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平成二十二年六月七日提出
質問第五四五号

外務省が公表した「外交文書の欠落問題に関する調査委員会」の調査報告書に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




外務省が公表した「外交文書の欠落問題に関する調査委員会」の調査報告書に関する質問主意書


 昨年九月十六日、岡田克也外務大臣は、外務省において「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会」(以下、「委員会」という。)を立ち上げ、いわゆる密約(以下、「密約」という。)があったと言われている、
@ 一九六〇年一月の安保条約改定時の、核持ち込みに関する密約
A 同じく、朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関する密約
B 一九七二年の沖縄返還時の、有事の際の核持ち込みに関する密約
C 同じく、原状回復補償費の肩代わりに関する密約
の四点につき、徹底した調査を命じる大臣命令を同省に出し、本年三月九日、「委員会」による「密約」に関する調査結果をまとめた報告書を公表している。本年三月十九日、四月二日に行われた、「密約」に関連した衆議院外務委員会での参考人質疑では、「密約」に関連した文書が外務省からなくなっていることに大きな疑問の意見が出されていた。また、右のCの密約に関連した文書を巡る情報公開訴訟に関し、本年四月九日、東京地方裁判所は、Cの密約の存在を認めた上で、国が「関連文書が存在しない」ことを理由に情報不開示とした処分を取り消し、開示を命じる判決を言い渡した。右判決に関し、岡田大臣は四月九日の記者会見で、「控訴する可能性がある」とし、同月二十二日、東京高裁に控訴を申し立てている。同時に岡田大臣は、右を受けて「外交文書の欠落問題に関する調査委員会」(以下、「調査委員会」という。)を立ち上げており、その調査報告書(以下、「報告書」という。)が六月四日に公表された。「報告書」によると「調査委員会」は、
1 東郷和彦・元外務省条約局長が国会等で発言した赤ファイル等及び引き継ぎメモの存否と行方
2 情報公開法施行前の外務省の組織的・意図的な文書廃棄の事実の有無
3 吉野文六・外務省アメリカ局長とスナイダー駐日米国公使がイニシャルした「議論の要約」等、沖縄返還「密約」に関する文書の行方
の三点に関する調査をしたとのことである。そしてそれぞれについて、「調査委員会」は以下の様な見解を示している。
1について
 「東郷氏が指摘している赤ファイル等については、東郷氏本人以外に知る者がなく、その存在を確認することはできなかった。」
 「東郷氏から谷内氏に対して条約局長室内の資料が引き継がれたという点では、双方の説明は合致している。」
 「東郷氏によると、赤ファイルの中には『クロノロジー 松永局長作成』といった原義も一部含まれていたという。東郷氏の記憶が正確であり、本来保存されるべき原義が廃棄あるいは紛失してしまったとすれば、極めて遺憾なことである。しかし、東郷氏以外にその原義を確認した者、記憶する者はいなかったため、真相は不明である。」
2について
 「本来保存すべき重要文書の組織的・意図的な廃棄が行われたかといえば、本調査委員会の聴き取りでも、また外務省内の現存文書からも、そういった試みを示唆するような説明や文書は確認されなかった。」
 「ただ、情報公開法施行への対応作業は、極めて短期間のうちに、かつ本来業務と並行して行われた。こういった中で、意図的ではないにせよ、不用意な文書廃棄が行われ、いわゆる『密約』関連文書を含む重要文書が失われた可能性は排除できない。」
3について
 「本件文書『議論の要約』等は、当初から原義が日本側にあったのか、必ずしも明らかではない。」
 「また、写しは取ったにせよ、それがどこで保管されたのかも定かでない。保管中に失われたとすれば、保管が適切になされなかったことは問題であるが、そもそも正規の決裁を得ていないと推測される本件文書がいずれかの段階で廃棄された可能性も否定はできない。仮に、それが写しであったとすれば、必ずしも違法とは言えない。ただし、本件は当時の報道等により、当初から『密約』問題として注目されていたわけであり、たとえ写しであったとしても、それを適切に保存しなかったことは大きな問題であったと言えよう。」
 そして、「W おわりに 〜外交文書はなぜ失われたのか」とのタイトルで、
(1)各課室における文書管理の自由裁量
(2)担当官中心の文書管理体制と引き継ぎルールの欠如
(3)各課室の文書管理に対するチェック体制の限界
(4)「廃棄簿」(廃棄文書目録)の保存期限の問題
の四点を、外務省における文書管理体制の問題点として挙げ、総括している。右を踏まえ、質問する。

一 「報告書」によると、「調査委員会」による調査の対象となった人物は、事務次官経験者二名、条約局長経験者四名、北米局長(アメリカ局長)経験者四名(重複あり)をはじめとする十五名であるとのことであるが、右十五名のうち、現職の外務省職員と既に外務省を退職している者は、それぞれ何名いるか明らかにされたい。
二 一の十五名の官職氏名(外務省を退職している者については退職時の官職)を全て明らかにされたい。
三 一の十五名に対する聴き取り調査を記録した文書は作成されているか。
四 外務省として、「調査委員会」による「報告書」をもって、「密約」に関連した調査及び真相解明は全て終了しており、国民の理解を得られるものであると認識しているか。
五 前文で触れた様に、「報告書」は外務省における文書管理体制について種々の問題点を指摘しているものの、「密約」に関連した文書がなぜなくなっているのか、その真相解明には全く至っていないと考える。本年四月二日の衆議院外務委員会で、参考人として出席した坂元一哉大阪大学教授と春名幹男名古屋大学教授は、それぞれ「あるべき文書がない。不自然な欠落、残念な欠落があり、歴史の検証として真相究明を是非やってほしい。外務省のためにもなる」、「今回の調査は終わっていない。文書がそろっていなかった。不自然で、意図的な廃棄があったのなら、その動機を言わなければならない」と発言していた。同省として、今後も究極的な問題の解決を図る、つまり、「密約」に関連した文書がなぜ廃棄されているのか、また廃棄した者は誰か等を突き詰めるべく、努める考えはあるか。

 右質問する。



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