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平成二十二年六月十四日提出
質問第五八六号

学術文化遺産の戦後処理問題解決に関する再質問主意書

提出者  吉井英勝




学術文化遺産の戦後処理問題解決に関する再質問主意書


 本年一月十八日に提出した質問主意書(質問第一号)で、戦前の日本が植民地支配をしていた当時、諸外国・諸地域から正当な手続きを経ずに持ち帰った文化的遺産があり、その実態を明らかにすることを求めた。あわせて、公開や返還を進めることが学術文化分野の戦後処理問題の解決につながることを示し、返還についての政府の見解を質した。ところが政府は問題に正面から全く向き合うこともせず、「お答えすることは困難である」という答弁書を閣議決定した。
 よって、次のとおり質問する。

(一) 植民地統治下に日本国内に持ち込まれた文化的遺産の所在、点数などの実態調査は、政府として行う必要はないという認識か。
(二) 戦前の東京帝国大学、京都帝国大学を中心として、朝鮮半島で遺跡等の調査が行われている。この時に出土した資料は日本国内に持ち込まれていないのか。また、そのまま日本国内に残っているものはあるのか、ないのか。残っているものがあれば、その名称と所在を出土場所等とあわせて示されたい。「調査に時間を要する」「修正作業が膨大」等の場合は、主なものを示されたい。
(三) 東京大学、京都大学に残っている資料があるとすれば、なぜ所蔵し続けてよいのか。返還する必要はないのか。
(四) 朝鮮総督府は、日本が「韓国併合」した朝鮮を支配するために置いた機関である。朝鮮総督府および朝鮮総督府博物館は遺跡等の調査を行っていると思うが、その具体的な内容(調査代表者、調査対象、主な出土資料、資料所蔵の場所等)を明らかにされたい。
(五) 文部科学省が私に提出した資料によれば、東京国立博物館は、新羅の有力者の墓と考えられる梁山夫婦塚(慶尚南道梁山郡梁山面)から出土した冠をはじめ、百七十五件の資料を収蔵していることになっている。これらはどのような経緯で日本に持ち込まれたのか。詳細に答えられたい。
(六) 梁山夫婦塚出土品以外に、東京国立博物館が所蔵する資料のうち、朝鮮総督府統治時代に朝鮮半島で収集し日本に持ち込まれたものはないのか。明らかにされたい。「調査に時間を要する」「修正作業が膨大」等の場合は、主なものを示されたい。
(七) 梁山夫婦塚出土品を含め東京国立博物館が所蔵する資料のうち、朝鮮総督府が関わったこれらの資料は現在すべて公開され、外国人を含め来館者が誰でも自由に見ることができるようになっているのか。自由に見ることができないのであれば、その根拠となっている法令等を示されたい。
(八) 梁山夫婦塚出土品を含め東京国立博物館が所蔵する資料のうち、朝鮮総督府が関わった資料は返還する必要はないのか。必要がないとすれば、その理由を明らかにされたい。
(九) 東京大学は、十四世紀から十九世紀までの朝鮮王朝の公式記録で、歴代国王の業績を記録した「朝鮮王朝実録」四十七冊を二〇〇六年七月十四日にソウル大学に引き渡したと聞く。これは「返却」ではなく、「引き渡し」なのか。
 東京大学にあった朝鮮王朝実録は、どのような経緯で持ち込まれたのか明らかにされたい。また、なぜ引き渡すことになったのか、その経緯と理由を明らかにされたい。
(十) 宮内庁書陵部には、李氏朝鮮時代の王室の行事や儀式を表した「朝鮮王室儀軌」が所蔵されている。朝鮮王室儀軌が日本に持ち込まれたのはいつで、なぜ持ち込まれたのか。理由と経緯を明らかにされたい。また、現在なぜ宮内庁が所蔵しているのか。
(十一) 朝鮮王室儀軌の日本への持ち込みに際し、朝鮮総督府はどのように関与したのか。詳細に示されたい。
(十二) 朝鮮王室儀軌を含め、朝鮮総督府が関わって持ち込まれ、宮内庁が所蔵しているものは何件、何冊あるのか。表題とともに示されたい。また、朝鮮王室儀軌等のこれら資料は、自由に閲覧ができるのか。自由な閲覧ができないとすれば、その理由は何か。
(十三) 一八九五年、日本の軍人らに殺害された朝鮮国王の妃・閔妃(諡号は明成皇后)の国葬を記録した儀軌の表題は何か。
(十四) 第三代の韓国統監に就任した寺内正毅は、朝鮮王室(資料によっては韓国皇室)をどのように処遇しようとし、その結果どうなったか。
(十五) 「李王職」とは当時の宮内省の管轄下に置かれていたのか。また、李王職とは具体的にどういう職務を行い、いつからいつまで存在したのか。年月日を西暦で示されたい。
(十六) 李王職の職務には朝鮮王室儀軌を含め、朝鮮王室の財産(文化的遺産を含む)の管理が入っていたのか。管理財産の主なものにはどういうものが入っていたのか。
(十七) 李王職職員はどこに居住し、どこで働いていたのか。住所・所在地を明らかにされたい。
 また、勅奏任官の出張については、李王職長官から宮内大臣に朝鮮総督府の総督を経由して行うこととされていたと思うが、どのような手続きがとられたのか。
(十八) 終戦時に、李王職はどのように扱われたのか。また、李王職が管理していた財産は、日本政府によってすべて韓国側へ返還されたのか。
(十九) 李王職に関する文書は、現在どこに保存・保管されているのか。

 右質問する。



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