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平成二十三年七月五日提出
質問第二九六号

米先物取引の誘導に関する質問主意書

提出者  木村太郎




米先物取引の誘導に関する質問主意書


 本年三月、東京穀物商品取引所及び関西商品取引所は農林水産省に対し、米先物取引の試験場の認可申請を行い、鹿野農林水産大臣は今月一日、認可すると正式に発表した。この問題は最初に結論ありきであり、十分な検討がなされぬまま認可されると、まさに国民や国会不在の議論になりかねない。民主党政権が昨年行われた参議院選挙の帰趨の鍵となる農村票獲得に向けての選挙対策として導入した戸別所得補償制度は、食糧法の下、需給と価格の安定を図るため、生産調整の基本である生産数量目標の達成を要件としており、また制度自ら米価格を低下させ、その恐怖感から仕方なく加入率が増加している。無理に先物取引によって、ばら撒き政策である戸別所得補償と連動した価格ヘッジを可能とする理由はなく、現行の米政策と矛盾するものである。
 農林水産省の見解は、現物渡しの割合が一割以下とし、投機家によって先物価格が米価格の指標にされるというが、日本国民の主食である米を、米価格の乱高下を招くとも限らない賭博性の高いマネーゲームの対象とすること自体大きな問題であるとともに、生産現場が大混乱する恐れがあり、生産者に及ぼす影響は計り知れないものがある。さらに、時恰も米の主産地が復旧復興に懸命に取り組んでいる最中であり、感情を逆なでするが如き背徳行為は到底許されるべきものではない。
 国が最優先で取り組むべきは商品先物取引法ではなく食糧法であり、生産調整を機軸として米の需給と価格の安定を図り、麦や大豆、米粉・飼料用米、飼料作物などの生産拡大のための総合的な農業政策を支援し、様々な視点から日本における農業の未来図を明示することが求められていると考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 現行の戸別所得補償制度は、食糧法の下、需給と価格の安定を図るため、生産調整の基本である生産数量目標の達成を要件としており、また制度自ら米価格を低下させ、その恐怖感から仕方なく加入率が増加している。無理に先物取引によって、ばら撒き政策である戸別所得補償と連動した価格ヘッジを可能とする理由はなく、現行の米政策と矛盾するものと考えるが、菅内閣の見解如何。
二 一に関連し、現行の戸別所得補償制度における米価変動補填交付金は、産地銘柄や販売方法が違っても全国一律の交付のため、所得ヘッジがなされている。今回の先物取引による価格ヘッジを二重に実施することは制度上矛盾するものと考えるが、菅内閣の見解如何。
三 農林水産省は、米取引の客観的な指標価格が存在しない中で、先物市場は生産者に取引の目安となる価格を提供するとしている。現物渡しの割合が一割以下とし、投機家によって先物価格が米価格の指標にされ、日本国民の主食である米を、米価格の乱高下を招くとも限らない賭博性の高いマネーゲームの対象とすること自体大きな問題であるとともに、生産現場が大混乱する恐れがあり、生産者に及ぼす影響は計り知れないものがあると考えるが、菅内閣の見解如何。
四 民主、公明、我が党三党が本年四月末まとめた合意文書は、「復興のための国債は従来の国債と区別し、その消化や償還を担保する」と明記している。然るに米先物取引については、時恰も米の主産地が復旧復興に懸命に取り組んでいる最中であり、ばら撒き政策と連動した価格ヘッジを可能とすることは筋違いである。感情を逆なでするが如き背徳行為は到底許されるべきものではないと考えるが、菅内閣の見解如何。
五 一〜四に関連し、米先物取引の問題は最初に結論ありきであり、十分な検討がなされぬまま認可されると、まさに国民や国会不在の議論になりかねない。反対を表明している生産者の意見を尊重し、その必要性と与える影響について十分見極めることが重要と考えるが、菅内閣の見解如何。
六 国が最優先で取り組むべきは商品先物取引法ではなく食糧法であり、生産調整を機軸として米の需給と価格の安定を図り、麦や大豆、米粉・飼料用米、飼料作物などの生産拡大のための総合的な農業政策を支援し、様々な視点から日本における農業の未来図を明示することが求められていると考えるが、菅内閣の見解如何。

 右質問する。



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