認して救済すべきではないか。

 右質問する。



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