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平成二十五年十月二十五日提出質問第三五号
一九六〇年の日米安全保障条約改定時における朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に係る密約に対する安倍晋三内閣の認識に関する質問主意書
提出者 鈴木貴子
一九六〇年の日米安全保障条約改定時における朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に係る密約に対する安倍晋三内閣の認識に関する質問主意書
二〇〇九年九月十六日、当時の鳩山由紀夫内閣における岡田克也外務大臣は、以下の四点に関し、いわゆる密約があったと言われていることにつき、外務省において「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会」(以下、「委員会」という。)を立ち上げ、同年十一月末を目処にその存在の有無を徹底調査する旨の大臣命令を同省に出したと承知する。
A 同じく、朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関する密約
B 一九七二年の沖縄返還時の、有事の際の核持ち込みに関する密約
C 同じく、原状回復補償費の肩代わりに関する密約
そして二〇一〇年三月九日、岡田大臣は、「委員会」の調査結果をまとめた報告書(以下、「報告書」という。)を公表した。
「報告書」には、Aに関し、以下の記述がなされている。
第三章 朝鮮半島有事と事前協議
(1) 朝鮮半島有事の際は場合によっては事前協議を免除する非公開の「朝鮮議事録」は、今回の調査でその存在が確認された(ただしイニシャルなし)。
(2) 一昨年フォード大統領図書館で発見された「朝鮮議事録」は、外務省でみつかった最終案と本文は同一。しかし日付は六十年六月二十三日付。政権交代を予測して、批准書交換時に「準備会合」を開催し、署名した可能性あり。
(3) 今回その存在が確認された「朝鮮議事録」が密約という性格を帯びた文書であるとの認識を日本側交渉当事者が持っていたのは確実。
(4) 「朝鮮議事録」について日米間で連日会談を重ねたとされる一九五九年十一月後半から十二月にかけての会談記録文書が存在しないが、その理由は不明。
(5) 沖縄返還交渉で日本側は対外表明により「朝鮮議事録」を置き換えることを目指した。朝鮮議事録の有効性については、日米間で明確な決着がつけられることはなかったが、事前協議なしの基地使用は考えられず、朝鮮議事録は事実上失効したとみてよい。
(6) 七十年代、米側は「朝鮮議事録」の延長を日本側に提起することが検討されたが、結局、「議事録を未解決のままとし、正式に消滅させることとしない」という形で、米側も日本側の立場を事実上受け入れた。九十年代のガイドライン策定等により、事実上、本件議事録は過去のものとなった。
右を踏まえ、以下質問する。
一 前文で触れた、Aの密約に関する「報告書」の内容に対する安倍晋三内閣の認識如何。右は事実を反映したものであると認識しているか。
二 「報告書」では、Aが密約であったか否かについての明言はされていない。しかし、「今回その存在が確認された『朝鮮議事録』が密約という性格を帯びた文書であるとの認識を日本側交渉当事者が持っていたのは確実。」とあるように、Aは事実上の密約であったと考えるが、安倍内閣の認識如何。
三 かつて自民党政権は、Aの密約についても虚偽の答弁をし、国民に嘘をついていた。そのことに関し、安倍内閣としてどのような認識を有しているか。
四 安倍内閣として、「報告書」の内容を踏まえ、今後Aの密約に関し追加的な調査を行い、国民に更なる情報開示を図る考えはあるか。
右質問する。