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平成二十二年十月一日提出
質問第一九号

地球温暖化対策基本法案についての政府の認識に関する質問主意書

提出者  近藤三津枝




地球温暖化対策基本法案についての政府の認識に関する質問主意書


 平成二二年五月一四日の衆議院環境委員会(以下「当日の委員会」という。)において、私は最後の質問で、政府提案の地球温暖化対策基本法案についての問題点を具体的に挙げた上で、「不備のある法案を、小沢環境大臣は、このまま法案の修正をせずに国会を通そうとしているのか、または見直しを考えているのか、お答えください」と質問した。
 これに対して、小沢鋭仁環境大臣(当時)は次のように答弁した。
 「幾つか論点があったと思います。委員には大変申し上げづらいんですけれども、実は、先ほどの風力発電の委員の使われた数字も、二〇〇〇年三月、NEDOの推計値でございまして、現段階ではポテンシャルは七千万から三億キロワットある、こういうふうなのが今日の推計値になっております。その委任政令も、平成三年三月四日の話でありまして、その後、この委員会で委員自身が御質問された、いわゆる法制局の答弁は四月の二日でございまして、その中では政令の委任として許される範囲のものであると法制局が答弁をしているわけでありまして、そういった意味においては、若干申し上げづらいんですが、いずれにおいても、少し古過ぎるデータをもとに議論をされているのではないか、こういうふうに思います。でありますので、新しいデータに基づいてつくらせていただいたこの法案は、今、変更する予定はございません」
 このように小沢大臣は、地球温暖化対策基本法案の修正、見直しを行う意思のないことを鮮明にされた上で、その理由として、私が一連の法案審議の質問のなかで用いてきたデータや過去の法制局長官の国会答弁が「古過ぎる」ことを挙げているが、これは到底納得しがたいものである。よって、ここで改めて、前記の答弁(以下「大臣答弁」という。)に現れた問題点を指摘しながら、同法案に関する政府の認識に関し、以下の三点について質問し、明解な答弁を求める。

一 我が国の風力発電のポテンシャル量について
 第一点は、大臣答弁の中の「現段階ではポテンシャルは七千万から三億キロワットある」という指摘である。これは、当日の委員会における私の質問の中の「小沢試案では、二〇二〇年の風力発電の導入量について、二〇〇五年の百九万キロワットから千百三十一万キロワットと十倍に増加させるというふうにしています。我が国の陸上での風力発電は六百四十万キロワットが限界とされています」との発言に対して、六百四十万キロワットという数値が「少し古過ぎるデータをもとに議論をされている」と反論されたものと理解している。しかしながら、私の質問の六百四十万キロワットの数値は、わが国の土地利用、環境条件などを加味した現実的な陸上での風力発電量の上限値であり、NEDOが推計した数値である。これに対し、大臣答弁の七千万から三億キロワットという数値は、現実的な陸上での風力発電とは異なるものであり、両者は比較するに値するものではなく、とても真摯な国会での大臣答弁と言えるものではないと考える。そこで、この点に関して具体的に以下の二点について、質問する。
 @ 一つは、大臣答弁の中の「現段階ではポテンシャルは七千万から三億キロワットある」との指摘について、その根拠を改めて示すとともに、この値はどのような形でこれまでに公表されたデータであるのか、を明らかにされたい。また、地球温暖化対策基本法案に示されている再生可能エネルギーの二〇二〇年目標値に大きな影響を及ぼす我が国の風力発電のポテンシャル量について、「現段階ではポテンシャルは七千万から三億キロワットある」と国会で小沢大臣が答弁するからには、この数値について、国会の場で議論できる信頼性の高い数値とするために、これまで中央環境審議会などでどのような審議がなされてきたのか、説明されたい。
 A もう一つは、いわゆる小沢試案に示されている「風力発電、二〇二〇年の導入量千百三十一万キロワット」という値と、大臣答弁にある「現段階ではポテンシャルは七千万から三億キロワット」という値には、約七倍から二十九倍もの大きな開きがある点である。ポテンシャルが大きいと言ってもただちに風力発電の導入量が拡大するとは言えないと考えるが、小沢試案の値と大臣答弁のポテンシャルの値の算定の考え方について、具体的に説明されたい。
二 政令委任に関する憲法解釈の変更について
 第二点は、大臣答弁の中で言及された「その委任政令も、平成三年三月四日の話でありまして、その後、この委員会で委員自身が御質問された、いわゆる法制局の答弁は四月の二日でございまして、その中では政令の委任として許される範囲のものであると法制局が答弁をしているわけでありまして、そういった意味においては、若干申し上げづらいんですが、いずれにおいても、少し古過ぎるデータをもとに議論をされているのではないか、こういうふうに思います」との発言である。私が、本年四月二日の衆議院環境委員会でも、当日の委員会でも、平成三年三月四日の当時の法制局長官の答弁をもとに政令委任の憲法解釈の質問をしていたのは事実であるが、これを指し、この政令委任に関する憲法解釈が「古過ぎるデータ」をもとにした議論と答弁されるのであれば、平成三年三月四日以降に、憲法で許される政令委任の範囲の憲法解釈が、いつ、誰によって、どのように変更されたのか、具体的に答弁されたい。
三 先の通常国会で廃案となった地球温暖化対策基本法案の抜本的な見直しについて
 第三点は、大臣答弁の中の「新しいデータに基づいてつくらせていただいたこの法案は、今、変更する予定はございません」と明言していることである。しかし、小沢試案は、上記の第一点目の質問に示したように、環境省として責任を持って算定したとは言えないものである。さらに、上記の第二点目の質問に示したとおり、十年後の二〇二〇年までに一九九〇年に比べて温室効果ガスを二十五%削減するという国民生活、日本経済に大きな影響を及ぼす国家目標を、国会の議を経ずに、政令に委ねて決定するという、日本国憲法第四十一条にも抵触するものである。このようなことから、先の通常国会で廃案となった地球温暖化対策基本法案については、根本的に再検討する必要があると考えるが、改めて次の点について、政府の見解を示されたい。
 @ 鳩山前内閣総理大臣が掲げた「二〇二〇年までに一九九〇年比二十五%削減」という温室効果ガスの削減目標は、その実現に向けての体制づくりからすでに足踏みの状態であり、到底実現可能性のある目標ではなくなっている。こうなった以上、政府は、世界に向けて謝罪した上、この目標を撤回するつもりはないか。
 A 廃案となった地球温暖化対策基本法案策定の基礎となった数値データについて、与野党の国会議員、専門家等からなる検証の場を設けるつもりはないか。
 B 今後、地球温暖化対策基本法案を再提出する場合には、客観的学問的な裏付けのある数値データを基礎とするとともに、提出と同時に、国会に対してそれらのデータをすべて提示するつもりはないか。また、温室効果ガス削減に関する中長期的目標の実施期日を法律で定めることとするつもりはないか。

 右質問する。



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