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平成二十五年八月五日提出
質問第七号

生活扶助CPI等に関する質問主意書

提出者  長妻 昭




生活扶助CPI等に関する質問主意書


一 平成二十五年四月十八日提出の質問主意書に対する平成二十五年四月二十六日付答弁書(内閣衆質一八三第五五号)の中で、「・・・平成二十年と平成二十三年の勤労者世帯の消費者物価指数を比較した場合、・・・年間収入5分位階級において収入が最も低い第1階級の世帯では2.1%減少している。」とある。年間収入5分位階級の収入が最も低い階級で物価の低減が2.1%なのに、それよりさらに収入が低い生活保護世帯における物価の低減が4.78%であることの理由を説明されたい。
二 生活扶助CPIの計算方法はいろいろ考えられるが、それぞれの方法で算出された数値を比べ、どの数値が生活保護世帯の実態に近いのか、検証する必要があると思うが政府のご見解はどうか。
三 「二」の検証を実現するためには、統計の専門家からなる検証チームを設置し、あらためて検証するべきであると思うが政府のご見解はどうか。
 また、今後もこのようなケースが起きるたびに、各計算方法の間で異なる考え方による算出が生じることを避けるため、検証チーム等を通じて政府の明確な指針を打ち出すべきだと思うが政府のご見解はどうか。
四 厚労省提示のデータ(平均的な世帯のデータ)から、厚労省計算方式で大分類別に生活扶助CPIを計算し、下落率の小さいものから並べると次のようになる。
 諸雑費 +4.2%、住居 +1.2%、教育 +0.7%、交通・通信 0%、食料 △0.8%、光熱・水道 △0.8%、被服・履物 △2.7%、保険・医療 △3.8%、家具・家事用品 △15.0%、教養・娯楽 △19.5%
 このように「教養・娯楽」の下落率が異常に大きいことに対する政府のご見解はどうか。
五 生活保護世帯の支出は平均的な世帯の支出に比べ、衣食住への支出の割合が大きいと考えられる。そこで、「食料、住居、光熱・水道、被服・履物」まで計算すると、△1.0%、さらに「家具・家事用品、保険・医療、交通・通信、教育、諸雑費」を加えると△1.5%となる。つまり、「教養・娯楽」を除くと△1.5%となるが、政府のご見解はどうか。
六 「四」及び「五」から、生活扶助CPIを大きく引き下げているのは、「教養・娯楽」であることがわかる。この「教養・娯楽」を含む引き下げ率を生活扶助額の引き下げに使用するのならば、生活保護世帯と平均的な世帯の「教養・娯楽」に対しての支出割合がほぼ等しいことが前提となるが、このような前提は正しいか。政府のご見解をご教示願いたい。
七 厚生労働省は、生活扶助基準切り下げの根拠とした指標「生活扶助相当CPI」の平成二十年と二十三年の数値を比較。生活扶助相当CPIは、二十年が104.5、二十三年が99.5で、この間の下落率を4.78%と説明した。二十三年の生活扶助相当CPIは、対象となる個々の品目の二十二年基準のウエイトに個別品目の二十二年基準(二十二年平均=100)の指数を掛けていく加重平均で計算している。これは、総務省統計局が調査・公表している各種のCPIと同じ方式である。
 しかし、二十年の生活扶助相当CPIを算出する厚生労働省の方式は特異なものである。具体的には、対象となる個別品目の二十二年基準のウエイトに個別品目の二十二年基準の指数を掛けるなどの手順で加重平均を行っている。CPIの通常の方式では、個別品目の十七年基準のウエイトに個別品目の十七年基準の指数を掛けるなどして加重平均を出す。この通常方式で、二十年に関する十七年基準の生活扶助相当CPIを算出して、これを二十二年基準に換算すると101.9という数値が出る。これと二十三年の生活扶助相当CPIの比較をすると下落率は2.36%になる。
 二十年の生活扶助相当CPIの厚労省の算出方式は、次の理由で特異である。CPIの統計は、毎月、毎年、新しい数値が総務省統計局から公表されている。計算のもとになる個々の品目の指数は、その時点より前の基準年を100とした指数になっている。基準年は平成十二年、十七年、二十二年、二十七年と5年ごとにあるので、平成二十年の各種のCPIを計算するときは、個々の品目の指数は十七年基準(十七年=100)の指数を使う。統計を作るときのその時点から見て未来の年を基準年とする個別品目の指数は、未来の基準年の個別品目の指数が分からないので設定できない。だから、当然のように、これまで総務省統計局から公表されてきた各種のCPIでは、比較・公表された時点より以前の年を基準年とした個別品目の指数をもとに算出されてきた。
 以上を踏まえ、具体的な質問に移る。
 (1) 比較対象にしようとする年から見て未来の年を基準年とする個別品目の指数をもとに計算したCPIは政府が作成、発表したものでは全く前例がないと推察される。前例がないという理解は間違っているか。
 (2) 前例があるというなら具体的に前例を示していただきたい。
 (3) 平成二十年の生活扶助相当CPIも、総務省統計局がいつも使っている通常の方式で算出するべきだと考えられる。厚生労働省が、あえて特異な方式(個別品目の二十二年基準ウエイトや個別品目の二十二年基準の指数をもとに計算)を使った理由は何か。
 (4) 平成二十年の生活扶助相当CPIは、厚労省の方式だと104.5だが、総務省統計局の通常の方式だと101.9である。厚生労働省が対象に選んだ品目群について二通りの物価が算出されるわけである。各種のCPIを算出してきた総務省統計局の方式は定着している上に学問的な裏付けもある。104.5と101.9では当然のように、総務省統計局の通常方式で算出される101.9の方が正しいと思われる。104.5の方が正しいとするなら、その理由を示していただきたい。
 (5) 平成二十年の生活扶助相当CPIを算出する際に、個別品目の二十二年基準のウエイトや指数を使う方式は、厚生労働省が実施したものだが、それが妥当であるとか正しいとかの学問的な裏付けはあるのか。あれば示していただきたい。
八 平成二十五年六月二十八日付答弁書(内閣衆質一八三第一一四号)では、当方の質問の示すところが不明であることを理由として具体的なご回答を頂けなかったご回答が三か所あった。この三か所について、当方の質問のどの部分が不明であったか、どこが明らかになれば、具体的なご回答を頂けるのか、政府のご見解をご教示願いたい。
 本質問に関しては、質問番号を束ねた回答ではなく、質問番号ごとに、具体的にご回答をいただくことをお願いする。また、最近は、答弁書で「意味することが必ずしも明らかでないため、お答えすることは困難である」との答弁をもって、回答を拒否するケースが多いが、これは厳に慎んでいただきたい。

 右質問する。



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