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平成二十八年十月十四日提出
質問第六四号

太陽光発電施設の設置の在り方に関する質問主意書

提出者  田島一成




太陽光発電施設の設置の在り方に関する質問主意書


 太陽光発電は再生可能エネルギーの主要電源であり、エネルギー源の多様化や地球温暖化対策に資するほか、分散型エネルギーシステムとしてのメリットも期待できる貴重なエネルギーの一つである。「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(以下『再エネ特措法』という。)」に基づき、平成二十四年七月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始されて以降、その導入量は増加している。
 一方、再生可能エネルギーの導入が進む中で、大規模な森林伐採を行って太陽光発電施設が設置される事案もあり、土砂災害などの自然災害の発生による市民生活への影響や、動植物の生息地の破壊等による生態系への影響、また景観への影響等が懸念されている。太陽光発電施設については、直接的な設置規制を行える法規制がないことから、実際に各地で地域社会と太陽光発電事業者とのトラブルが発生している。
 太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーは、環境等との調和を図りつつ推進されるべきものであると考えることから、太陽光発電施設の設置規制の在り方について質問する。

 (太陽光発電施設設置に関するトラブルの把握状況)
一 政府は、再エネ特措法施行後に、森林伐採を伴う太陽光発電施設の設置により発生した地域住民と太陽光発電事業者との間のトラブルの状況を把握しているか。
 (地方公共団体の対処状況)
二 太陽光発電施設の設置に関する地域住民とのトラブルを防ぐため、条例や要綱により立地規制を行っている地方公共団体もある。政府は、太陽光発電施設の設置に関し、地方公共団体が実施している条例等による立地規制の状況を把握しているか。
三 地域と共生するための関係法令の整備の必要性
  第百九十回通常国会において再エネ特措法が改正され、新たに土地利用や安全性に関する関係法令の遵守が事業認定の要件として求められることとされた。また関係法令に違反し、関係省庁や地方公共団体より指導・命令等がなされた事案については、再エネ特措法においても改善命令を行い、認定の取消を行うことが出来ることとなった。
  改正再エネ特措法の平成二十九年四月一日の施行に向け、その運用の詳細を定めるため、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則(以下『施行規則』という。)」の改正も行われている。
  施行規則の改正に当たり実施されたパブリックコメントにおいて、地域との共生に関する意見が示されたが、これに対し政府は「周囲の環境影響を評価し住民等に意見を求めることなど、立地に当たって配慮すべきことに関しては、一義的には、環境影響評価法や各種立地規制法に基づいて対応されるべきものであると考えます。その上で、認定事業者が長期安定的に再生可能エネルギー発電事業を実施することは重要であり、そのために、周辺住民の理解を得つつ事業を行うことは重要なことと考えています。このため、事業を行う上で義務ではなく配慮されるべきことも含めて、今後、ガイドラインを策定する予定であり、地域との共生の観点についても言及することを検討」するという考えを示している。
  (ガイドラインの検討状況)
 1 パブリックコメントにおいて策定する考えを示したガイドラインの検討状況及び策定時期の見通しを伺いたい。
  (ガイドラインの効果)
 2 太陽光発電施設の立地規制を行う条例を設け対処している地方公共団体がある一方、法律の規制を越える条例を制定する場合には裁判で負けるリスクが懸念されることから条例の制定を躊躇する地方公共団体もある。
  このような状況を踏まえ、ガイドライン策定により地方公共団体が太陽光発電施設の立地規制を行う条例を策定しやすくなるのか、地域との共生を進める観点からガイドラインに期待される効果について示されたい。
  (林地開発について早期に法整備を行う必要性)
 3 関係法令の遵守を事業認定の要件として求めた再エネ特措法の改正に一定程度の効果はあると考えるが、太陽光発電施設の設置予定地が、そもそも関係法令の対象外である場合や関係法令が強制力を伴わない場合には、改正法の効果は不明である。
  たとえば、太陽光発電施設設置に係る関係法令の一つとして森林法が挙げられるが、同法では、「保安林」と都道府県知事が立てた「地域森林計画」の対象民有林の開発行為に対して、都道府県知事への届出または許可取得のための許可申請書の提出を求めている。一方、地域森林計画の対象外となる土地については、森林法による規制の対象外となり、また、地域森林計画対象民有林であっても一ヘクタール未満は伐採届の提出のみとなるため、伐採を規制する強制力がない。
  また、「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(以下『土砂災害防止法』という。)」に基づく土砂災害警戒区域において太陽光発電施設の設置が計画された場合、地域住民が土砂災害の発生を懸念しても、当該区域については開発行為の許可や建築物の構造規制などの規制がかからないことから、地方公共団体は土砂災害防止法に基づく開発の制限や事業者への安全対策の要請を行うことができない。
  このような状況の中で、全国知事会は、平成二十九年度の国の施策並びに予算に関する提案・要望として「大規模太陽光発電所建設による景観の悪化等の課題に対し、個々に判断が出来るよう林地開発における基準や関係法令を整備すること。」を、また、全国市長会は「太陽光発電など再生可能エネルギー発電施設整備に当たっては、地域における環境保全の観点から、所在市町村との協議や関係法令の整備を含め、必要な対策を講じること。」を求めている。
  地方公共団体が、太陽光発電施設の設置に対し適切に対応できる仕組みを構築するため、ガイドラインによる対処のみならず、地域住民への事前説明や合意形成など地域社会との共生が図られるような手続、安全対策の義務付け及び開発制限等を行うことを可能とする森林法や土砂災害防止法等の関係法令の整備を早急に行っていく必要があると考えるが、政府の見解を伺いたい。
  (環境影響評価法における対象事業への追加の必要性)
 4 生態系への影響の可能性を考慮せず、希少野生動植物が生息、生育する土地に、森林の伐採や土地の改変を伴って太陽光発電施設の設置を計画しトラブルとなった例もあるが、環境影響評価法では、大規模な太陽光発電事業であっても法の対象事業とはなっていない。太陽光発電事業の実施に当たり、環境との調和を確保していくためには、同法に基づき適切に環境影響評価を行っていくことが必要と考える。現在、太陽光発電事業が同法の対象とされていない理由及び今後同法の対象事業へ追加する考えはあるか伺いたい。

 右質問する。



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