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平成二十六年十月十六日提出
質問第二八号

原子力発電所の経済性及び支援策に関する質問主意書

提出者  阿部知子




原子力発電所の経済性及び支援策に関する質問主意書


 小渕優子経済産業大臣は平成二十六年十月二日の参議院本会議において、競争環境下における原子力事業の在り方、具体的には差額決済契約(CfD)等の原子力事業支援策の検討に関する質問に対して、「経済産業省として御指摘のような制度の導入を提案したわけではなく、現時点で何らかの措置を決めたわけではありません」としつつ、「原発の発電コストは、その他の主要電源のコストと比較しても遜色なく低廉な電源と考えています。しかし、事故対応費用も含め、全体を平均したコストは安かったとしても、個々の事業者から見れば、例えば想定外の廃炉を迫られた場合など、財務的に多大な影響が生じ、事業の実施が困難となるケースもあり得ます」と答弁し、同八日の参議院予算委員会では、CfDを導入するか等は決めていないとしつつ、これを排除せず議論するとし、原子力事業へのさらなる優遇・支援策を講じる可能性を否定していない。ここで掲げられている「原発は安い」との前提には検証すべき点がある上に、右の答弁に示された認識には看過できない矛盾が存在する。
 よって、以下質問する。

一 @ 小渕経産相の前掲答弁を含め、政府は二〇一一年十二月の「コスト等検証委員会」試算を引用して、「原発のコストについてはキロワットアワー当たり八・九円以上となっておりまして、その他の電源に比べて低廉なものと認識をしています」(十月八日参議院予算委員会)としているが、同試算はその後の原発事故損害の再計算や原発の新規制基準を踏まえた追加安全対策費用等の状況、稼働原発数や発電電力量等の想定の検証等を踏まえ再計算をする必要があり、そもそも右記試算はあくまで「八・九円以上」とある通り、最低限の試算であるため、現時点で「原発のコストが低廉である」と断言することには問題があると考えるが、政府の認識はいかがか。
  A さらに、今後コストが低減していく再生可能エネルギーとは逆に、原発のコストは上昇することはあっても低減することはないと考えられる。このような傾向を捨象して、「原発のコストが低廉である」とすることには意味がなく、恣意的であると考えるが、政府の見解を示されたい。
二 電力事業に限らず、事業の採算性やリスクを評価する際には、総費用や単位コストあるいは運転費用だけでなく、初期投資の規模やその回収期間及び回収可能性、除却費用等を総合的に勘案する必要があるところ、特に原発の場合は、その初期投資もバックエンド費用も多額に上ること及び万が一事故が起こった場合の対応費用が巨額となることから、右記答弁のように単位コストの観点のみで「原発は安い」とすることは適当ではないと考えるが、政府はどのように考えているか。
三 @ 政府は「原発は安い」との建前に立ちつつ、前掲答弁のごとく「個々の事業者」の視点を導入する。しかし、事業である限り、事業一般として採算性や将来性があることと当該事業を営む個々の事業者にとってリスクが存在することとは両立するのであり、特定の事業者において多額の損失が生じたとしても、不公正な競争等の特別の事情がない限り、その損失は当該事業者が引き受けるものであって、当該事業者において経営責任、株主責任等が問われるのが当然の前提である。しかしながら、原子力事業の場合は、国による研究開発費用及び立地対策費用等の負担、原子力損害賠償に対する支援、税制・会計制度上の配慮・優遇措置、電力料金算定上の配慮・優遇等、事業の計画段階からバックエンドに至るまで既に幾重にも他の事業にない支援・優遇策が講じられている。国策民営と言われる原子力事業は右記の点からも既に一般の事業に係る原則を逸脱した特殊な事業であることは明白であるが、政府の認識はいかがか。
  A 政府は@に掲げたものを含む原子力事業に対する公的な支援、優遇又は配慮の措置としていかなるものが存在していると認識しているか、その全てを示すとともに、各措置に係る国の予算額又は保証額及び歳入における減収額、電気料金に算入され国民が負担する額並びに電力会社が享受する会計上及び税制上の効果を算出し、政府としての評価を示されたい。
