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平成二十二年十月二十日提出
質問第七三号

被疑者自身による取調べの可視化の要請に関する再質問主意書

提出者  浅野貴博




被疑者自身による取調べの可視化の要請に関する再質問主意書


 「前回答弁書」(内閣衆質一七六第四二号)を踏まえ、再質問する。

一 現在、検察庁、警察庁においても、取調べの一部を録音、録画する可視化措置(以下、「可視化措置」という。)が実施されていると承知する。右に関し、前回質問主意書で、被疑者となった者が可視化を拒否した場合、「可視化措置」を行わないことは可能か等と問うたところ、「前回答弁書」では「検察及び警察当局においては、その裁量により、裁判員裁判において、自白の任意性に関し、裁判員にも分かりやすく、効果的・効率的な立証を遂げるなどのため、裁判員裁判対象事件に関し、取調べの機能を損なわない範囲内で、被疑者の取調べのうち相当と認められる部分の録音・録画を実施又は試行しているものと承知している。この録音・録画の実施又は試行においては、被疑者が録音・録画を拒否した場合には、これを行わないこととしているものと承知している。」との答弁がなされている。右答弁の「被疑者が録音・録画を拒否した場合には、これを行わないこととしている」について、それが認められる法令上の根拠は何か、再度説明を求める。
二 「可視化措置」に関連し、一般にその対象外の取調べの過程において、被疑者よりその様子を録音、録画して可視化することの依頼があった場合、それは認められるか、認められるならば、その法的根拠は何か、または認められないならば、その法的根拠は何かと前回質問主意書で問うたところ、「前回答弁書」では「御指摘の場合において、録音・録画を実施するかどうかは、取調べを行う検察官又は司法警察職員において、取調べの機能を損なうおそれ、関係者の名誉及びプライバシーの侵害、罪証隠滅のおそれ等を考慮し、事案に応じて、適切に判断しているものと承知している。」との答弁がなされている。右答弁は、被疑者より「可視化措置」の対象外の過程における可視化の依頼があったとしても、それに応じるか否かは、検察官または司法警察職員の裁量に任されているということか。確認を求める。
三 二で、検察官または司法警察職員の裁量に任されているのなら、それは右の者の恣意的判断によって取調べのあり方が決められるということであり、事件の真相解明を妨げることにもつながりかねないのではないか。政府の見解如何。
四 「可視化措置」の対象外の過程を可視化することにつき、それを禁じる法令はあるか。
五 障害者団体等を対象とした低料金の第三種郵便物制度に係る文書を偽造し、実態のない自称障害者団体「凛の会」に同制度を悪用させたとして、厚生労働省の上村勉元担当係長が昨年逮捕された。右の事件(以下、「文書偽造事件」という。)に絡み、文書偽造を上村元係長に指示したとして、昨年六月に逮捕された村木厚子元同省雇用均等・児童家庭局長の公判が本年九月十日に行われ、無罪判決が下された。右に関し、村木元局長の取調べを担当していた大阪地方検察庁特別捜査部の前田恒彦主任検事が、証拠として押収したフロッピーディスクを改竄したとして、同月二十一日、最高検察庁に逮捕された。また、前田容疑者による証拠改竄を知りながら、その事実を隠蔽していたとして、同地検特捜部前特捜部長の大坪弘道京都地方検察庁次席検事、佐賀元明神戸地方検察庁特別刑事部長が、本年十月一日、犯人隠避罪の容疑で最高検により逮捕された。右に関し、同月四日、佐賀容疑者の弁護人である秋田真志氏が最高検に対し、佐賀容疑者の意向を受け、同容疑者に対する取調べの全過程を録画し、可視化することを求めているが、伊藤鉄男最高検次長検事は、五日記者会見をし、右について「(検察官が)自分が取調べられる時だけ可視化をしろというのはどうかと思う。彼は(取調べの中で)自分を守る方法を一番よく知っているはずで、被疑者の権利を守るための可視化ならば必要はない」と、佐賀容疑者の要請を却下する旨述べている。右につき、「前回答弁書」では「個別具体的な事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄については、答弁を差し控えたい。」との答弁がなされているが、四で、「可視化措置」の対象外の過程を可視化することにつき、それを禁じる法令がないのであれば、伊藤検事が佐賀容疑者の要請を却下できる法的根拠もないことになる。右は、「文書偽造事件」という個別具体的な事件に限らず、広く我が国における検察、警察による取調べのあり方、ひいては刑事事件の解決並びに治安の維持に関わる事柄であると考えるところ、伊藤検事が佐賀容疑者の要請を却下したことは妥当であるのか否か、柳田稔法務大臣の見解を再度問う。

 右質問する。



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