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平成二十二年八月二日提出
質問第二〇号

取調べの全面可視化実現に向けた菅直人内閣の取り組みに関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




取調べの全面可視化実現に向けた菅直人内閣の取り組みに関する質問主意書


 本年四月九日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一七四第三三〇号)では、警察、検察による容疑者への取調べを録音、録画等の方法により可視化することについて、「被疑者の取調べを録音等の方法により可視化することについては、その実現に向けて取り組むこととしており、法務省内に勉強会等を設けて、精力的に議論・検討を進めているところである。今後も、引き続き、着実にその検討を進めていきたいと考えている。」、「被疑者の取調べを録音等の方法により可視化することについては、実務上の課題や、可視化の影響にかかわる種々の指摘について、より精緻な議論、検討が必要であると考えている。そのため、法務省内の勉強会、国家公安委員会委員長の研究会等において、幅広い観点から着実に検討を進めている段階である。法務省内の勉強会等においては、取調べの録音・録画の導入に関する当面の主な論点について整理し、その論点に沿って、検討の過程で新たに生じた論点も加味しながら、順次検討を進めるとともに、その内容を踏まえて調査する事項について整理することとしており、これに基づき諸外国の調査等を行うこととしている。」との答弁がなされている。右を踏まえ、質問する。

一 菅直人内閣総理大臣として、取調べの可視化について、その必要性、意義等、どの様な見解を有しているか説明されたい。
二 本年六月十八日、かねてより取調べの可視化について検討してきた法務省は、全ての事件における捜査を可視化することは困難だとする中間報告を公表している。右は、政府としていかなる観点から全面的な可視化は難しいとするものであるのか、その趣旨を説明されたい。
三 一九九〇年、栃木県足利市で当時四歳の女児が殺害されたいわゆる足利事件で容疑者とされ、無期懲役が確定し、服役中だった菅家利和氏が、女児の下着に付着していた体液のDNA型が菅家氏のものとは一致しないとの鑑定結果が出たことを受け、昨年六月四日、千葉刑務所から釈放された。足利事件の再審の第五回公判が本年一月二十二日、宇都宮地裁で開かれ、その際、当時菅家氏の取調べを担当した森川大司元検事も出廷した。更に三月二十六日午前の公判では、佐藤正信裁判長は菅家氏に対して無罪を言い渡し、検察側は判決後に上訴権放棄を申し立て、菅家氏の無罪が確定した。右を受け、千葉景子法務大臣は同日、閣議後の記者会見で「こういうことがないようにさまざまな法的、制度的な検討をしなければいけない。可視化の問題やDNA鑑定のあり方とか、措置すべきものがあれば対応していかなければと思う」と述べていると承知する。また一九六七年に茨城県利根町布川で、当時六十二歳の男性が殺害されたいわゆる布川事件の犯人とされ、強盗殺人罪等で無期懲役が確定し十八年間服役したものの、昨年十二月、最高裁判所により再審開始が決定された件につき、本年七月三十日、犯人とされた桜井昌司氏と杉山卓男氏の第二回再審公判が水戸地裁土浦支部で行われた。神田大助裁判長は、検察側が申請していたDNA型鑑定を棄却し、桜井氏、杉山氏に対して無罪判決が言い渡される公算が高くなっている。この様な冤罪事件が近年相次いでいるが、これらも全て、取調べに際して警察、検察に脅迫的、威圧的な尋問を受け、やむにやまれず自白してしまったケースがほとんどである。このことを考えると、取調べの一部のみを可視化するだけでは不十分であり、真に冤罪防止を図るならば、全面的に可視化することが絶対に必要であると考える。千葉大臣、中井洽国家公安委員会委員長、そして菅総理として、右につきどの様に考えるか。
四 菅総理として、取調べの全面可視化の実現に向け、今後どの様に取り組む考えでいるのか説明されたい。
五 取調べの全面可視化と並び、被疑者ではない将来参考人、証人となる人物に対する聴取についても、録音、録画する等の措置をとることが必要であると考える。本年三月五日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一七四第一七一号)では、過去に四名の検察官が、取調べの相手方に暴行を加える等の行為を働き、懲戒処分又は法務省の内規に基づく処分を受けていることが明らかにされている。また同月三十日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一七四第二七二号)では、右四名のうち、@平成五年十月、取調べの相手方二名にそれぞれ足蹴りするなどの暴行を加えて傷害を負わせ、同年十一月に免職処分を受けた検察官と、A平成二年七月、取調べの相手方の顔を突き上げる暴行を加えて傷害を負わせ、平成六年六月に停職三カ月の処分を受けた検察官の二名が、被疑者ではなく参考人として聴取を受けた者に対し、右の様な暴行を加えていたことが明らかにされている。この様に、本来何の咎めも受けるべき立場にない人物に対しても非道な行為が行われていたことが明らかになった今、被疑者だけではなく、将来参考人、証人となる人物に対する聴取も同様に全面可視化することが絶対に必要であると考えるが、菅総理の見解を示されたい。

 右質問する。



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