衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十六年六月三日提出
質問第一九四号

「検察の理念」を踏まえた法務省の過去の反省への取り組み等に関する再質問主意書

提出者  鈴木貴子




「検察の理念」を踏まえた法務省の過去の反省への取り組み等に関する再質問主意書


 本年四月三十日、法務大臣の諮問機関であり、録音・録画等による取り調べの可視化の制度化等を検討してきた法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」が開催され、過去二十五回の議論をまとめた試案(以下、「試案」とする。)が提示された。右と「前回答弁書」(内閣衆質一八六第一七三号)を踏まえ、再質問する。

一 前文で触れた法制審議会による議論の経緯に関して、「前回答弁書」で縷々書かれているが、要するに一九九〇年に栃木県足利市で当時四歳の女児が殺害されたいわゆる足利事件で容疑者とされ、無期懲役が確定し、服役中だった菅家利和さんが、女児の下着に付着していた体液のDNA型が菅家さんのものとは一致しないとの鑑定結果が出て、二〇〇九年六月四日、千葉刑務所から釈放され、後に無罪となったことや、同年、郵便料金の割引制度が悪用された事件に関連し、当時の厚生労働省の村木厚子局長が逮捕され、容疑者とされた事件を受け、最高検察庁が「検察の理念」という指針を出し、検察の捜査のあり方が取り調べや供述調書に過度に依存しているという状況を変えるため、過去の反省の上に始まったものと理解してよいか。簡潔に答えられたい。
二 「試案」は、一で触れた菅家さんや村木元局長の事件、そして「検察の理念」を踏まえ、過去の不祥事に対する検察の真摯な反省が十分になされたものであると言えるかと、前回質問主意書で谷垣禎一法務大臣の「試案」に対する評価を問うたが、「前回答弁書」では「『事務当局試案』は、特別部会におけるそれまでの議論を踏まえて作成されたものであるところ、現在、特別部会において、これを踏まえて更に具体的な検討が進められているところであり、法務大臣としては、まずは、その議論の状況を見守っていきたいと考えている。」との答弁がなされている。谷垣大臣として、そもそも右答弁にある議論が、一で触れた菅家さんや村木元局長の事件、そして「検察の理念」を踏まえ、過去の不祥事に対する検察の真摯な反省が十分になされた上で進められていると認識しているか。
三 谷垣大臣として、現在の法務省は、「検察の理念」を十分に踏まえた上で職務にまい進していると言えると認識しているかと前回質問主意書で問うたところ、「前回答弁書」では「法務省及び検察当局においては、検察の再生及び国民の信頼回復のための多岐にわたる改革に取り組んできたところであり、検察当局においては、その一環として『検察の理念』が策定され、勉強会の開催、各種研修における講義、日常の業務の決裁を通じた指導等によってその浸透が図られ、『検察の理念』を踏まえた職務の遂行がなされているものと承知している。」との答弁がなされている。右の「勉強会」、「各種研修」について、それぞれが実施された日にち、場所、内容並びに講師の人選等につき、詳細に説明されたい。
四 一九六六年に静岡県で発生した強盗殺人放火事件で犯人とされ、死刑が確定した元プロボクサーの袴田巖氏に対し、本年三月二十七日、静岡地方裁判所は、死刑および拘置の執行停止と再審開始を決定した。その一方で、静岡地検は同月三十一日、即時抗告を行っている。菅家さんや村木元局長の事件を受け、検察として「検察の理念」を策定し、また法制審議会において「試案」を出し、取り調べの可視化に向けての議論を進め、国民の理解を得るべく努力してきたことが、この即時抗告により一瞬にして水泡に帰すことになったと考える。右につき、谷垣大臣の見解を問うたが、「前回答弁書」では「お答えを差し控えたい」とされている。谷垣大臣として、検察が「検察の理念」を踏まえて真摯な反省の下、新たな道を歩んでいると言うのなら、静岡地検による即時抗告に異議を唱えるべきではなかったのか。
五 本年二月二十一日、三月十九日、四月一日に行われた衆議院法務委員会における、当方の質問に対する法務省林刑事局長の答弁を見ても、法務省、検察庁として、「検察の理念」を踏まえた真摯なものとは感じられず、法務省、検察庁としての反省は十分ではないと考える。右につき「前回答弁書」で谷垣大臣は、三の見解を示しているが、法務省、検察庁の反省が十分であるという根拠を再度明確に示されたい。
六 谷垣大臣として、「検察の理念」を踏まえて法務省、検察庁が真摯な反省をしているというのなら、取り調べの全過程可視化を一刻も早く法制度化し、菅家さんや村木元局長のような事例を二度と繰り返させない具体的な措置を講ずるべきであると考えるが、いかがか。
七 村木元局長の事件に関連し、村木元局長の取調べを担当していた当時の大阪地方検察庁特別捜査部の前田恒彦主任検事が、証拠として押収したフロッピーディスクを改竄したとして、二〇一〇年九月二十一日、最高検察庁に逮捕された。また、前田容疑者による証拠改竄を知りながら、その事実を隠蔽していたとして、同地検特捜部前特捜部長の大坪弘道京都地方検察庁次席検事、佐賀元明神戸地方検察庁特別刑事部長が、翌月一日、犯人隠避罪の容疑で最高検により逮捕された。右に関し、同月四日、佐賀容疑者の弁護人である秋田真志氏が最高検に対し、佐賀容疑者の意向を受け、同容疑者に対する取調べの全過程を録画し、可視化することを求めていた。前田氏も佐賀氏も、現職の検察官時代は取り調べの可視化に反対しておきながら、自身が被疑者となった時、可視化措置を講ずることを求めている。このことに鑑みても、取り調べの可視化が冤罪の防止に必要であることが明白であると考えるが、谷垣大臣として、「検察の理念」を踏まえ、真摯な反省に立ち、取り調べの可視化の法制度化を進める考えはあるか。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.