四 @ 一般の事業において個々の事業者は、発生し得る損失に対して保険契約締結又は引当金設定等によってリスクをヘッジしている。これに対して、原子力事業の場合は、数十兆円単位(最低限の見積もりとしての兆円単位)の事故対応費用への備えが必要であると考えられるところ、そのような保険契約には引き受け手が存在し得ず、仮に引き受けられるとしてもその保険料は競争力又は採算性を確保できる水準足り得ない。引当費用についても同様である。即ち、原子力事業は競争市場下における事業としての成立条件を欠いていることは明白である。政府としても同様の認識であるのか、明確に答えられたい。
  A 個々の事業者のリスクをヘッジする保険類似又は代替の方策としては、同一の事業を営む者の間の相互扶助の仕組みも想定されるが、枝野幸男経済産業大臣(当時)は平成二十三年十二月六日の衆議院東日本大震災復興特別委員会において、原発事故の損害賠償に対する備えに係る質問に対して、原子力損害賠償支援機構法に基づく原子力事業者の相互扶助の仕組みを挙げ、「(起こり得る原発事故に対して)万全の賠償を行うという一応の枠組みはつくられていると思っております」と答弁している。現在同機構法附則第六条に基づく原子力損害賠償制度の見直し作業がなされているとは承知しているが、以上の答弁に対して、現政権の立場はいかなるものであるのか。また、総額が確定していない東京電力福島第一原発事故の賠償費用を完全に精算してもなお、今後想定すべき原発事故に対する完全な備えとなる持続可能な仕組みであり、各事業者の負担水準が事業としての成立性を将来にわたって確保できるものであると考えるのか否か、政府の見解及び方針を示されたい。
  B 原子力損害賠償支援機構法(現・原子力損害賠償・廃炉等支援機構法)は「政府の援助」を定めている通り、原子力事業者間の純粋な相互扶助の仕組みであるとは言えず、やはり原子力事業は競争市場下における事業としての成立条件を欠いていると考えるが、政府の認識はいかがか。
五 @ 資源エネルギー庁は平成二十六年八月二十一日の総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会に提出した資料「競争環境下における原子力事業の在り方」(その後の同小委各回「参考資料」に再掲)において、「原子力事業の必要性」に係り「(原子力の)メリットについて、事業者が享受するものもあるが、むしろ、国民全体が享受するものもある(原子力事業の外部経済性)」と主張しているが、極めて一面的かつ恣意的である。外部経済性を持ち出すのであれば、当然に外部不経済をも示し、その全体を比較衡量しつつ、原子力のメリット又はデメリットを評価すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。あわせて、外部経済性及び外部不経済を含めて政府は原子力のメリット及びデメリットをどのように評価し、その必要性の程度を認識しているのか明確に答えられたい。
  A 政府は原発を「重要なベースロード電源」と位置付けるが、最近の電力会社による再生可能エネルギーの系統接続申込みへの回答保留などを受け、再生可能エネルギーの導入拡大が抑制される懸念が抱かれている中、出力調整が困難な原発をベースロード電源とすることのデメリットも認識する必要がある。政府は原発を「安定供給」の観点から優れているとするが、ベースロード電源の考え方あるいはその重要性の認識を改めることを含め、評価の前提を見直す必要があることは、再生可能エネルギーの飛躍的拡大を実現し、かつさらに進めている欧州の経験からも明白である。このように、@の資源エネルギー庁資料などに示される原子力のメリットとされるものもその前提から再検討する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
  B 一乃至五Aの観点を踏まえつつ、原子力事業に対する現行の支援、優遇又は配慮の措置及びそのさらなる拡充がいかにして正当化されると政府は考えるのか、明確に示されたい。

 右質問する。



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