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平成二十二年十二月一日提出
質問第二三八号

朝鮮王朝儀軌等の韓国政府への引き渡しに関する質問主意書

提出者  新藤義孝




朝鮮王朝儀軌等の韓国政府への引き渡しに関する質問主意書


 本年十一月十四日、前原外務大臣は金星煥韓国外交通商部長官とともに「日韓図書協定」に署名した。これにより、八月十日に菅総理大臣が「日韓併合百年」の総理談話の中で発表した朝鮮王朝儀軌等の図書の引き渡しについて、日韓両政府が正式に合意したことになる。
 しかし、この図書引き渡しは内容的・手続き的に極めて問題が多く、我が国外交に大きな汚点を残しかねないものである。そこで、日韓図書協定をめぐる政府の対応について、以下に質問する。

一 今回引き渡す朝鮮王朝儀軌等の図書は宮内庁が所管する国有財産である。国有財産の処分に当たっては文化性や学術性、処分の是非等について事前の調査や専門家からの意見聴取が不可欠であるが、政府は協定締結に当たり、このような調査や意見聴取を行ったか。十一月十六日の自民党外交部会では、同様の質問に対して、外務省から、今回引き渡す図書に関する調査等は行っていない、との答弁を得ているが、改めて確認する。
二 政府は今回の協定の意義を、日本と韓国の文化交流・文化協力を通じて両国の友好関係の発展に資すること、と説明している。しかし実際には、日本が韓国に一方的に図書を引き渡す片務的な内容となっている。
 私が知る限りにおいても、現在韓国には、国立中央図書館が保管する数万点の日本の古書や、国家機関である国史編纂委員会に所蔵される対馬藩の宗家古文書約三万点など、日本統治時代に朝鮮総督府を通じて日本側が持ち込み、戦後韓国に置かれたままになっている図書等が数多く残っている。
 1 私が本年十一月十一日、議員会館の自室において外務省にこれら在韓国日本図書の存在について尋ねた際、外務省は、その事実を知らないし、調べてもいない、と答えた。十一月十六日の自民党外交部会においても、外務省は在韓国日本図書の存在を十一月十一日まで知らなかった、とのことであった。政府は、在韓国日本図書の存在を知らず、確認のための調査もしていない状態で韓国との協定を締結したのか。その事実を確認する。
 2 私は十一月十一日の外務省との面談の際、これら在韓国日本図書の存在を図書協定の署名前に、大臣、官邸に伝えるよう申し入れた。外務省事務方はこの事実を大臣、官邸に伝えたか。また外務大臣、官房長官、総理大臣は、十一月十四日の図書協定署名以前に、これら在韓国日本図書の存在を知っていたか。
 3 今回の日本側所有図書の韓国側への引き渡しは、日韓基本条約や文化財協定を前提とするならば、かつての日本統治に対する謝罪やそれに関連付けた財産譲渡であってはならず、未来志向の日韓の協力関係の発展に資するべきものであると考える。すなわち、日韓で締結する協定は今回のような片務協定ではなく、相互協定であるべきであり、日本が所有する韓国図書の引き渡しと同時に、韓国が所有する日本図書についても引き渡しを交渉すべきと考えるが、政府の見解を問う。
三 菅総理は十一月二十九日、日韓・韓日両議員連盟合同総会で「(朝鮮王朝儀軌等の図書を)お返しできるよう(国会承認に)協力していただきたい」と述べた。今回の協定においても、請求権を相互に放棄した一九六五年の日韓基本条約と整合性をとるため「(図書を)引き渡す」との表現になっており、総理の「お返し」という発言は日韓基本条約に反することになる。総理発言の真意は何か。
四 仙谷官房長官は、図書の引き渡しに合意した十一月十四日の署名式、及び、菅総理と李明博大統領の首脳会談に同席した。総理が官邸を離れる際に官房長官もそれに同席するのは極めて異例であり、実際、APEC開催中に行われた他の首脳会談には長官は同席していない。長官はなぜ日韓の首脳会談・署名式に限って同席したのか。その理由と必然性を問う。
五 フランスは、一八六六年に江華島を攻撃し強奪してきた儀軌等の文書を韓国から返還するよう要求されているが、十七年間にわたり拒否している。今回、政府が引き渡し文書の調査も有識者意見聴取も行わず、更には韓国にある日本古書の存在確認もせずに協定締結を行ったことは、国有財産の処分の妥当性と共に、国家主権を軽視したはなはだ遺憾な行為と考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



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