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平成二十六年六月十八日提出
質問第二五一号

日本の保有プルトニウム量の報告に関する質問主意書

提出者  阿部知子




日本の保有プルトニウム量の報告に関する質問主意書


 一九九四年より毎年公表されている「我が国のプルトニウム管理状況」(以下、「報告書」)において、二〇一一年末及び二〇一二年末現在の日本のプルトニウム保有量を九九二五kgと示した際、これには二〇一一年三月に九州電力玄海原子力発電所三号機に装荷され、二年後の二〇一三年三月に炉から取り出され使用済み燃料プールで保管されている未照射のMOX燃料に含まれる約六四〇kgのプルトニウムが含まれていなかったとの報道があった。
 六四〇kgの未照射プルトニウムは、二〇一一年末の段階で、同年三月から八カ月半以上未照射のままであり、報告書が公表された二〇一二年九月の段階では、一年半も未照射状態が続いていて、照射開始の見込みがないものであった。また、二〇一二年末の段階では一年八カ月以上、報告書が公表された二〇一三年九月の段階では、二年半も未照射状態が続いており、この段階でも、照射開始の見込みがないものであったと認識できる。
 これらに関連して、以下質問する。

一 「報告書」の主体について
 「報告書」の内容についての責任を持つのは、内閣府原子力政策担当室か、原子力委員会か。
二 各種報告の概念の違いについて
 1 IAEAの保障措置上の概念について
  保障措置の概念に基づく各国のプルトニウムのまとめを、「国際原子力機関(IAEA)」の二〇一二年次報告の表A4が示しているが、ここにある範疇は、「照射済み燃料及び原子炉内の燃料要素に含まれるプルトニウム」と「原子炉の外にある分離済みプルトニウム」である。IAEAの年次報告では、保障措置の観点から「照射済み燃料及び原子炉内の燃料要素に含まれるプルトニウム」という範疇があり、この中に「原子炉内の燃料要素に含まれるプルトニウム」が含まれている。
  「原子炉内の燃料要素に含まれるプルトニウム」に玄海原子力発電所三号機に装荷されていた六四〇kgの未照射プルトニウムが含まれると考えられるがどうか。
 2 日本の「報告書」における概念について
  @ 一方、保障措置とは別に、透明性向上の観点から我が国の分離プルトニウムの保有量を報告した『我が国のプルトニウム管理状況』の冒頭で示された「平成二十三年末における我が国の分離プルトニウム管理状況」の「1.分離プルトニウムの保管状況」にある範疇は、「(1)国内に保管中の分離プルトニウム量」と「(2)海外に保管中の分離プルトニウム量」の二つである。
  「原子炉内の燃料要素に含まれるプルトニウム」という項目はないが、「炉内の未照射プルトニウム」を入れる場所は、前述の「(1)国内に保管中の分離プルトニウム量」の「原子炉施設等」の「実用発電炉」という項目しかないと思えるが、同様の認識か。また、そこに入れないのであれば、その旨明記すべきであったと考えるが、如何か。
  A また、参考四の「国際プルトニウム指針に基づきIAEAに報告する平成二十三年末における我が国のプルトニウム保有量」にある範疇は、「民生未照射プルトニウムの年次保有量」と「使用済民生原子炉燃料に含まれるプルトニウムの推定量」の二つである。
  保障措置とは別に「透明性の向上を図ることにより国内外の理解を得る」ために公表したこの表には、「原子炉内の燃料要素に含まれるプルトニウム」という項目がなく、「炉内の未照射プルトニウム」を入れる場所は、「民生未照射プルトニウム年次保有量」の「3.原子炉又はその他の場所での未照射MOX燃料又はその他加工製品に含まれるプルトニウム」という項目しかないと思えるが、政府においても同様の認識か。
  B 「報告書」の何処かに、報告された九九二五kgの他に六四〇kgの未照射プルトニウムがあることを示している部分はどこか。
三 「報告書」の訂正について
 1 日本が保有する未照射プルトニウムは、九九二五kg+六四〇kgであることを当該表に明記すべきと考えるが、如何か。
