衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十二年三月二十三日提出
質問第二九七号

児童虐待防止に関する質問主意書

提出者  秋葉賢也




児童虐待防止に関する質問主意書


 平成十九年の児童虐待防止法の改正により、児童の安全確認等の立入調査に関する都道府県等の権限が強化され、平成二十年四月より施行されている。全国の児童相談所における児童虐待相談の対応件数も、児童虐待防止法施行前の平成十一年度に比べて、平成二十年度では三.七倍に増加しており、ある程度の効果があったことがうかがえる。それにもかかわらず、虐待によって児童が死亡するという痛ましい事件が後を絶たない。このため、児童虐待防止法等の運用上の問題点を明らかにし、今後の対策強化の方向性を明らかにする必要があると考える。

一 児童相談所及び市町村における、児童虐待通告受理後の安全確認措置の義務化に関連して、以下の点についてうかがう。
 1 法的措置が強化されたにもかかわらず虐待による児童の死亡が相次いでいることについて、政府の見解をうかがいたい。また、現状を改善するために、法的措置に一層の実効性を持たせる必要があると思われるが、具体的な強化策は検討しておられるか。併せてお答え頂きたい。
 2 児童虐待事例に関する市町村と児童相談所の役割分担について、文書で取り決めがなされている市町村が八.五%、文書ではないが一応取り決められている市町村が二〇.四%で、ケース・バイ・ケースの対応になっている市町村が七一.二%にのぼる。市町村と児童相談所の連携を明確にするべきだと考えるが、政府としての見解と対策を明示されたい。
 3 市町村に設置されている「子どもを守る地域ネットワーク」の調整機関に、児童福祉司と同様の資格を有する者を配置している市町村は、平成二十一年四月現在、一四.二%にすぎない。児童虐待の通告があった際、ハイリスク事例であるか否か、直接目視による安全確認で児童虐待であるか否か、親子分離が必要であるか否か、等について判断できる人材が市町村に乏しいという、体制の不備を是正することが児童虐待の防止には必要だと考えるが、見解及び対策をうかがいたい。
 4 ケースの進行管理台帳を作成している「子どもを守る地域ネットワーク」は平成二十一年四月現在、六七.二%である。児童虐待防止には、個々のケースを継続的に調査する必要があると考えるが、この数値に対する政府の見解及び対策をうかがいたい。
二 立入調査、出頭要求・再出頭要求及び裁判所の許可状に基づく臨検捜索(以下、「立入調査等」)を行う意思が児童相談所にあっても、警察・裁判所が明らかに児童虐待であると認める客観的事実がなければ、これを実行に移すことは困難である。特に、ネグレクト(育児放棄)や性的虐待など外部から事実確認を行うことが困難な事例では、対応が後手に回ってしまうことが懸念される。
 1 児童相談所から裁判所に対する、児童虐待事例にかかる臨検捜索の許可状申請件数及び申請許可件数(申請不許可件数を含む)をお示し頂きたい。
 2 「児童虐待の疑い」のある段階での立入調査等の実施に関する、厚生労働省、警察庁、法務省の見解をうかがいたい。
 3 児童相談所が行う、立入調査等に対する都道府県警察の支援・協力体制の現状及び今後の方針をお示し頂きたい。
 4 児童相談所からの臨検捜索にかかる許可状申請に対して、裁判所はどのような審査体制を採っていると政府は承知しているのか。
 5 児童福祉法第六十一条の五に定める、正当な理由なく立入調査を拒否した場合の罰則の適用状況をお示し頂き、併せて政府の見解をうかがいたい。
 6 正当な理由なく立入調査を拒否した保護者等に対する罰則が、平成十九年の児童福祉法改正で強化された。この周知徹底を図ることが、児童虐待を未然に防ぐには有効であると考える。周知を図るために、政府はどのような取組をしているのか。また、今後どのように周知を図っていくつもりか。
三 平成二十年の児童福祉法改正により、生後四ヶ月までの新生児がいる全家庭を訪問する「乳児家庭全戸訪問事業」と、健診未受診児がいる家庭等に対する「育児支援訪問事業」が法定化され、平成二十一年四月より施行されている。
 1 平成二十一年七月現在、「乳児家庭全戸訪問事業」が実施されている市町村は千五百十二、「育児支援訪問事業」が実施されている市町村は九百六十六で、それぞれ約八四%、約五五%の実施率にとどまっている。これらの事業が法定化されたにもかかわらず両事業が全市町村で実施されていないことに対する、政府の見解及び、未実施の市町村への対策についてうかがいたい。
 2 市町村によっては、「乳児家庭全戸訪問事業」及び「育児支援訪問事業」の担当者が、両事業と児童虐待防止対策の関係を十分に把握しているとは言い難い状況がある。これら担当者に対して、児童虐待防止対策に関する研修・講習はどの程度実施されているか。実施されているのならば、開催頻度、内容等を、実施していないのならば、今後導入する見込みがあるかをうかがいたい。
 3 「乳児家庭全戸訪問事業」及び「育児支援訪問事業」では、新生児がいる家庭には保健師、看護師、保育士等が訪問することとなっている。これらの者に対して、児童虐待防止対策に関する研修・講習はどの程度実施されているか。実施されているのならば、開催頻度、内容等を、実施していないのならば、今後導入する見込みがあるかをうかがいたい。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.