答弁本文情報
平成二十六年六月二十七日受領答弁第二五一号
内閣衆質一八六第二五一号
平成二十六年六月二十七日
衆議院議長 伊吹文明 殿
衆議院議員阿部知子君提出日本の保有プルトニウム量の報告に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員阿部知子君提出日本の保有プルトニウム量の報告に関する質問に対する答弁書
一について
「我が国のプルトニウム管理状況」(以下「管理状況」という。)は、内閣府原子力政策担当室において作成し、原子力委員会に報告している。
御指摘の「「国際原子力機関(IAEA)」の二〇一二年次報告の表A4」における「原子炉内の燃料要素に含まれるプルトニウム」には、平成二十三年末に九州電力株式会社玄海原子力発電所三号炉の原子炉に装荷されていた六百四十キログラムプルトニウムの照射されていないプルトニウム(以下「九電玄海三号の未照射プルトニウム」という。)が含まれるものと理解している。
従来から、管理状況の作成に当たり、「国内に保管中の分離プルトニウム」とは、「再処理施設で分離されてから原子炉に装荷されるまでの状態のプルトニウム」を指すものと定義しており、この旨は管理状況に明記されている。
また、平成二十四年九月十一日に公表された管理状況(以下「平成二十四年管理状況」という。)中「参考4」の「国際プルトニウム指針に基づきIAEAに報告する平成二十三年末における我が国のプルトニウム保有量」においては、「民生未照射プルトニウム年次保有量」として、平成二十四年管理状況における「国内に保管中の分離プルトニウム」及び「海外に保管中の分離プルトニウム」の量が記載されている。
御指摘の「炉内の未照射プルトニウム」については、原子炉に装荷されており、管理状況における「国内に保管中の分離プルトニウム」に該当しないことから、平成二十四年管理状況中「別紙」の「1.分離プルトニウムの保管状況(1)国内に保管中の分離プルトニウム量」及び「参考4」の「国際プルトニウム指針に基づきIAEAに報告する平成二十三年末における我が国のプルトニウム保有量」には、含まれない。
九電玄海三号の未照射プルトニウムについては、平成二十四年管理状況の「参考1」の表中「九州電力(株)玄海原子力発電所三号機」の項の「装荷プルトニウム」の欄に六百四十キログラムプルトニウムとして示されている。また、同項の「(参考)炉内挿入済みの分離プルトニウム−炉外取出済みの照射済みプルトニウム」の欄に、千三百十七キログラムプルトニウムと示された数値にも九電玄海三号の未照射プルトニウムが含まれている。同様に、平成二十五年九月十一日に公表された管理状況(以下「平成二十五年管理状況」という。)の「参考1」の表中同項同欄に、千三百十七キログラムプルトニウムと示された数値に九電玄海三号の未照射プルトニウムが含まれている。
お尋ねの「当該表」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、従来から、管理状況の作成に当たり、「国内に保管中の分離プルトニウム」等の定義を明記し、これに基づき、その保管状況等を集計、公表しているところ、九電玄海三号の未照射プルトニウムは、平成二十三年末及び平成二十四年末の時点で原子炉に装荷された状態であり、「国内に保管中の分離プルトニウム」に該当しないことから、平成二十四年管理状況中「別紙」の「平成二十三年末における我が国の分離プルトニウム管理状況」には記載していないものである。また、二の2のBについてで述べたとおり、平成二十四年管理状況及び平成二十五年管理状況の「参考1」の表中の数値に、九電玄海三号の未照射プルトニウムが含まれている。
御指摘の「普通の発電用原子炉」の意味するところが必ずしも明らかではないが、実用発電用原子炉にMOX燃料が装荷された時期については、昭和六十一年から平成二年にかけての日本原子力発電株式会社敦賀発電所一号炉における少数体規模での実証及び昭和六十三年から平成三年にかけての関西電力株式会社美浜発電所一号炉における少数体規模での実証の際の装荷を除くと、平成二十一年、平成二十二年及び平成二十三年である。
管理状況は、「国内に保管中の分離プルトニウム」等について集計しているものであり、政府としては、管理状況の作成に当たり、原子炉に装荷された燃料の照射の有無については把握していない。
平成二十四年管理状況の「参考1」の表中「(参考)炉内挿入済みの分離プルトニウム−炉外取出済みの照射済みプルトニウム」について、同表の欄外に「(注3)MOX燃料について、平成二十三年末までに炉内に挿入した分離プルトニウムの総量から炉外へ取出した照射済みプルトニウムの総量を差し引いたもの。平成二十三年末時点で、炉内に挿入中のMOX燃料の新燃料時点でのプルトニウム重量に相当。」と注記されており、平成二十五年管理状況においても同様の記載があることから、平成二十三年末及び平成二十四年末の時点で原子炉に装荷されていた九電玄海三号の未照射プルトニウムが、平成二十四年管理状況及び平成二十五年管理状況の「参考1」の表中の千三百十七キログラムプルトニウムの内数であることを両管理状況から把握することは可能であると考えている。
御指摘の注の記載は、平成二十四年末時点で炉外に一時的に移動されていた関西電力株式会社高浜発電所三号炉及び四国電力株式会社伊方発電所三号炉の燃料についてのものであり、九電玄海三号の未照射プルトニウムについては、平成二十四年末の時点では、原子炉に装荷された状態であったことから、当該記載には該当しない。
内閣府原子力政策担当室においては、御指摘の「報道・取材過程」以前に、九電玄海三号の未照射プルトニウムを平成二十六年の管理状況においてどのように扱うかという議論は行われていない。
従来から、管理状況の作成に当たり、「国内に保管中の分離プルトニウム」等の定義を明記し、これに基づき集計を行い原子力委員会に報告するとともに、管理状況を英訳したものを原子力委員会ホームページにおいて公表している。御指摘の「国際プルトニウム指針」(以下「指針」という。)に基づく国際原子力機関への報告は、この管理状況を基に行っているところである。
ドイツにおける指針の「民生未照射プルトニウム年次保有量」の範囲については把握しておらず、現時点では、その範囲についてドイツ政府と話し合う予定はない。
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、国際原子力機関が公表した「保障措置用語集(二〇〇一年版)」において定義される「転換時間」は、同機関が保障措置の実施に当たり採用している概念であり、保障措置の適用を受ける我が国政府として、「転換時間」についてお答えする立場にない。