 2 六四〇kgが「平成二十三年末における我が国の分離プルトニウム管理状況」の表に含まれていないことについての公式な説明及び訂正は、いつどのような形でなされるのか。
四 「報告書」の「参考1:原子炉施設等における保管プルトニウム・装荷プルトニウムの内訳」についての説明について
 1 MOX燃料を普通の発電用原子炉に装荷したのは、実験規模の小数体のものを除いては、二〇一一年以外は、二〇〇九年と二〇一〇年しかないと承知しているが、正しいか。
 2 二〇〇九年にMOX燃料を装荷した玄海原子力発電所三号機、二〇一〇年に装荷した福島第一原子力発電所三号機、伊方原子力発電所三号機、高浜原子力発電所三号機は、それぞれ二〇〇九年末及び二〇一〇年末前に稼働されているが、これらの燃料のプルトニウムは、年末の時点で実際に照射済みとなっていたとの認識で間違いないか。
 3 二〇一一年の年末時点では、初めて、年末に未照射のプルトニウムが残っているという事態が生じたのであり、その六四〇kgを、炉内にあるからという理由で、年末の未照射分離プルトニウム量から外し、そのことを明記していないのは、透明性を欠くものではないか。
 4 照射済みプルトニウムと合わせた量である一三一七kgの内数に未照射のプルトニウム六四〇kgが入っているということは事実ではあるものの、そのことを文書から把握することは可能だとお考えか。
 5 内閣府の担当者は、二〇一三年「報告書」ではさらに、この参考の注に「定期検査のため、炉外に一時移動し保管されている場合もある」との説明を追加していると指摘している。二〇一二年末の状況についてもこの説明で十分とするなら、昨年三月に炉から取り出されて使用済み燃料プールにおかれている玄海原子力発電所三号機の未照射プルトニウム六四〇kgの現状についても、この説明で十分となるのではないか。
 6 今回の報道・取材過程以前に、この六四〇kgを二〇一四年九月の報告書において、どのように扱うかという議論はされていたか。されていたならば、それはいつどのような形でされたか。
五 一九九七年に九カ国で合意された「国際プルトニウム指針」に基づくIAEAへの報告について
 1 「国際プルトニウム指針」は、各国の毎年末のプルトニウム保有量を共通の様式によって、施設区分(再処理施設、加工施設、原子炉施設等)ごとに公表することを定めているが、炉内に挿入された分離済みプルトニウムを未照射であっても、分離済みプルトニウムの保有量の計算に入れて報告するべきではないのか。
 2 「国際プルトニウム指針」に基づくドイツと日本の「民生未照射プルトニウム年次保有量」の合計と、「国際原子力機関(IAEA)」の二〇〇九年〜二〇一一年の年次報告の表A4にある包括的保障措置下の非核兵器国の「原子炉の外にあるプルトニウム」の合計とを比べると、前者の方が多くなっている。これは、ドイツが、原子炉に装荷されたすべてのプルトニウムを「民生未照射プルトニウム年次保有量」から外していないことを示しているように見える。政府は、ドイツと「国際プルトニウム指針」で報告すべき分離プルトニウムの概念についての解釈をそろえることを試みてきたか。
 3 各国そろえての行動を重視する立場から、少なくともドイツと報告すべき「民生未照射分離プルトニウム年次保有量」の概念について話し合う予定はあるか。
六 MOX燃料及び再処理工場の製品としてのウラン・プルトニウム混合酸化物について
 1 IAEAの『保障措置用語集』の「転換時間」(異なった形態の核物質を核爆発装置の金属構成要素に転換するのに必要な時間)の項目を見ると、プルトニウム金属の場合が「日のオーダー(七〜一〇日)」であるのに対し、二酸化プルトニウム及びMOXはともに「週のオーダー(一〜三週間)」となっている。MOX燃料及び再処理工場の製品としてのMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)の「転換時間」に関する日本の考え方は、これと異なり、それを外国に説明すべきだというものか。

 右質問する。



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