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平成二十二年十一月十六日提出
質問第一七三号

仙谷官房長官の「私的メモ」の定義に関する質問主意書

提出者  中川秀直




仙谷官房長官の「私的メモ」の定義に関する質問主意書


 行政文書を「私的メモ」として情報公開の対象外とすることは、重大な問題であると考える。
 従って、本年十一月九日に行なわれた衆議院予算委員会の審議で、仙谷官房長官が「望遠レンズで盗撮されたようです」と発言した「政府として映像を一般公開した場合の検討(尖閣ビデオ関連)」と題する文書(以下、「当該文書」)について仙谷官房長官は「私的メモ」と位置付けている。この件について下記の質問をする。

一 『内閣官房における情報公開法に基づく処分に係る審査基準』(平成十三年三月三十日)は「第2 行政文書該当性の判断基準」において、開示請求の対象が『行政機関の保有する情報の公開に関する法律』第二条第二項に規定する「行政文書」に該当するかどうかの判断基準を定めている。そこで、下記について質問する。
 (一) 本年十一月十二日衆議院内閣委員会において仙谷官房長官は「当該文書」を作成したのは「官房長官のスタッフ」と答弁しているが、「当該文書」作成者の所属と役職を明らかにされたい。作成者は勤務時間内に作成したものか。政府所有のコンピューター等を用いて作成したものか。職務上作成したものか。作成者は、誰からどのような指示を受けて、文書を作成したのか。
 (二) 「第2 行政文書該当性の判断基準の1」は「「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した」とは、行政機関の職員が当該職員に割り当てられた仕事を遂行する立場で、すなわち公的立場において作成し、又は取得したことをいい、作成したこと又は取得したことについて、文書管理のための帳簿に記載すること、収受印があること等の手続的な要件を満たすことを必要とするものではない。」とある。この条項に照らして、「当該文書」は「行政文書」に当たるか。「行政文書」に当たらない場合にはその理由を明記されたい。
 (三) 「第2 行政文書該当性の判断基準の2」は「「文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)」とは、行政機関において現に事務及び事業において用いられている記録の形式を網羅するものである。「文書、図画」とは、人の思想等を文字若しくは記号又は象形を用いて有体物に可視的状態で表現したものをいい、紙の文書のほか、図面、写真、これらを写したマイクロフィルム等が含まれる。「電磁的記録」とは、電子計算機による情報処理の用に供されるいわゆる電子情報の記録に限られず、録音テープ、ビデオテープ等の内容の確認に再生用の専用機器を用いる必要のある記録も含まれる。また、電子計算機による情報処理のためのプログラムについても、電磁的記録に該当する。なお、「電磁的記録」には、ディスプレイに情報を表示するため一時的にメモリに蓄積される情報、ハードディスク上に一時的に生成されるテンポラリファイル等は含まれない。」とある。この条項に照らして、「当該文書」は「行政文書」に当たるか。「行政文書」に当たらない場合にはその理由を明記されたい。
 (四) 「第2 行政文書該当性の判断基準の3」は、「「当該行政機関の職員が組織的に用いるもの」とは、作成又は取得に関与した職員個人の段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該行政機関の組織において、業務上必要なものとして、利用又は保存されている状態のものを意味する。したがって、@職員が単独で作成し、又は取得した文書であって、専ら自己の職務の遂行の便宜のためにのみ利用し、組織としての利用を予定していないもの(自己研鑚のための研究資料、備忘録等)、A職員が自己の職務の遂行の便宜のために利用する正式文書と重複する当該文書の写し、B職員の個人的な検討段階に留まるもの(決裁文書の起案前の職員の検討段階の文書等。ただし、担当職員が原案の検討過程で作成する文書であっても、組織において業務上必要なものとして保存されているものは除く。)等は、「組織的に用いるもの」には該当しない。作成又は取得された文書が組織的に用いるものに当たるかどうかの判断は、@文書の作成又は取得の状況(職員個人の便宜のためにのみ作成又は取得するものであるかどうか、直接的又は間接的に当該行政機関の長等の管理監督者の指示等の関与があったものであるかどうか)、A当該文書の利用の状況(業務上必要として他の職員又は部外に配付されたものであるかどうか、他の職員がその職務上利用しているものであるかどうか)、B保存又は廃棄の状況(専ら当該職員の判断で処理できる性質の文書であるかどうか、組織として管理している職員共用の保存場所で保存されているものであるかどうか)などを総合的に考慮して行う。また、組織として共用文書たる実質を備えた状態になる時点としては、当該組織における文書の利用又は保存の実態により行うものとし、例えば、@決裁を要するものについては起案文書が作成され、稟議に付された時点、A会議に提出した時点、B申請書等が行政機関の事務所に到達した時点、C組織として管理している職員共用の保存場所に保存した時点等が挙げられる。」とある。
  この条項に照らした場合、官房長官が「当該文書」作成を指示したことは「直接的又は間接的に当該行政機関の長等の管理監督者の指示等の関与があったものである」と判断され、衆議院予算委員会において仙谷官房長官が「当該文書」を用いて菅内閣総理大臣に説明していることは、「当該文書」の利用の状況として、「業務上必要として他の職員又は部外に配付されたものであるかどうか、他の職員がその職務上利用している」と判断されると考える。この条項に照らした場合、「当該文書」は「行政文書」に当たるか。「行政文書」に当たらない場合にはその理由を明記されたい。
 (五) その他、「第2 行政文書該当性の判断基準の4〜6」の条項に照らして、「当該文書」は「行政文書」に当たるか。「行政文書」に当たらない場合にはその理由を明記されたい。
二 『内閣官房における情報公開法に基づく処分に係る審査基準』(平成十三年三月三十日)は「第3 不開示情報該当性の判断基準」において、開示請求に係る行政文書に記録されている情報が不開示情報に該当するかどうかの判断基準を定めている。そこで、下記について質問する。
 (一) 第3 不開示情報該当性の判断基準の1は、個人に関する情報(『行政機関の保有する情報の公開に関する法律』第五条第一号)についての判断基準を定めている。この条項に照らして、「当該文書」は不開示情報に該当するといえるか。
 (二) 第3 不開示情報該当性の判断基準は、3において、国の安全等に関する情報(『行政機関の保有する情報の公開に関する法律』第五条第三号)、4において、公共の安全等に関する情報(同法第五条第四号)、5において、審議、検討等情報(同法第五条第五号)、6において、国の機関又は地方公共団体が行う事務又は事業に関する情報(同法第五条第六号)についての判断基準を定めている。この条項に照らして、「当該文書」は不開示情報に該当するといえるか。その場合、「当該文書」は「私的メモ」といえるか。
三 その他、『行政機関の保有する情報の公開に関する法律』、『内閣官房における情報公開法に基づく処分に係る審査基準』において、「当該文書」が行政文書に当たらないとする根拠があれば具体的に明らかにされたい。
四 「当該文書」が『行政機関の保有する情報の公開に関する法律』、『内閣官房における情報公開法に基づく処分に係る審査基準』に定める行政文書でない場合、官房長官が行政職員に私的文書の作成を命じたことは公私混同ではないか。

 右質問する。



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